ゲームシーンが「クールタイム」に汚染されてしまった

クールタイムは英語としてオカシイ

「クールタイム」は和製英語であり、コンピューターゲームでしばしば誤用されている。英語ネイティブが使う用語ではなく、英語の感覚がある民からすると奇妙だ。クールタイムを直訳すると「冷たい時間」であって、「冷たくする時間」や「冷却する時間」ではない。

プレイヤー側が年齢や知性の問題から誤用してしまうのは仕方ない面もある。しかし開発側がそこへ追従するのは如何なものか(良くない)。

日本において、クールタイムとはスキルを使用し、それが再度使用できる様になるまでの間隔を意味する。ネイティブはその意味を表す場合、「Cool Down Time」を使う。Timeは省略され、スペースを取って「Cooldown」と書いたり、単に「CD(しーでぃー)」と言われることが多い。一方でクールタイムの民は、クールタイムを「CT(しーてぃー)」と略す。

これは洋ゲーを嗜んでいた民からするとまさに「What the Fuck(はぃぃっ!?)」である。なぜならCTはより頻出する「Cast Time」を意味するからだ。無論わたしは「Cast Time」をなんと言うのか問いただした。答えは「詠唱」だった。日本語がアリなら、妙な用語を使わずに再使用間隔と言えばいいのに。新生FF14を始めた頃の話だ。

クールタイムがまん延してしまった

賢明な読者はすでにお気づきだと思うが、クールタイム民は洋ゲー民と異なる文化圏で育ってきたようだ。聞き取ったところによると、彼らは主に韓国産のMMORPGをプレイしていた。具体的なタイトルは「TERA」や「黒い砂漠」だ。そこの翻訳において用語のねじれが生じたのだろう、そのへんのゲームをプレイしてないので定かではないが。

さて日本でMMOといえばFF14が鉄板という状況が続いている。同作はCDを表すためになんと「Recast(リキャスト)」を使っている(英語サイトでも同表記)。Recastは基本的にスペルにしか使えず、スキルやアビリティはCastでなくUse(使用)するので適用しにくいと思う。どういった経緯なのか、スクウェア・エニックスの判断はよくわからない。

FF14のプロデューサーである吉田は、かつて「Dark Age of Camelot」というゲームを熱心にプレイしていたらしい。サイトを見るとキャスターはRecastで表記し、非キャスターはスタミナ制のようで関連しそうな記述が見当たらなかった。そこで一緒くたにRecastにしたのかどうかは推測の域を出ない。

そもそも英語ネイティブは、Blizzardの「World of Warcraft」やRiotの各種ゲームの影響によりCDが鉄板である。その辺のインディーズゲームでもみんなCDを使っている。正直な所、クールタイムを見たことがない。

話を戻して、日本でFF14以外をみると大変な惨事になっている。クールタイムの汚染がソシャゲからコンシューマーまで、開発とプレイヤーの双方に広がっている。つまりゲームシーン全体で乱用され氾濫している。仕舞にはウェブの辞書まで誤った意味を載せている。小学館……お前何してんの? もう手の施しようのない所まできてしまっていた!

クールダウンを使うのです

クールタイムは英語としておかしいし、英語ネイティブはCDを使っているのだから、カタカナ表記したいならクールダウンを使ったほうが良い。

最近は英語教育が一層盛んだと聞いている。若者はクールタイムという用語に我々よりも違和感を持っているのではないか。一方で開発者は、UIの効率や美しさに拘ってる仕事しているはず。なのにダサい用語が載ってていいわけ? 😄

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?