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ヴェネチアはオーバーツーリズム対策として団体旅行の人数を制限

case|事例

ヴェネチアは、深刻なオーバーツーリズムの問題に対して、今後ツアーガイドなどの拡声器の使用を禁止すると共に団体旅行の人数を25人までに制限することを決めた。

ヴェネチアは、歴史的な運河に囲まれた景観が有名で、ヨーロッパで最も人気のある観光地のひとつであるが、その一方で、オーバーツーリズム問題が差し迫った課題となっている。2019年には、住民25万人の街に年間1,300万人の観光客が訪れ、日々の生活が脅かされるとしてヴェネチアから引っ越す住民が後を絶たない。現在、観光客用に49,000床のベッドが確保されていると言われているが、これは新規住民向けのものよりも多い水準だという。パンデミックの影響もあって、2019年から観光での来街者数は減少傾向にあるが、次第に観光客は戻ってきておりパンデミック前を超えるのは時間の問題と言われている。

ヴェネチアは、2021年にクルーズ船の着岸を禁止し、2024年はじめには1日5ユーロ(約850円)の入場料徴収を開始するなど、オーバーツーリズムの対策を進めてきた。気候変動やオーバーツーリズムの影響で、今後ヴェネチアは不可逆的な影響を受ける可能性が高いとして、ユネスコから最も危険な世界遺産リストに載る可能性があると警告を受けたことから、今回の新たな制限の導入に至った。

insight|知見

  • 観光で得られる付加価値額は、日本でGDPの2.0%、日本を除くG7平均で4.0%程度だと試算されています。過度な観光の受け入れは、経済全体でさして影響が大きくない一方で、観光資源そのものの価値に不可逆的な損失を与えてしまう可能性があるというのがヴェネチアからの学びなのではないかと思います。

  • もちろん観光によって潤う産業もあると思いますし、裨益効果も一定水準あるとは思いますが、適度に受け入れをしないと、観光資源の価値や生活環境が損なわれるのでマネジメントが必要だということだと思います。