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SUVsの普及によって自動車部門からのCO2排出量削減が鈍化

case|事例

流通する車両サイズが変わらなければ2010年から2021年の間にCO2排出量の削減割合は30%以上となった可能性があったが、実際にはSUVsの人気が高まり平均車両サイズが大きくなったため、普通乗用車の平均エネルギー原単位の削減率は4.2%に留まったとGlobal Fuel Economy Initiative(GFEI)は最新のレポートで述べている。車両の巨大化がCO2削減を妨げている可能性がある。

実際、SUVsは現在最も人気のある車種のひとつで、新車市場の51%を占めており、流通する自動車の巨大化が進んでいる。自動車会社も利益の最大化のためにSUVsの販売を強化している。

このような状況の中で、レポートの著者らは政府が車両のサイズ規制を行うべきだと提案している。車両の巨大化は道路交通の安全性を脅かすと共に、気候変動対策の妨げとなるためだ。また、自動車産業の排出量削減は、中国やヨーロッパを中心とするEVの普及が牽引しているが、EV車両の巨大化は電力使用量の増加を意味するため、EVにもサイズ規制が有効であるとも述べている。他にも、自然エネルギーへの投資や化石燃料への補助金撤回、EVインフラの整備、カーボンプライシングなどもサイズ規制と併せて実施すべきだとしている。

insight|知見

  • 自動車産業が強い日本で、レポートで提案されているようなサイズ規制は果たして現実的なのかと考えながらレポートを読みました。

  • 令和3年度に実施された道路交通センサスの結果を見ると、乗用車の平均乗車人数は、平日で1.30、休日で1.62なので、車両の巨大化は排出量削減の面だけでなく、輸送効率の面でも非効率なように思います。

  • どのような政策が日本では現実的なのですかね。