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ライブレポート Awich 『Welcome to the Queendom at 日本武道館』(オンライン参加)

みなさんお疲れ様です、篠田長次郎です。

つい先日、3/14に行われた、沖縄出身のフィメールラッパー(女性ラッパー)のAwichの記念すべき日本武道館公演をレポートしていきます。

今回は仕事の都合上、現地で参加せず、AbemaTVのライブレポートで参加しました。

日本のHIP HOPの歴史上、女性ラッパーが武道館に立つということは初?レベルの歴史的な大イベントになりました。

まずはAwichのプロフィールを紹介します。

Awich プロフィール

沖縄県那覇市出身。アメリカに留学経験を持ち、英語と沖縄の方言を混ぜた独特のフロウを武器に最先端のHIP HOPシーンで活躍中。

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2006年、EP『Inner Research』でデビュー。MCネームのAwichは本名の漢字の直訳である「Asia Wish Child」を略した造語。2007年、アルバム『Asia Wish Child』リリース。翌年、アメリカ人の男性と結婚し、長女を出産。3年後、インディアナポリス大学で起業学とマーケティング学の学士号を取得。家族で日本に戻り暮らすことを決めていた矢先、夫と死別。その後、娘と共に沖縄に帰郷し、本格的な音楽活動を再開。2017年、ヒップホップクルー、YENTOWNに所属し、Chaki Zulu全面プロデュースによるアルバム『8』をリリース。

実際に彼女はメジャーデビューを果たしており、AIやRADWINPS、KIRINJIなど、他ジャンルの大御所にもフィーチャーされ、武道館に立つには申し分ない実力を発揮しています。

今回のライブは、武道館公演の約一週間前にリリースされた彼女のアルバム「Queendom」を引っ提げたツアーになります。

彼女はラップはもちろんのこと、歌唱力にも定評があり2020年から2021年にリリースされた楽曲は歌唱にウエイトが置かれた楽曲が多かったですが、BAD HOPのYZEERが、
「姉さんならラップでももっといけますよ!」
と鼓舞し、ラップメインのアルバム制作が始まったとか。

YZEERとJP THE WAVYを客演に迎えた「GILA GILA」は、記録的なバイラルヒットとなり、実際にYZEERは、今回のアルバムのプロデュースにも携わっています。


ライブレポート


では、ライブレポートに移りたいと思います。


19時開演予定でしたが、なかなか始まらないため、Abemaの生中継のチャンネルのコメント欄には

「ウチナータイムだね笑」
(※沖縄の人たちは時間にルーズな傾向があるため、集会やイベントに遅れて参加しがちなこと)
「早く見たい!」

などの声が上がっていました。


30分くらいすると、急に武道館が暗転し、会場のヘッズから高らかな歓声が上がります。HIP HOPのライブでは珍しく、女性の声が多かった印象。さすが女王といったところでしょう。


初めにかかったビートは、本アルバムのリードトラックでもある、
Queendom」です。

アメリカへの渡米や、夫との死別、これまでの彼女の人生を歌詞に当て込んでいますが、歌詞の後半からは、今後の彼女の野望が歌われています。

極東の女王 痛みはNO MORE 支配する理想郷 It's the QUEENDOM
止められない、Touched by no one
荊棘を抜け立つ武道館

最後のキラーバースが決まったところで、スクリーンに「Queendom」の文字が映し出され、明るくなった舞台にAwichの全身が照らされ、日の丸と会場のファンを見つめます。


次に流れたのが、「Shook Shook」。
「まさか女がくるとは思わなかったでしょ?!」と、本日の伝説の凄さを改めて会場に知らしめるように、女性の強さをアジテートします。

ダークでヘヴィーな世界感の「NWO」を披露した後、彼女のMCで
「まさか女がくるとは思わなかったでしょ?私もです。みんなのおかげです。感謝してます。」と身の丈を打ち明けます。

「ついて来れんの?」とさらにアジテートすると、次の曲は「Poison」。
フィーチャリングではゆるふわギャングのNENEが登場し、ファンキーなビートに合わせ、ラップしながら噴射機でCO2を会場に向け放ちます。

「ハマっちまうほど Gimme the poison!」

とシャウトを決めたところで、NENEと大きくハグ。

今回の武道館公演はNENEのように客演がとにかく豪華ですが、ここからさらにヒートアップしていきます。

Poison」の流れから
「興奮するのはわかるけど、今日は声に出しちゃダメ。いつかこのためてたぶん、全部口に出せるの待っててねー!」というコロナの収束を願うMCからの昨年リリースされ、過激なダブルミーニングの歌詞が話題を呼んだ「口に出して」を披露。

途中音楽を止め、「生死をかけて〜腹ばっか立てずに立てろよ ち○ぽー!」と、アカペラでバースを吐き出し、会場もそれに応え、飛び跳ねます。

口に出して」が終わると、彼女と交友の深いダンサー、RIEHATA率いるRIEHATA Dancersの面々が登場し、アルバムのリリースよりも先出しでMVが公開されていた「どれにしようかな」を披露。

Awichもキレッキレのダンスを披露すると、声に出せない代わりに会場が拍手で答えます。

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RIEHATA Dancers全員の名前を列挙し、登場してくれたことに感謝を伝えると、「最強ガールズたちでしょ? でも今日は最強のガールズパワーだけでなく私の大好きな仲間たちが駆けつけてくれてます」

と、自身が所属するHIP HOPクルー、YENTOWNのDJ、U-LEEを紹介します。

その他のYENTOWNメンバーでもあるMonyHorse、PETZ、JNKMN、kZmらを呼び、「NEBUTA feat. kZm」、「Up In Smoke(MONYPETZJNKMN)」「Gangsta」を立て続けに披露。

彼らの個性が爆発した圧巻のステージが終わったかと思いきや、「え、今日こんな調子で大丈夫なの?」など、ゆるーくかつ仲の良さが伝わるおふざけトークを見せ、会場と視聴者を和ませます。


続いて武道館2階席からつるされた沖縄の旗を指差し、「あの島で教えられた精神が今の私を作ってます」と話し、同じ沖縄出身のOZworldとCHICO CARLITOを呼び込みます。

沖縄のカルチャーの象徴でもある首里城が3年前に火災で焼失したことについた悲しみを打ち明け、3人で高らかに歌い上げたのは
琉~Ryu~ feat. CHICO CALITO, Awich」。
沖縄生まれの3人の独特なフロウと、ウチナーグチ(沖縄の方言)、さらに3人とも歌唱能力自体が高いのもあって、圧倒的かつ幻想的な世界観を出し、非常に良い意味でHip Hopを忘れさせる時間を作りあげます。


歌唱後、AwichのリクエストによってOZworldがスペシャルゲストの唾奇を招き、ふたりでOZworldの楽曲「NINOKUNI」を披露するサプライズもあり、会場は大熱狂状態に。
元々 CHICO CALITOやOZworldやNENEなどの客演のアナウンスはされていましたが、唾奇はシークレットゲストでの登場となります。

NINOKUNI」でBPMをミディアムに落としたところで、アメリカで最愛のパートナーを亡くし、愛娘と一緒に遺灰を海と空にまいた時のことを歌った楽曲「Ashes」へとシフトします。

武道館のスクリーンには海辺で亡き家族について話す幼き日の愛娘とAwichの映像が流れ、涙ぐみながらもその映像を見つめるAwich。「いつもそばにいてくれて笑顔と勇気をくれたとても強い人がいます」と言い、愛娘・Yomi Jahを迎えた「Jah Love」を披露します。

HIP HOPというジャンルで女性が武道館に立つというだけでもすごいことなのに、さらに親子共演も果たしてくるAwichはどこまで伝説になっていくのでしょう。


「みんなで私のこと照らしてくれますか?」と、会場のファンにスマホのライトを用意させ、
「私のことずっと見てきた人たちはもうわかるよね? 辞めなければいつでもリベンジできます」
と宣言し、Queendomのミディアムナンバーの「Revenge」へ。

「ヒップホップを諦めないでやってきてよかった。ヒップホップが私を助けてくれたし、私の声をみんなに届けてくれた。いろんな場所にストーリーがあるって教えてくれた。そんなヒップホップに感謝。」
沖縄出身のAwich、東京出身のKEIJU、東海地方出身の¥ellow Bucksという超豪華、かつ令和のHIP HOPの選抜メンバーが全国から集められて一つの楽曲を奏でる「Link Up」のイントロが流れ、それぞれのバースが始まるたびに、袖からKEIJUが、¥ellow Bucksが登場し、歌詞に込めた地元への想いを歌い上げます。

続く「Remember」では、盟友というべきKEIJUと、デビュー当時を思い出し、心地よくラップで掛け合いを見せます。

ノリの良いメロウなサウンドが終わったと思いきや、レトロなラッパの轟音が武道館が響きわたります。

そう、彼女らのキラーチューンであるAwichと鎮座DOPENESSとDOGMAの「洗脳」が始まります。スクリーンには3人の顔写真が映し出され、各々のバースになると、DOGMAと鎮座DOPENESSが登場し会場を沸かすのです。

息をつく間もなく、
「QueendomにはKingが必要でしょ!」
と、Awichのブレイクの後押しをしてくれたと言っても過言ではないHIP HOP会のKing、Anarchyをステージに呼び、「やっちまいな」で2人の力強い掛け合いが会場のボルテージをMAXにします。
(個人的にこの曲のサビが過去良すぎなんですよね。。)

Anarchyが「俺はこんな日が来ることが最初からわかってた。俺は『やっちまいな』って言ったらしいけど、俺のひと言目を彼女は忘れてる。『ヤバすぎる!』って思ったんだよ。『お前誰?』」

と、Awichをヘッズに知らしめるきっかけとなった曲である「WHORU?」でさらに畳み掛けます。

大きな拍手が鳴り止まない中、最高のボルテージを保ったまま「GILA GILA」のイントロがかかり、声を出せない会場はジャンプと拳で溢れんばかりの喜びをあらわにします。
次々と登場する日本のラップスター(JP THE WAVYとYZEER)とゴリゴリの掛け合いを見せ、楽曲を終えると、YZEERから
「姉さんならもっといける」
と、実際の「GILA GILA」の歌詞のことをそのまま言われ、照れ臭そうに笑顔をこぼします。

Awichの武道館公演を実現できたことに対する想いと、それが反映された圧巻の歌唱が印象的な「Arigato」を披露し、改めてオーディエンスや客演のラッパーたちに感謝を告げると
Yomi Jahのボイスメールをサンプリングした「Skit」が流れ、小休止を挟みます。Skidが終わったあと、ドレスに身を包んだAwichが再登場。

『Queendom』のラストを飾る「44 Bars」でYomi Jahとの関係性と決意を歌い、「Let’s go Awich!」と涙ながらに自らを鼓舞。
「子持ちの未亡人だってこんなところに立てるんだよ。だからなんだってできる。日本だけにとどまらず世界を目指す。そして日本でもヒップホップがもっとオーバーグラウンドになっていくように私が引っ張っていく。来年はアリーナでやります」という、力強い宣言に拍手が止まらなくなります。

この曲をいつかみんなで大声で歌えるまで諦めないから!と「Love Me Up」を披露した後、再び登場したYomi Jahと共に、最後の曲である至高のラブソングの「Bad Bad」へ。

全ての曲が終了した後、オーディエンスがAwichへのサプライズでそれぞれ手に持った1輪のバラを掲げているのが目に入り、感極まったAwichが画面に移ります。
「もっと大きな景色をすぐ見せるからね!」と約束を誓い、Yomi Jahと共にステージを後にします。

圧巻のパフォーマンスを見せた後のステージのスクリーンには、Awichからの感謝のメッセージが表示され、彼女が本当にファン想いなのが伝わります。


■『Welcome to the Queendom at 日本武道館』
2022年3月14日(月)東京・日本武道館
<セットリスト>
Queendom
Shook Shook
NWO
Poison feat. NENE
口に出して
どれにしようかな
WheU@
NEBUTA feat. kZm
UP IN SMOKE / MONYPETZJNKMN
Gangsta
琉~Ryu~ feat. CHICO CARLITO & Awich / OZworld
DEIGO feat. OZworld
NINOKUNI feat. 唾奇 / OZworld
Ashes
Jah Love feat. Yomi Jah
Revenge
Link Up feat. KEIJU, Yellow Bucks
Remember feat. YOUNG JUJU
洗脳 feat. DOGMA & 鎮座DOPENESS
やっちまいな feat. ANARCHY
WHORU? feat. ANARCHY
GILA GILA feat. JP THE WAVY, YZERR
Arigato
44 Bars
Love Me Up
Bad Bad


<ゲスト>
ANARCHY / CHICO CARLITO / DOGMA / JP THE WAVY / KEIJU / kZm / MONYPETZJNKMN / NENE/ OZworld / RIEHATA / ¥ellow Bucks / Yomi Jah / YZERR / 鎮座DOPENESS / 唾奇(Secret Guest)




以上、ご覧いただきありがとうございました!

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