2024年度 筑波大学大学院 知能機能システム学位プログラム 推薦入試 合格体験記【外部進学】
2024年度 筑波大学大学院 理工情報生命学術院 システム情報工学研究群 知能機能システム学位プログラム(IMIS) 推薦入試に外部進学(専攻科)で合格するまでの過程を書いていきます.
受験先
筑波大学大学院 理工情報生命学術院 システム情報工学研究群 知能機能システム学位プログラム(以下,IMIS) 推薦入学試験
自己紹介
所属:某高専専攻科 情報系
TOEIC:785点
志望校:筑波大,電通大(学力で受ける予定だったが,筑波に合格したため未受験)
志望理由
振動×触覚の研究に取り組みたいと考えていたけれど,この研究テーマを扱っている研究室が電通大と筑波大しかなく,研究室訪問での先生とのやりとりを踏まえて筑波大に決めました.
試験内容
評価対象となる項目について概要を述べていきます.実際に私がどのように対策したのかはのちほどの「試験対策」で述べます.
基礎学力(数学)
出題範囲自体は下記のリンクの通りで,線形代数と解析学の2種類が出題されます.
注意点として,数学は試験方式がかなり特殊で,通常の試験とは異なっています.ただし,受験時に「試験内容を口外しないように」という注意があるため,ここでは具体的な内容は書けないです.
ではどのようにして情報を得るのかというと,内部生に直接聞いてしまうのが手っ取り早いです.試験内容を口外しないようにという注意はありますが,全然喋ってくれます.指導教員がそばにいる前でも普通に話してくれたので,内部で話を聞く分には緩いのかなと思います.
内部生に話を聞ける機会としては,3,4月に実施されているオープンキャンパスがおすすめです.
このオープンキャンパスにはラボブースと呼ばれる研究室紹介の時間が設けられていて,内部生に研究内容や院試について聞くことができます.私はいきなり院試について聞くのは無粋かなと思ったので,最初に「これはどのような研究なんですか?」とか「これはどのような応用先があるんですか?」と聞いた後に「院試についてもお聞きしたいんですけど…」という流れで聞きまくっていました.
あと,特殊なケースですが内部生向けに実施されている研究室紹介に外部生も参加できる場合があります.ここでも内部生に話を聞けるので,研究室のホームページを参考にして教授にコンタクトをとるのがいいかと思います.
試験で出題される難易度については「基礎学力(数学)」とあるように基礎的な問題しか出てきません.ただし,線形代数は難易度が少し上がります.具体的な難易度については,のちほど述べる「試験対策」の「基礎学力(数学)」の内容が参考になるかと思います.
最後に,この科目は過去問が存在しないとされていますが,先輩や教授によっては持っている場合があります.なので,研究室紹介やオープンキャンパス等で知り合った先輩に見せてもらえる可能性があります.研究室にもよりますが教授に頼めば見せてもらえるかもしれないです.外部生は情報格差の点で内部生よりかなり不利なので,このあたりは頑張る必要があります.
TOEIC
出願時(毎年5月末から6月上旬の時期)に提出します.そのため,それまでに準備する必要があります.二年前までのスコアが有効となります.大学院はいくつで満点になるのかが明言されていませんが,筑波の編入では730点が満点であることが明言されており,かつ他の記事でも満点が730点であることが匂わせているので,730点を目指すことが目標になります.
面接
面接内容は下記のリンクにも書かれていますが,2分間で志望理由(現在の研究内容や今後の研究計画を含む)を口頭で説明します.
初めに志望理由について聞かれるので,事前に用意した内容を2分ぴったりに収まるように説明します.そのあと教授から3,4つ質問される流れです.スライドや資料なしで説明する必要がある点に注意です.
研究計画書
計画書の形式は明示されていないため,どのように書けばいいのか手間取ると思います.ネットの情報を参考にするのもいいですが,志望先の教授から「過去の計画書をいただけますか」と連絡を送って見せてもらうのが確実だと思います.
下記に計画書の注意点をまとめておきます.
日本語で1000文字程度に収める必要があります
参考文献も文字数に入るため注意が必要です(私の場合は参考文献を書かず,「L. Lizu et al., 2013」のように最低限の情報だけ入れました)
出願時はWeb上のページにあるtextarea要素にそのまま入力します.そのため,事前にフォーマットを整えなくて大丈夫です.
試験対策
基礎学力(数学)
試験対策で使用した参考書についてまとめていきます.初めに基礎固めとして使用した参考書を述べた後,実戦形式として使用した参考書を述べていきます.
内部生からの聞き込みにより,基礎的な問題を中心に出題されることを知ったので,最初に基礎固めから入りました.線形代数も微分積分も昔に勉強したまま記憶の彼方に飛んでいたので,下記2つの参考書で勉強しました.
この手を動かしてまなぶシリーズは初心者向けというより,基礎を習得した中級者向けという立ち位置ですが,理論や証明が分かりやすくまとめられていておすすめです.
ただ,ぶっちゃけこの二冊で基礎を学ぶぐらいならマセマで済ませてしまうのが効率的だと思います.理論的に理解するのにはすごい役立つんですが,実際の試験でこの参考書の内容が役立ったというわけではなかったので….試験の難易度的にもこの参考書だとオーバースペックなところがあるので,マセマで基礎をおさらいして,マセマ(演習)の方に移るのがいいと思います.
線形代数の基礎固めは以上ですが,解析学は微分積分だけでなく微分方程式や複素解析も範囲となっているため,微分方程式はマセマを,複素解析はヨビノリの動画と受講していた講義の演習問題で対応していました(偏微分方程式は出題される可能性が低いと思われます).
マセマの常微分方程式は後半にある級数解法とかルジャンドルの微分方程式まで力を入れる必要はないと思います(出題される可能性が低い&理解に時間がかかる).繰り返し説いて解法を覚えておくだけで大丈夫.ヨビノリの複素解析論は神的に分かりやすい上に面白いので全人類見るべき.
基礎を固めた後は実戦形式で下記の参考書たちの問題を解きまくりました.
マセマは上記2つを繰り返し解いていました.
問題量がちょうどよかったので微分方程式はマセマではなくこちらを使っていました.でも今考えれば別にマセマの演習でもよかったかも.出題される可能性が高そうな2,4章を中心に勉強しました.
IMISは解析学より線形代数のほうが難易度が高いため,こちらの第11,12,13章を解いていました.例題+標準問題を解く形です.
こちらも編入数学徹底研究でやったところと被っている第5,6章の例題と標準問題を解いていました.
TOEIC
TOEICの勉強方法は世の中にたくさんあるので,そちらを参考に自分にあったやりかたを見つけるのがよいと思います.私も参考までに一応どのような勉強をしてきたのかまとめておきます.
単語帳は定番の金本銀本です.一定の周期で何度も繰り返して覚えます.金本の900~1000は難しすぎるし実際に出題される可能性が低い単語なので無理に覚える必要はないかもです.
TOEICの問題の傾向に基づいた攻略法を教えてくれる本です.特にリスニング部分はTOEIC特有の傾向があるので非常に参考になります.後半のリーディングに関しては問題数が不足しているので別の参考書で補いました
この本で勉強する際の注意点として,600点を取るのには最適ですが,730点を狙う際にこの参考書で学んだ攻略法が足枷になる可能性があります.この本の方針は,難しい問題に時間をかけずスキップして,簡単な問題を確実に取るというやり方になっています.そのため,この本で学んだ攻略法をそのまま使っていくと難しい問題が解きずらくなってしまいます.このあたりは人によるので何とも言えませんが,私の場合はある程度ほかの参考書で実力をつけて,あとは難しいも簡単も関係なしにふつうに上から順に解いていくようにしていました.
問題量の多さにめまいがしそうですが,一問当たりの時間は20秒もいかないのですらすら解けます.これを繰り返し解くとPart5,6は問題ないです.
730点を狙うならここまでやる必要はないかもですが,一応紹介します.巷でよく過去問より難しいといわれる精選本です.確かに難しいし出てくる英単語も難易度は高いですが,かなり力になります.私は難しい単語をそのままQuizletと呼ばれる単語帳アプリに登録して暗記していました.
言わずもがなの公式問題集です.私が使っていたのは6とか7でしたけど,もう11が出ているんですね.
あとこれは完全自己流なのですが,TOEICのモチベーションを高める方法として私はHoloive Englishを見ていました.TOEICと直接の関係はありませんが,見ていて勉強した単語とか文法が出てくるとテンションが上がってモチベーションにつながるのでお勧めです.
推しのAmeliaちゃん.突拍子もないことを急に言うのが面白く,定期的に入るしゃっくり(HIC!)がかわいい.
発音が聞き取れないのは単語を知らないからではなく単語と単語のつながりが聞き取れていない場合もあるので,上記のサイトが参考になります.
面接
面接は2分以内で志望理由述べます.私は3つのパートに分けて,最初に志望理由を20秒,専攻科での研究を40秒,大学院での研究計画を60秒という割合で作って練習しました.月並みですが,壁に向かってだけでなく教授や友達相手に練習するといいです.また,志望理由を述べた後に質問がいくつか飛んでくるため,事前に予想質問をまとめておきました.このあたりは教授によって傾向が異なるので何とも言えませんが,先行研究との違いや研究で使用する方法の詳細などを問われる可能性があります.相手は情報系ですが自分の研究内容に精通しているとは限らないので,専門外の人でも分かりやすく伝えることを心掛けておけば大丈夫です.
研究計画書
事前に教授と相談した研究テーマに沿って書いていきました.
過去の計画書を教授に頂いておくとスムーズに書けます.
院試対策スケジュール
昨年8月:夏休みを利用して大学院でやりたい研究テーマの方向性を決める
2月:電通大と筑波大の研究室に研究室訪問, 手を動かし学ぶ線形代数
3月:オープンキャンパスに行って情報収集 + 手を動かし学ぶ線形代数
4月:手を動かし学ぶ微分積分
5月:マセマ 常微分方程式, 複素関数論(ヨビノリ)
6,7月:マセマ 演習 線形代数・微分積分, 新版 演習 微分方程式, 編入数学徹底研究, 編入数学過去問特訓
当日
朝の5時に起きてつくばエクスプレスに揺られ9時ぐらいに会場につきました.周りはスーツ50%,オフィスカジュアル50%,ぐらいでごくまれに私服勢がいる感じです.自分もスーツ行きました.9:30から受験の注意事項に関するアナウンスがあり,基礎学力(数学)の試験が始まります.終わったら面接室に行って面接が始まります.面接官は三人でした.質問内容は想定質問の通りで,「研究で使うこの方法は具体的にどういうものなの?」とか「計画書に出てくる専門用語に関して説明して」みたいな想定内の質問が飛んできました(たまたま面接官が当たりだった?).面接時間も短めでした.
注意点
受験生調書
IMISは出願時に受験生調書と呼ばれる,下記の要素を含んだ調書を作成する必要があります.
現在やっている研究内容 (500文字以内)
自己アピール (約100文字)
志望教員との面接内容 (約150文字)
なぜか募集要項にはこの要素が明記されていないので,出願時に焦ることがないよう事前に準備しておくとおすすめです.
待機時間
受験当日は9:30集合となっていて,その後に試験が始まります.しかし,数学の試験の直後に面接を行う都合上,受験番号によって開始時間がかなり前後します.そのため,番号によっては勉強時間が与えられるのですが,この間電子機器の使用は禁止されるので,事前に参考書と紙のノートを持ち込んでおくと落ち着いて勉強できます.
学位申請
これがマジで面倒.高専専攻科は卒業時に学士の学位授与をしてもらうために学位申請というものをする必要があります.この時,「履修計画書」と呼ばれる研究計画書と類似した書類を作成する必要があるのですが,2024年から9月申請ではなく6月申請に変わったので,院試直前で忙しいときにこれを作る必要があります.しかも教授のOKがなかなかもらえずかなり苦戦します.対策としてはできれば教授と相談して2,3月中から進めておくか,早めに院試対策をスタートさせておくかといった感じです.
まとめ
長くなりましたが以上になります.分からない点があればコメントにて聞いていただけるとありがたいです!ここまで読んでいただきありがとうございました!
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