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数千人のパリ市民がシャンゼリゼ通りでピクニックを楽しむ

case|事例

パリのシャンゼリゼ通りが一時的にピクニック会場へと変貌した。通りには赤と白のチェック柄の216mのピクニックブランケットが敷かれ、出店した8つのレストランから提供される食事などを楽しみながら、パリ市民4,400人がピクニックを楽しんだ。

このピクニックイベントは、ジェントリフィケーションが進むシャンゼリゼ通りに危機感を抱く地元の小売店や起業が組成する委員会が主催し、減少する地元の来街客を増やすことを目的にしている。現在、シャンゼリゼ通りはデザイナーショップが集積し裕福な観光客が訪れているが、その一方で地元住民から愛されているお店や映画館は閉店が続いている。

来月には1937年に開業し現在では通り唯一の映画館となった「UGCノルマンディー」が閉店し、地元に愛された書店や娯楽施設、レコード店、衣料品店から高級ブティックやスポーツ用品店への移り変わりに歯止めが利かない。毎月130万人が歩いているといわれるシャンゼリゼ通りは、不動産価格が上昇し、この1年で家賃が15%上昇した。小規模の独立系店舗や収益性の低い店舗はこの地価上昇へ対応できずに閉店や移転を余儀なくされる。一方で大規模資本の投資は続いており、ルイビトンなどを傘下にもつLVMHは通り沿いの本店改修に10億ユーロ(約1,700億円)を投資している。ジェントリフィケーションが進み、客層も変わり、地元感が徐々に喪失しているはシャンゼリゼ通りに委員は危機感を募らせている。

insight|知見

  • 渡辺通りでもピクニックやれたらいいなくらいの気持ちで記事を読み始めましたが、背景にはジェントリフィケーションの問題があり、結構考えさせられる内容でした。シャンゼリゼ通りが抱える問題は、開発が進む天神や博多でも起こりうるものですし、なじみのお店がなくなって愛着が薄くなり始めているのはすでに何となく実感してしまいます。

  • 気づいたときに時すでに遅しにならないように、長期的な利益や価値を得ていくための需要創出や仕組みづくりはコツコツと進めないといけませんね。