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マーサーの「生活の質・都市ランキング2023」

case | 事例

グローバル大手人事コンサルのマーサー社による、2023年の生活の質ランキング(Quality of Living City Ranking 2023)。同ランキングは、世界各地に赴任している駐在員とその家族の日常生活について評価したもので、世界241都市を対象に行われた。マーサーは毎年、世界生活環境調査(Worldwide Quality of Living Survey)を行っているが、主要な多国籍企業と専門家の協力のもと、基準都市(NYC)と各都市の政治的安定性、医療、教育、インフラ、社会文化環境など、多面的に比較評価してランキングを作成している。

駐在員にとって生活の質が高い都市のトップはオーストリアのウィーンであった。ウィーンは歴史、建築、文化など様々な面で高い生活水準を住民に提供している。2位はスイスのチューリッヒ、3位はNZオークランドと続き、トップ10には欧州7都市がランクインした。アジアではシンガポールがトップで29位、日本は横浜(47位)、東京(50位)、大阪(58位)、名古屋(63位)が評価対象となった。

欧州都市は居住者、海外赴任者、観光客にとって多様で魅力的な地域となっているが、都市が提供できる生活の質に加え、そこに住むためのコストも駐在員や派遣企業にとっての魅力度に関わる。近年は国や都市が国際ビジネスの他、デジタルノマド・モバイルワーカーなどを惹きつける努力を続けており、モバイル人材のための柔軟な制度、生活の質の高さ、妥当な生活費を兼ね備えている都市の魅力度が高まっている。また、企業が赴任地を決定する際に考慮する新たな要素として、都市の持続可能性も重視される要素になってきている

insight | 知見

  • 基準都市のNYCは40位でしたが、NYCにいるグローバル企業が駐在員を世界に派遣しようとした時に、生活の質がより良くなるのは40都市くらいのイメージなんですね。横浜・東京は全体のランキングから見ると40~50位のゾーンですが、基準都市NYCとの差はあまりなさそうです。

  • グローバル企業の駐在員の赴任先都市として俎上に上がる日本の都市が横浜、東京、大阪、名古屋に限られているのはなるほどだと思いました。福岡が対象都市になるには、記事にあるようなモバイル人材を惹きつける努力や、都市の持続可能性への取り組みはヒントになるかもしれません。

  • 比較分析の方法論なども説明しているウェビナーも公開されています。