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キャンベラの新しい都市計画体系が始動

case | 事例

オーストラリア首都特別地域(ACT, キャンベラ)の新しい都市計画制度が始動した。2014年に策定された旧都市計画制度について、2019年以降より市民参加を進めながら、広範な調査を実施しつつ、地域社会と産業界などと協力した結果、新しい枠組みが完成した。更新された新たな都市計画体系は、2023年計画法(Planning Act 2023)、地域計画(The Territory Plan)、地区戦略(District Strategies)から構成され、プロセスと申請の仕組みに加え、研修と教育についても体系化されている。都心の開発とデザインの指針となる新しい都心のデザインガイドラインも発表された。

計画・土地管理局長は会見にあたって、ACTが今後数十年の間に大きく成長する趨勢を踏まえ、2050年までに人口と需要を満たすための、持続可能に成長する都市に相応しい近代的な計画システムが始動したと述べた。また、新しい計画制度に関するコミュニティと産業界の研修プログラムが9月から行われているが、これまでに2,000人以上の市民が研修に参加しており、研修受講によって、市民、コミュニティや企業がACTをポジティブに形成するために、自身の役割や手続きに慣れるのに役立つと紹介した。

新しい計画制度では、市民に親しまれている緑地など、都市を特徴づける多くのものを保護することを重要視しつつも、より持続可能で住みやすい街を実現するための再生や集約化も促すとしており、新しい都心部のデザインガイドラインもそのツールとなる。


insight | 知見

  • 都市計画の体系や進め方は各国各都市によって様々だと思いますが、都心のデザインガイドラインを都市計画の重要なパートとして、かなり細かく作っているキャンベラの事例は、福岡ではエリマネで作るデザインガイドラインの参考になるのではないかと思いました。

  • 市民・企業の都市計画への参画について、研修の仕組みを導入して進めているのも参考になると思いました。福岡市でも基本計画と都市計画マスタープランの改定に差し掛かっていて市民の巻き込みを進めていますが、知識のないままの市民参画と、何らかの研修プログラムを受講した上で参画では、得られるフィードバックも、市民の満足度も違うのではないかと思いました。