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アムステルダム市はスキポール空港の夜間の発着禁止を要求

case|事例

アムステルダム市は、市民の生活の質を高めることを目的に、スキポール空港の発着便数の削減と23時から翌7時までの完全な飛行禁止をオランダ政府に求めている。発着便数の削減量は現状の9%(年間40万便)を要求しており、その代替として短距離フライトに替わる長距離列車の改善などを検討している。また、併せて飛行距離に比例した航空税の導入も提案している。

アムステルダム市の副市長は、今回の提案について、「近年、生活の質や気候、労働条件への配慮が不十分であった。地域住民の生活の質と経済のバランスに貢献したい。」とコメントしている。

最終的な決定は、空港の70%の株を保有するオランダ政府によって行われる。スキポール空港は、夜間閉鎖や自家用車ジェットの段階的な廃止などを以前提案した経緯があるため、アムステルダム市の提案に理解を指名しているものの、国際的なハブ空港としての地位の低下へ懸念を示している。オランダ政府は、最終決定のプロセス中だとして最終的な判断を表明していないが、European Balanced Approachに従って、現在騒音レベルを低下させる施策を実施している。

アムステルダム市の今回の提案の背景には住宅ニーズへの対応もある。オランダ国家建設計画によると2031年までに国内で90万戸の新築住宅が必勝とされており、アムステルダム市周辺では25万個の新規供給が必要となる。一方で、土地が限られており、スキポール空港周辺で住宅開発する場合にも現状の騒音レベルでは建設条件を満たすことができない

insight|知見

  • 経済か生活の質かというのは、オーバーツーリズムの問題にも通じる問題のように思います。なかなか答えの出ない問題だと思いますが、24時間眠らない都市は果たして住みやすい都市でもあるのかということを考えさせられますね。コペンハーゲンの「観光の終焉」宣言などとあわせて考えてみたいテーマです。

  • また、以前、騒音が心疾患をはじめとする健康リスクを高めるという記事を取り上げました。騒音による健康リスクの問題は幹線道路沿道だけでなく、空港周辺でも共通の課題だと思います。