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ベリル社はバーミンガムで持続可能な電動キックボードのシェアスキームを開始

case|事例

ベリル社は、安全性と他の交通手段とのシームレスな接続に重点を置いた持続可能な電動キックボードのシェアスキームをバーミンガムで開始する。サービス開始当初は200台の車両が配備され、2023年9月までに段階的に700台が追加される。シェアサービスはバーミンガム都心部とその周辺エリアで提供される。ベリル社は、新たな電動キックボードのシェアサービスの実証を担う事業者として、ウエストミッドランズ交通局、バーミンガム市議会、およびウエストミッドランズ合同行政機構から選定された。

前回のトライアルは3年間にわたって実施された。短距離の移動手段として人気を博し、バーミンガム市の交通体系に定着し、自動車からの転換効果もあったと報告されていた。今回の新たな事業者の公募は、前回の経験を踏まえて安全性などの面でのアップグレードを行うことを目的に実施されている。

今回のスキームで特に強調されている安全性については、運転免許証のスキャン技術を用いた安全対策を行う。貸出時に自撮り写真の確認を行い、悪用防止のためランダムに的を絞って写真の称号チェックが実施される。また返却や貸出の場所が指定された区画に限定されるため歩道への放置や混雑が回避されることが期待される。

今回の実証ではベリル社のアプリを通じて貸し出しが行われ、1回の貸出の基本料金は1ポンド(約180円)で利用1分ごとに20ペンス(約36円)が課金される。利用者は18歳以上の英国の運転免許証の保有者に限定される。電動キックボードの歩道の通行は禁止され、通行は車道もしくは自転車レーンに限られる。また配備される車両は英国運輸省からの承認を得ており、安全基準への準拠が保証される。

insight|知見

  • 期間を区切って実証を繰り返していくプロセスは、新しい革新的なサービスを徐々に社会になじませて実装させていくプロセスとして学ぶべき点が多い気がします。完全なる自由競争で自由参入だと政策側の要件や規制を途中からかけにくいので段階的な導入が賢いと思いますし、官民の連携としても理想的な姿のひとつだと思います。

  • また、ヨーロッパが電動キックボードの導入に関して安全性を重視している点も示唆に富んでいます。電動キックボードが導入された当初はどの都市も現状より緩い制約で運用していたように記憶していますが、事故などの発生状況などを踏まえて規制を強めてきたのだろうと思います。まさにアジャイルを実践しています。

  • 歩道の通行を禁止して、道路や自転車レーンに限るという対応も、インフラを着々と整備して走行環境を整えてきたからできることだと思います。とても戦略的です。戦略的な視点で全体を俯瞰して必要な環境を整えながら、段階的に新しいサービスを育てていくというスタンスは学びが多いように思います。