都市を取り囲む緑がヒートアイランドを緩和する
case|事例
気温が0.5℃下がることは大した効果ではないと感じるかもしれないが、温暖化が進む中では高齢者や子どもの命を救う可能性がある。ヒートアイランドは、道路や屋根などが太陽光を吸収することで都市の気温を2℃から3℃上昇させる。ヒートアイランドによってすでに世界中の都市の生活の質を下げ、死者数も増加傾向にある。
都市を冷やすために、いくつかの都市では科学者の助言に基づき、植樹をおこなったり、可能な限り舗装を芝生に置き換えたり、建物の壁面を太陽光を反射させるように白色に塗り替えたりと、様々な取り組みを始めている。
緑化によって都市が冷やされる効果は、研究でも明らかにされ始めている。中国の東西大学が発表した論文では、都市を取り囲む緑が都心部を0.5℃程度冷やす効果を定量的に示している。ヒートアイランドは都市の中心部の気圧を下げるが、緑に取り囲まれている場合には冷たい空気が流れこむため、都市が冷やされる。都市の外縁部に湖がある場合にも、緑で取り囲まれている場合と同様の効果が確認されているが、草地や耕作地では効果が薄いことが明らかになった。
insight|知見
毎日暑い日が続いているので、日なたより過ごしやすい緑陰の偉大さを街なかを歩くたびに実感しています。今回の記事は、緑の局所的な効果というよりも、都市全体へのマクロ的な効果を示していますが、緑の重要さは温暖化に伴いますます増しているように思います。
海や河川からの涼しい風を都市の中に引き込む風の道と併せて、どう緑を配置して都市を冷やすのかということを実務側でも研究側でも考えていかないとなと思います。