見出し画像

エジンバラは20分都市の実現に着実に近づいている

case|事例

エジンバラ市とSustransが、2年に1回、協働で実施している調査で、エジンバラ市民のアクティブトラベルでの移動割合が着実に増えており、20分都市を目指す施策も大半の市民から支持されていていることが明らかとなった。調査はエジンバラ市民1,200人を対象に実施されている。

回答者のうち、週に5回以上、徒歩での移動を行う人が全体の3分の2を占めており、2021年から引き続き高水準を維持している。自転車の年間利用回数は、2021年の2,440万トリップから3,070万トリップへ大幅に増加している。一方で、週に1回以上、自転車で移動する人の割合は22%と、2021年の26%から若干減少している。

今後の利用意向については、徒歩や車いすなどでの移動をより増やしたいと考えている人の割合が45%、自転車での移動をより増やしたいと考えている人が49%と、約半数が徒歩や自転車での移動を増やしたいと考えている。一方で、公共交通は利用を増やしたいと考えている回答者の割合が25%と、サービスやインフラの改善の必要性が伺える結果となった。一方で、調査結果からは課題も伺える。少なくとも週1回以上自転車を利用する割合は、男性が28%、女性が16%と性別間で差がみられる。また同様に、白人は67%、民族的なマイノリティは55%と人種間での差もある。今後より性別や人種による手段選択の偏りをなくし社会的な公平性を高める必要がある。

また、インフラへの投資についても好意的な回答が多い。歩行者関連のインフラ投資を増やした方がいいとの回答は57%、自転車関連のインフラ投資を増やした方がいいとの回答は50%、公共交通への投資を増やした方がいいとの回答は68%と、積極的な公共投資で市内全域の移動環境の改善が望まれている。自転車道に関しても、自転車専用道路の確保を73%が、物理的に分離された自転車走行空間の確保を65%の回答者が望んでおり、58%の回答者は他の交通に供される空間を減らすことはやむをえないと考えている。

自宅から公園や商店へアクセスしやすく車なしで日常生活が行えるような都市を目指す20分都市の実現に向けても大半の市民が賛意を示しており支持は高い。7割の回答者は、すでに車がなくとも生活に必要な場所に行けると回答している。

insight|知見

  • 2年に1度、健康診断のように移動の実態などを調査できると、政策の効果もきちんとモニタリングできますし、そもそもの都市の現状をきちんとデータで理解できるというメリットがありますよね。

  • パーソントリップ調査のような大規模で回答負荷もそれなりに大きい調査だと10年に1回程度の頻度にならざるを得ませんが、1,000サンプルくらいの調査規模であれば無理なく続けられそうな気がします。

  • 街が住みやすいかどうかとか好きかどうかなど、漠然とした訂正評価だけでなく、設問が適切に設計された定量評価が増えていくといいなと思います。特にDXなどの出番ではないかとも思います。