蟻塚とかげ@爬虫類館出版局

日曜翻訳家 / 「爬虫類館出版局」で隠密活動中 / 成瀬巳喜男原理主義者 / 海外マン…

蟻塚とかげ@爬虫類館出版局

日曜翻訳家 / 「爬虫類館出版局」で隠密活動中 / 成瀬巳喜男原理主義者 / 海外マンガ勉強中

最近の記事

読蜥蜴の毒読日記 24/7/15

悪魔もまた細部に宿るアヴラム・デイヴィッドスン『ダゴン』(らっぱ亭訳)  完全ネタバレレヴュー 0  『ダゴン』は伝説の作品だ。  いやそもそもアヴラム・デイヴィッドスンが伝説の作家というか、未だ全貌の見えぬ不気味な存在であり続けている。ある種のカルト作家ではあるのだが、何処の何に熱狂していいのかよく分からない、みたいな。    そんな不気味な曖昧さを纏う作家による、最も不気味な作品の一つが短編『ダゴン』だ。  日本でのアヴラム・デイヴィッドスン評価を決定づけたあの殊能将

    • 読蜥蜴の毒読日記 24/5/18 ②

      小説番外地 6 例えばこんなスタージョン 3 蟻塚とかげ@爬虫類館出版局 “Mailed Through a Porthole” “Accidentally on Porpoise” by Theodore Sturgeon 5月19日 蟻塚とかげは文学フリマ東京38 F-36で 翻訳同人誌『天空精気体(エーテル・ブリーザー) シオドア・スタージョン怪作集』を頒布します。 「天空精気体 シオドア・スタージョン怪作集」爬虫類館出版局@文学フリマ東京38 - 文学フリマW

      • 読蜥蜴の毒読日記 24/5/18 ①

        小説番外地 5例えばこんなスタージョン 2 蟻塚とかげ@爬虫類館出版局 “Strike Three” “Contact!” “The Call” by Theodore Sturgeon のネタバレレビュー 5月19日 蟻塚とかげは文学フリマ東京38 F-36で 翻訳同人誌『天空精気体(エーテル・ブリーザー) シオドア・スタージョン怪作集』を頒布します。 「天空精気体 シオドア・スタージョン怪作集」爬虫類館出版局@文学フリマ東京38 - 文学フリマWebカタログ+エント

        • 読蜥蜴の毒読日記 24/5/13

          小説番外地 4例えばこんなスタージョン 1 “A Noose of Light” “Alter Ego” by Theodore Sturgeon 今回 蟻塚とかげは文学フリマ東京38で 翻訳同人誌『天空精気体 シオドア・スタージョン怪作集』を頒布します。「天空精気体 シオドア・スタージョン怪作集」爬虫類館出版局@文学フリマ東京38 - 文学フリマWebカタログ+エントリー (bunfree.net) そこで発刊記念として スタージョン短編全集第1巻から 未訳作品 二作

        読蜥蜴の毒読日記 24/7/15

          読蜥蜴の毒読日記 24/3/22 ③

          それは「原作」と呼ばれる #2映画『アメリカン・フィクション』と 小説  “Erasure”  by Percival Everett について 「フィクションにおいてフィクションを捏造するとは?」  世の中にはちょっと聞いただけで「それは面白そう!」と感じるコンセプトを持っている映画や小説があるものです。  例えば「インテリの黒人作家がステレオタイプの黒人観にうんざりして、チンピラの黒人を主人公にした小説をでっちあげると、その本が大評判になって大弱り」みたいな。  こん

          読蜥蜴の毒読日記 24/3/22 ③

          読蜥蜴の毒読日記 24/3/22 ②

          それは「原作」とよばれる #1映画『ザ・キラー』2023 と 漫画“The Killer”(“Le Tueur”の英訳版) について 「殺し屋は何と闘い、フィンチャーは何に敗れたか」  映画『ザ・キラー』の原作はフランスのバンド・デシネ “Le Tueur” です。  オリジナル版は全13巻。第1巻の刊行が1998年で最終13巻が2014年。足かけ6年の長期シリーズです。私が読んだ英訳版電書総集編だと1巻の頁数がだいたい60頁超くらいですからBDのなかでは長い方の作品にな

          読蜥蜴の毒読日記 24/3/22 ②

          読蜥蜴の毒読日記 24/3/22 ①

          小説番外地 #1ウィリアム・ゴイエン 『息づく家』(1949) “The House of Breath” by William Goyen(Dzanc Books 2014 電書版)  私の2024年初読書はこの作品でした。  1月に読了したのですが、余りも驚愕したため、長いことレビューを書けずにいました。 なにしろ今までにお目にかかったことがないほど、異様な表現方法をとり、そこに妥協がない小説だったので。    そんな奇妙な小説 『息づく家』はこう始まります 『……そ

          読蜥蜴の毒読日記 24/3/22 ①