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伊ミラノは高レベルな大気汚染で一時的に自動車の通行を禁止

case|事例

イタリアのミラノは、高レベルの大気汚染に対処するため、日中の大型車の通行を一時的に禁止する。また、大気汚染の改善はミラノ単独で解決することが難しいため、周辺の自治体にも綿密な協力を求めている

2月19日に、スイスの大気質リアルタイムモニタリング「IQAir」がミラノの大気汚染レベルを「不健康」のレベルに指定し、微粒子物質(PM2.5)のレベルはWHOの定める基準値の24倍を超える水準を記録していた。このときのミラノの大気汚染レベルは、中国の成都に次いで世界で最も汚染レベルの高い状況であった。その後、汚染レベルは若干改善したが、2月20日時点のPM2.5の値は基準値の16倍もの水準だった。

IQAirのデータ精度は必ずしも高くなく信頼性が乏しいとの指摘もあるが、当日のミラノのPM2.5の値が基準値を大きく超えていたことは間違いない。EUのデータでも、ミラノのPM2.5をはじめとする大気汚染の指標はヨーロッパで最も高く、大気汚染はミラノにとって喫緊の課題と言える。それはイタリア全土で共通で、イタリア環境医学学会によると、大気汚染によるイタリアの死者数は年間8万人と、ヨーロッパで最も多い

ミラノ市長は、深刻な大気汚染への対処として、2023年10月に2024年半ばから都心の自動車流入を抑制する計画を公表していた。この計画では、都心の主要部にカメラを設置し通過交通の都心への進入を禁止することを考えている。

insight|知見

  • 汚染レベルに応じて迅速に措置が取れるという機動力の高さに驚きましたが、大気汚染レベルは越境の影響もあるので、ミラノの自動車通行の抑制でどの程度の効果が得られるのか気になりますね。

  • 越境汚染は、国際協力が必要な分野だと思いますが、国内でも広域連携のテーマになりえると思います。広域連携はさまざまなテーマが考えられていますが、利害が一致する環境問題は取り組みやすいテーマのひとつのように思います。