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2024年入学 北大ロー 刑法 再現答案

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1 問題文


2 再現答案

第1問(所要時間50分)
1.X が A をナイフで刺した行為(第二行為)に殺人罪が成立しないか。
(1)まず、X は、A の腹部という枢要部を、ナイフという先の尖った凶器で刺しているため、殺人罪の実行行為にあたる。
(2)次に、上記行為によって、A は出血多量に陥り「死亡」しているため、X は「人を殺 した者」に当たる。
(3)そして、X は、A が死んでもいいと A の死亡についての認識•認容があるため殺人罪の 故意もあるといえる。
(4)そうであれば、第二行為には、X に A に対する殺人罪が認められるとも思える。

2.もっとも、上記行為を行う前に、X は、A から顔面を殴られる等の行為に対して、A に 対してハサミを突き出して威嚇する行為(第一行為)をしている。また、第一行為が正当防 衛であり、第二行為が第一行為と一連一体の行為と見ることができるなら、全体に過剰防衛 (刑法36条2項)を認めることもできる。そこで、まずは、第一行為に正当防衛が成立す るか検討する。
(1)「急迫不正の侵害」とは、現に法益侵害が存在しているか又は押し迫っているかをい う。X は、A から蹴り付けられ、さいさん顔面を殴られるなどの傷害罪にあたりうる侵害を 受けており、急迫不正の侵害があるといい得る。
(ア)X は、A が襲撃してくると考えているが、「急迫」性があるといえるか。 (イ)この点、行為者が積極的加害意思で侵害に臨んだとはいえないなど、主観的事情も考 慮するべきである。
(ウ)X は、A とは普段からつかみ合いをするほどの仲の悪さであり、さらに当時は酩酊し ており、襲撃されると考えているだけであり、その場の機会に乗じて積極的に痛めつけてやろうとは考えていない。したがって、X は、積極的加害意思で侵害に臨んだとはいえない。
(エ)よって、急迫不正の侵害がある。

(2)次に、「防衛するため」があるといえるためには、「防衛の意思」が必要であり、これ は、急迫不正の侵害を認識して、これを避けようとする単純な心理状態をいう。X は、A からの攻撃に対してハサミを突き出しているが、防衛するためにした行為といえるから、防衛 の意思があるといえ、「防衛するため」といえる。

(3)X は、刃先を突き出しているが、A からさいさん殴られていたこととの均衡からすれば、防衛行為の相当性があるといえ、「やむを得ずにした行為」といえる。
(4)よって、X の第一行為は、正当防衛の要件を満たす(36条1項)。

3.では、第一行為と第二行為の一体性を認めることができるか。
(1)この点、第一行為と第二行為につき、①時間的•場所的近接性、②侵害の有無、③防衛の意思の有無によって、過剰防衛として一体性を認めることができるかを検討する。
(2)第一行為の直後、A が殴りかかってきたところに対して第二行為をしているため、時間的•場所的近接性がある(①)。また、A の侵害は第二行為の直前にもある(②)。さらに、 攻撃意思と防衛の意思との併存は認められるから、憤激し、死んでもいいと思っていても、 防衛の意思はあるといいうる。したがって、第一行為と第二行為の一連一体性が認められる。
(3)ナイフで腹部を刺す行為は、A の素手による行為に対して防衛行為の相当性を欠く。
(4)よって、X の全体行為に過剰防衛(刑法36条2項)が認められる。 以上

第2問(所要時間6〜10分)
1.X が、「A 教授は・・・収受している」(本件記事、以下省略)旨を新聞紙に掲載頒布し た行為に、A に対して名誉毀損罪(230条1項)が成立するか。 (1)「公然」とは、不特定多数人に認知できることをいう。この点、W 新聞に、本件記事を 載せているため、「公然」といえる。
(2)「事実」とは、社会的評価を下げる事実をいう。この点、本件記事は賄賂を収受する という、刑法197条1項に該当する犯罪にあたることであるから、社会に知れ渡れば、社 会的評価を下げるといえ、事実に当たる。


3 反省

 時間切れで、上記まで書いて終了しました。見ての通り、第2問はほとんど検討できていません。
 本番は、知識があると書くことを抑えないと色々と書きたくなるので、上手くまとめ ていかないと、触れて欲しいところがあまりかけずに終わるので、その辺の調整は大事だと実感しました。また、憲法で時間を使いすぎたこと、刑法第1問で時間を使いすぎたことが 主な原因だと思っています。
 試験直後は上3法だと刑法が1番自信がなくて、1日目は引きずっていた ような気がします。 ただ、この程度でもみんな出来ないし、合格できると思うので、第一問を網羅的に書いていくことは大事だと思いました。
 
 北大ローの刑法は、時間は憲法と合わせて160分あります。ただ、憲法で大問2個、刑法でも大問2個出るので、1問あたりは40分となるので時間はないです。特に、刑法の総論からの出題は、正当防衛絡みや共犯あたりが出題されると時間的にタイトになるかと思いますし、近年の過去問で1回くらいは時間を計って解くといいのではないかと思います。

以下、再現答案PDFです。

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