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チューリッヒは公共交通中心の都市として進化しようとしている

case|事例

スイスのチューリッヒはもともと公共交通が発達した都市として知られているが、チューリッヒ市は、その優れた公共交通に自転車等の交通手段を統合することが必要だと考えている。

2年ごとに実施される調査によると、チューリッヒの市民の公共交通の満足度は高い。一方で、自動車での移動に対する満足度は低く、自転車はさらにそれを下回る。現状、自転車の分担率は10%から12%程度で必ずしも高くない。これは道路の狭さに起因する通行のしにくさや必ずしも安全とは言えない利用環境が原因と考えられている

チューリッヒ市は、公共交通体系に自転車を統合するための取り組みとして、9月の末から都心のメインストリートのひとつであるラングシュトラーセの自動車の通行を禁止し、自転車通行空間などを割り当てるための実証を行っている。1月には街頭カメラが取り付けられ、ナンバープレートの読取りによる取り締まりを実施している。1月で違反者は17,310人にのぼり、徴収した罰金は総額で130万フラン(約2.1億円)にも及ぶ。

都市開発ディレクターのアンナ・シンドラー氏は「確かにこの取り組みは市の財源徴収にもなるものだが、額として大きすぎ、経路設定や周知など、このシステムで何かが機能していないことが顕れている。実証期間中の修正が必要だ。」と見解を述べている。

チューリッヒ市は、ラングシュトラーセの自動車通行禁止と併せて都心の街路のいくつかを歩行者専用化するなど、都心の交通環境全体の改善に努めている。また公共交通体系と自転車とを統合することで、ポリセントリックなチューリッヒの都市特性をさらに強化し、中心性をもつエリアを中心とした生活圏の再編を進めたいと考えている。

insight|事例

  • すごい違反者と罰金額なので、確かに何かしらの修正が必要なのかもしれませんが、実証実験を通じて試行錯誤を重ねて必要な修正を加えるという態度は見習うべきだと思います。

  • 実装ありきの実証や検証や評価が疎かになる実証は避けたいですよね。