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カナダのメインストリートは公的投資で復活するか?

case|事例

都市問題の調査や研究を手掛ける非営利団体のカナダ都市研究所(CUI)は、最近の研究レポートの中で、メインストリート再生における公的投資の重要性を指摘している。レポートでは、パンデミックの影響を受けたカナダのメインストリート沿いの中小規模のビジネスはコロナ前の収益水準に戻っておらず、ビジネスオーナーも自信を失っている一方で、公的なインフラへの投資や補助、規制緩和など広範な公的支援によって地域のビジネスの成長を効果的に促進することが可能だと述べている。

CUI代表のメアリー・W・ロウ氏は、「それぞれのメインストリートが異なる特徴を持つが、いずれも共通して単なる商業サービスを提供する商業活動の場にとどまらず、社会的な結束を生み出し、文化やコミュニティ活動へのアクセスを提供している。確かにeコマースの影響はあるが、公共投資によってメインストリートの活気と健全性を維持させることが可能で、それはと都市全体に利益をもたらす。」と述べている。

オンタリオ州連邦経済開発庁は、カナダ政府からの資金提供を受けた「My Street Program」でメインストリートの再生を支援している。現在、第2期のプログラムを組成中で、総額1,500万カナダドル(約16.7億円)の支援を行う。支援内容には中小企業の経営改善向けの返済不要のローン、インフラ改善やイベント組成のための補助などが含まれる。2021年に実施された第1期のプログラムでは総額2,325万カナダドル(約35億円)の支援が行われ、売り上げが2倍になったケースや投資収益率が3倍となったケースなど、顕著な効果が見られた。

例はカナダ以外でもみられる。例えばニューヨークは商業地域内で地域サービスを提供する事業主に対する税制優遇制度を導入している。また、ハーレム地区は、これまで小規模の独立系ビジネスが多く入居していた1階の用途が家賃負担力の高い薬局や銀行に独占されないように商業ユニットの規模を制限している。

insight|知見

  • メインストリートとセットで地域の中小ビジネスを大事にする視点はなかなか日本にはないのではないかなと記事を読んで感じました。

  • 天神は大規模な再開発でなじみの地域の商いのようなお店がなくなりつつありますが、確かに愛着やコミュニティに帰属している意識などが低下してきている気がします。商業活動以外の価値が中小ビジネスにあるとすれば、これからの天神にどのような影響があるのと考えてしまいます。