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ロンドンは2025年からEVも混雑課金の対象とすることを決定

case|事例

ロンドン市交通局(TfL)は2025年12月から電気自動車(EV)の混雑課金免除を解除し終日の課金対象とすることを発表した。現在、EVは年間10ポンド(約2,000円)の支払いを課されるだけで、1日15ポンド(約3,100円)の日々の課金は免除されている。

TfLは、EVに対する混雑課金の免除はあくまでも大気汚染対策の段階的な計画のひとつであり、混雑課金の免除を解除する今回の決定によって、ロンドン都心部の混雑対策がより有効性を増すとコメントしている。現在、112,318台が混雑課金の免除対象となっており、そのうち15,782台がタクシーなどの自家用ハイヤーとなっている。また、混雑課金が免除されていた間に住民と企業をあわせて52,000台分のEV購入助成が成立している。

TfLの今回の決定に対して、「都心部の混雑対策として将来的に課金の免除の必要性は認めるが、いまだに多くのロンドン市民がEV購入のインセンティブや支援を求めており、今回の決定は不可解であり、時期尚早である。」として、一部の環境団体や中小企業連盟から批判が出ている。また、環境団体や中小企業連盟は気候変動対策のため確固たるEV普及支援を求めている。

insight|知見

  • EVの普及のためのインセンティブ制度の止め時の難しさを考えさせられます。確かにロンドン都心部の混雑課金は深刻な交通渋滞の緩和のための施策なのでTfLの意図は理解できますが、一方で環境団体が主張している普及が十分でないという主張もなかなかに合意形成の難しい問題なような気もします。

  • また、ライフサイクル全体で見るとEVのCO2排出量の優位性が発現するのは走行距離10万キロを越えたあたりからという分析もあります。都市全体の排出量や渋滞問題を考えるときは、ガソリン車とEVの比較だけではなく、公共交通や自転車も含めた交通体系で考えないといけないなと思います。