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アメリカ心臓協会、健康増進のための都市の総合政策声明を発表

case | 事例

アメリカ心臓協会(AHA)は、心臓の健康を増進する上で、都市の総合的な公共政策が果たす重要な役割に焦点を当てた政策声明を発表した。同協会の主要な査読付き科学雑誌サーキュレーション誌に声明が掲載されたが、都市部における疾病と死亡の主な原因である心臓代謝性疾患の有病率は、都市の空間計画とそのインフラ、食料供給システムによって顕著な影響を受ける可能性があることを示している。これらの都市システムが心臓の健康だけでなく、生態学的にも、経済的活力にも有益であることを実証するため、共同的・学際的な公共政策に関する戦略的な取り組みを提案している。

AHAの提案では、統合された都市空間計画の必要性(コンパクトで包括的な都市空間を創造することで、自動車への依存を減らし、活動的なライフスタイルを促進し、医療やその他の必要不可欠なサービスへの公平なアクセスを促進すること)、供給サイドの革新(クリーンなエネルギー源、持続可能な食品システム、電気自動車、資源効率の高い建設への転換を図り、環境フットプリントを削減し、心臓の健康を促進すること)、公平的な参画(持続可能で公平な都市再開発を促進するため、多様な主体の連携とネットワークを動員すること)、健康に関するパートナーシップ(政府機関、非政府組織、コミュニティベースの組織を巻き込み、排出物や廃棄物の削減など、持続可能な活動を推進すること)、統合的な公共政策(「すべての政策に健康を」というアプローチを採用し、集団の健康と健康の公平性を向上させ、すべての公共政策決定の中心に健康への影響を据えること)の5つの方向性を示している。

AHAは、都市の複雑さを認識した上で、様々な分野の利害関係者が参加する、学際的で協力的なアプローチを求めており、これには、医療、都市計画、環境工学、公共政策の専門家が参加した都市の計画と運営が不可欠であることと、上述のように、「すべての政策に健康を」というアプロ ーチの重要性を強調しており、人々のためにあらゆる公共政策の決定において、健康への影響を中心に据えるべきだとしている。同声明は、心臓代謝性疾患の蔓延を緩和することが目的だけではなく、都市における環境や生活全体の質を高めることを目的としており、将来の都市開発と公衆衛生にとって重要な参考となりそうだ。

insight | 知見

  • 都市の政策や事業を決めたり評価したりする際に、地域の経済と活力を向上させることの優先順位はかなり高いと感じます。議会においても、実施する施策の経済効果や影響を問う質問は多いと思います。これを「実施する施策・事業は市民の健康に良いのか?」という尺度で判断していきませんか、というのが上の声明が投げかけていることだと思います。

  • コンパクトで包括的な都市空間を創造したり、クリーンで環境に優しく公平な社会をつくるといった目指すところは同じですが、「健康を良くするため」という視点からでもたどり着くものなんだと、新しい気付きがありました。