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『クローゼット ZERO』〜その4〜

[➂ダンス開始]
*海老原駅駅前
凌、晃一、慎治、ジョー、元気   板付き
晃一:おい、凌、あんなタンカきったのはいいけどよ、たしかに麻生の言う通り、大会出ないと廃校になっちまうんだぜ。なにか考えあんのかよ?
ジョー:凌ちゃんに考えなんてあるわけないね、いつも考えるよりも先に体が動くんだから。
凌:うるせーな。あんな舐められっぱなしじゃいられねーだろ。ったく、なにがダンス大会だよ、どうせなら殴り合いで決めさせろよな。せめて格闘技で。おらっ!(正拳突きで慎治に寸止め)
慎治:うわっ、あぶねーな!それにしても、市長はなに考えてんだよ。こんなことやってるヒマあったら、商店街にもっと人来るようにしてくれよな。
晃一:慎治んちの店、厳しいのか?
慎治:ま、俺んちだけじゃなくどの店も同じようなもんだけどな
凌:あー!ムシャクシャすんな!誰でもいいからぶっ飛ばしてー!!(シャドーボクシング)
晃一:あぶねーなー。
凌:(何かに気付く)!!おい、隠れろ!
晃一:は?なんだよ急に。
凌:いいから!!(みんなを強引に連れてく)
全員隠れる(ハケ?)

莉奈、携帯で喋りながら来る
莉奈:ねえ、私、教室に雑誌忘れてなかった?バッグに入れたと思ったんだけど入ってなくて・・・うん、先生に見つかったら没収だもんね。ウメジュンの生写真入ってたのに・・・。うん、また探してみる。あ、ねえねえ、さっき駅前でケンカがあったの。怖かったー!たぶん鳳凰学園と九頭竜高校の人たちだと思うんだけど・・・うん、そうなんだけどさ。本当、ケンカする人って最低よね。暴力ふるう人、大っ嫌い!それでね・・・
莉奈、ハケ
一同出てくる
晃一:おい、ひょっとして今のが・・・
ジョー:そう!凌ちゃんの憧れのマドンナね!
慎治:マジかよ!!メッチャかわいいじゃん!あれ?さっきホー学の奴らとモメてる時に通りがかった子じゃね?
凌:・・・・。
晃一:おい、凌、どうしたボーッとして。
ジョー:見とれすぎてラリっちゃった?
凌:・・・ケンカする人・・・最低?
晃一:あ・・・。
凌:・・・暴力ふるう人・・・大っ嫌い?
ジョー:確かにそんなこと言ってたね。
晃一:ま、まあ、凌のこと言ってたわけじゃないしな・・・
元気:(凌を指差して)ケンカと暴力ばっかり。
晃一:おい!元気!!
凌:うおー!!(慎治の首をしめる)
慎治:なんで俺!?
元気:すぐ暴力。
凌:グッ・・・(動き止まる)
ジョー:凌ちゃん全部あてはまってるね。
晃一:ジョー!・・・凌、今のはたまたまだよな?
凌:・・・(手を離し、うなだれる)嫌い・・・最低・・・。
一同:・・・。
慎治:あっ!そういえば!(学ランの中から雑誌を取り出す)これ、あの子のだ。
晃一:お前、またスったのか?
慎治:つい癖でな。(中から生写真を取り出す)おっ、これか、ウメジュンってのは。
凌以外、写真覗き込む
晃一:これまた・・・
ジョー:さわやかねー。
元気:高校生アイドルグループ「時雨(しぐれ)」のセンター、梅本潤。演技良し、歌良し、なにより激しくて華麗なダンスは見るもの全てを魅了する、現在人気実力共にナンバー1のアイドル。
一同:!?
晃一:お前、こういうの詳しかったんだな・・・。
元気:誰かさんとは正反対。
晃一:だからそういうことを言うなって!・・・り、凌、まあ、今回は縁がなかったってことでさ・・・もっと凌に合った女もいるよ!あ、妹紹介しようか?かわいいぞー、まだ4歳だけど・・・
凌:・・・やめる。
晃一:え?
凌:やめる。
慎治:お、おう、そうした方がいいよ、もっと釣り合った子にしとけって。
凌:ケンカをやめる。
慎治:はっ?
凌:今後一切ケンカはしねー!
晃一:おいおい、なに言ってんだよ、そんなの無理に決まってんだろ。クズ高史上最強最悪と言われたお前がケンカやめるなんて。
慎治:クズ高の暴れん坊悪代官って言われた凌が!
ジョー:そうね!ライオンがベジタリアンになるって言ってるようなもんね。黒柳徹子がボウズにするって言ってるようなもんね!
元気:絶対無理。
凌:うるせーうるせーうるせー!!ケンカやめるっつったらやめんだよ!男に二言はねぇ!
晃一:マジかよ・・・。おい、凌、ほれ(エロ本を見せる)
凌:ふん。(怒らない)
晃一:おー。
ジョー:このチキン野郎!
凌:ぐ・・・(ガマン)
元気:ムッツリスケベ。
凌:ンググ。(ガマン)
慎治:(はしゃいで)やーい、このバカゴリラー!お前の母ちゃんでーべーそー。おしーりペンペン!
凌:おらー!!(慎治のお尻蹴り上げる)
慎治:なんで俺だけー!!
晃一:今のはお前が悪い。
ジョー:たしかにね。
元気:調子乗りすぎ。
慎治:なんだよ・・・。
凌:とにかく、ケンカはもうやめだ!!
晃一:どうやら意志は堅そうだ。
凌:おい、ダンスやるぞ!
晃一:は?
凌:ダンスやるぞ!
慎治:は?
凌:ダンスやるっつってんだよ!
晃一:ちょっと待てよ、お前さっきまであんなに嫌がってたじゃねーか!
凌:ウメジュンだか皇潤だかしらねーけど、そんなもやしみてーな奴に負けるわけにはいかねーんだよ!ダンスやるぞ!もちろんお前らもな!
晃一:俺らも!?
凌:なんだよ、お前ら学校なくなってもいいのか?
慎治:マジかよ、どんだけ単細胞なんだよ・・・。
凌:うおーーー!!ダンスやるぞ!!!
ジョー:いいねいいね!じゃあ僕がブラジル仕込みのダンスをレッスンしてあげるね!
晃一:お前ブラジルいたのかよ?こないだはフランスで絵を習ってたって言ってなかったか?
ジョー:細かいことは気にしなーい!さ、レッスンレッスン!まずはリズムとってステップねー!(踊りだす)
凌、晃一、慎治、マネしてみるが、ぎこちない。
晃一:これは先が思いやられるぞ・・・ってか、本当にやんのかよ、ダンス・・・。
そこで、元気が参加。ダンスうまい。
一同:うまー!!
元気、すごいダンス
晃一:お前なにもんだよ!!!
―暗転―



つづく

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