マイアミ・デイド郡の公共イノベーションチャレンジ事業
case | 事例
マイアミ都市圏を含むフロリダ州のマイアミ・デイド郡の、マイアミ・デイド・イノベーション・オーソリティ(MDIA)は、第4回パブリック・イノベーション・チャレンジを発表した。今回のチャレンジ事業は、マイアミ・デイド交通及び公共事業局(DTPW)が抱える課題への提案を求めるもので、特にアート・バーゼル・マイアミ、マイアミ・アート・ウィーク、ウルトラ・ミュージック・フェスティバル、その他大規模なスポーツイベントなど、交通量が著しく高まるイベントの開催にあたっての交通管理を再構築、強化、改善する革新的なソリューションについて、地元も含め世界中のアーリーステージからグロースステージのスタートアップから募集するものである。
チャレンジでは、センサー、カメラ、空間・交通データ、予測分析、AI、機械学習などの先進技術を活用し、道路、歩道、その他の公共空間における交通の可視化と管理強化のソリューションが求められている。採択された提案は、従来とは異なる通勤パターンや特別なイベントへの測定可能な影響を実証するものとされている。300万人近い住民と年間2,700万人以上の観光客を抱えるマイアミ・デイド郡は、交通網管理の課題に直面しており、交通マネジメントシステムの改善、混雑の緩和、公共交通機関の効率化、ドライバー・自転車利用者・歩行者の安全性の向上、排出量と移動時間の削減、より良い都市計画の実現などに対して、交通状況の可視化精度の向上が不可欠と考えられている。具体的な提案のポイントとしては、個人の車両移動:特に工事や事故などの特別なイベントや異常事態に対応して、車両を迂回させたり、重要な情報を提供するソリューション。歩行者の移動:人々の移動とその交通ニーズの把握に役立ち、特に特別なイベント時の移動をより安全かつ効率的にするソリューション。公共交通機関の効率化:ルートや発着時刻の追跡、効率化につながる公共交通機関の信号のソリューション。一般道路の利用:交通の流れを最適化し、渋滞を緩和するために、一般に公開されている空間データや交通データを活用するソリューション。
チャレンジは2024年11月22日まで開催され、MDIAはDTPWと連携し、アーリーステージからグロースステージのテクノロジー系スタートアップ企業を少なくとも3社選出し、各社に10万ドルの資金を提供して、DTPWと協力してソリューションのテストと検証を実施する。
insight | 知見
自治体の企画公募案件では、提案する企業が地元に本社や事業所を持っている場合に加点されることが多く、また、類似案件の実績が応募要件になったりすることが多いです。税金の使い道として、地元への還元や一定の成果の担保が重視されるからだと思いますが、他地域の企業や新興企業にとっては参入障壁になっています。
記事のマイアミの事業は、基本的にはイノベーション・オーソリティ(MDIA)の事業で、目的はイノベーションを起こすことにあるので、全世界から、かつ実績のないスタートアップに限定して提案の公募ができるのだと思います。MDIAのような組織も、スタートアップ活用の事業の進め方も参考になりますね。