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まちなかリビングトークレポート 「新しいチャレンジを受け止める、ネイバーフッドコミュニティを育む拠点を考える」

池袋東口エリアを中心に、リビングのように居心地の良いまちなかを目指す”まちなかリビング”プロジェクト「IKEBUKURO LIVING LOOP」(以下、リビングループ)。
まちの人たちの顔が見える関係性からローカルな経済圏・文化圏が生まれ、互いにケアしながら暮らしを楽しんだり、支えあえるような「ネイバーフッドコミュニティ」が育まれる土壌をつくる動きをリビングループを通じて取り組んできています。

この「ネイバーフッドコミュニティ」を様々なテーマから、まちの人たちと考える「まちなかリビングトーク」(以下、リビングトーク)を今年2023年4月から新たにスタートしました。
そのvol.2を6月23日に「新しいチャレンジを受け止める、ネイバーフッドコミュニティを育む拠点を考える」というテーマで開催。

その時の様子をお届けします!
(vol.1を飛ばしていきなりvol.2のレンポート!?と言うツッコミが聞こえてきそうですが…vol.1はリビングループの6年間を振り返った超大作なトークとなったため、レポートも時間がかかっております。もう少々お待ちください!)

ゲストとして、良品計画ソーシャルグッド事業部の神代悠夜さん、無印良品サンシャインシティアルパ店の蒲生達大さん、まちのインディーズ・レーベル「ひがいけポンド」を運営する伊藤彩良さん、南池袋で8年スペシャルティコーヒー専門店「COFFEE VALLEY」を運営する小池司さんの4名が登壇しました。進行は、株式会社nestの宮田サラさんです。

池袋東口エリアに拠点を持つ登壇者がそれぞれの拠点や自身の活動について自己紹介したあと、自分たちの拠点で生まれている、育んでいきたいネイバーフッドコミュニティについて、トークセッションを行いました。



構えるのではなく、応援する立場でまちの人と溶け込んでいく

「ネイバーフッドコミュニティを形成するのは簡単なことではない」と実際にひがいけポンドを運営する伊藤さんは痛感したと話します。

伊藤さん 「最初はかなり手探りでした。ひがいけポンドは、当初誰でも来られる場所としてオープンしたんです。
でも誰でも来られる場所って響きは良いように聞こえるけど、実はかなり入りづらいんです。2,3ヶ月やって、ファンも根付かなくて“みんな”に向けてじゃなくて、“誰々さん”に向けてやる必要があると気づいてポップアップというレンタルスペースに移行しました。
ポップアップとして出店する方って個人の興味を表に出すので、それに興味がある人がどんどん寄ってきてその知り合いが知り合いを呼ぶという形で、芋づる式で人が集まるようになるんです。
最初の失敗を経てちょっとずつ人を巻き込めるようになっていきました。」

宮田さん 「いまでは人が集うようになっているひがいけポンドで、運営側としてチャレンジがしたいという人たちを受けとめるときにやっていることはありますか?」

伊藤さん 「私たちは応援する立場なので、来た人と雑談しながら良いところを引き出して出店の背中を押したり、チャレンジしたい人たちの不安を聞いて一緒に考えたりすることでサポートをするようにしています。」

伊藤さんは、関係性をつくったうえでチャレンジをする人に対して雑談ベースで相談に乗り、後押しをしているそうです。それは、誰でもではなくて、私とあなたという関係性をつくることの大切さに気づけたからこそ生まれたもののように感じました。

ネイバーフッドコミュニティの多様なあり方

ネイバーフッドコミュニティといっても規模や周りを取り巻く環境、それを推進する人によってさまざまな切り口があります。

蒲生さん 「無印良品という店舗として地域に根付いていきたいと思っていますが、営業をしているとアイディアは浮かんでもなかなか踏み出せないこともあります。大きな店舗ゆえに一緒に何かを行うことに対してハードルが高そうに感じられてしまうこともあるので、フラットに話しかけてほしいですし、私たち自身もフラットに関わり合えるような存在になっていきたいです。
その一歩として、リビングループのマーケットでSTUDIO201さんに声を掛けさせてもらい、Kids=Artists(キッズアーティスト)の活動で制作されたアートをアルパ店に飾ることになりました。:

宮田さん 「Kids=Artistsの活動は、これまでサンシャインシティや南池袋公園のRACINES FARM TO PARKHareza池袋グリーン大通りのストリートファニチャーなど様々な場所に展示をしてまちなかをめぐるきっかけてもなっていました。展示など何かををしたい人がいたときに、それを受け止めてくれる拠点がまちなかに多くあるということが池袋の面白いところだと思います。」

サンシャインシティ アルパ B1に創形美術学校が制作した壁に、Kids = Artistsのアートを展示

地域と関わりを育むために、まずは自分から動きつながりをつくっていった蒲生さん。
一方で、 COFFEE VALLEYの小池さんはまちなかにあるつながりに加わっていくというよりは、好きなことを掘り下げていくなかで自然と周りとのつながりができたと話します。

小池さん 「商品にラテべ―スという商品があり、それを池袋の数店舗のバーでオリジナルカクテルとして出してもらい、バーをめぐるスタンプラリーイベントを数年前から開催しています。私のような職人は1つのことを掘り下げることは得意ですが、付け加えたり、広げることはあまり得意ではないので、コーヒーの良さをもっと出すために料理人やバーテンダーの方からアイディアをいただきたいなというところからはじまりました。
と言うのは建前で(笑)僕とスタッフがバーを飲み歩いていて、バーテンダーさんと仲良くなり、そのつながりでこういうことやったら面白そうだねというところからはじまったんです。その結果、池袋でバーをめぐるスタンプラリーを開催することになったんです。」

期間中、COFFEE VALLEYのラテベースを使ったオリジナルカクテルが飲めるバーを巡るカクテルツアー

宮田さん 「あえてまちづくり的な文脈から見ると、池袋は昼間にまちをめぐるようなイベントはあったんですが、夜のまちをめぐる企画はあまりなかったように思うので、新たなコンテンツだなと思って見ていました。」

小池さんが、バーをめぐるなかでバーテンダーの方々と仲良くなり、雑談から企画が生まれ、結果として池袋の夜のまちを楽しむきっかけをつくることにつながったのは、伊藤さんの話と同様に、構えずに話せる関係性をまちなかでつくっていただからこそのようです。

チャレンジのしかたは人それぞれ。その向き合い方とは

ひとつの拠点に関わる人たちの関わり方も様々。ひがいけポンドに関わる人たちもいくつかの層に分けられると伊藤さんは話してくれました。

伊藤さん 「ひがいけポンドにお客さんとして来てくれる方から掃除のボランティアに参加してくれる方、運営に携わりたいという方まで様々なグラデーションの層があります。そのなかでも私たちは器だけ用意して、皆さんには好きなタイミングで好きなように関わってねという感じでみんなに選択してもらっていますね。」

ひがいけポンドのサポートをする「ポンドクラブ」のメンバーが2Fワークスペースのタイル貼りや年末の大掃除、防災イベントの運営サポートをしている様子

宮田さん 「チャレンジというと出店することがイメージしやすいですが、なにか企画したり、まちに出て人と触れ合ったり、運営側という新たな役割になってみることもチャレンジの形ですよね。リビングループのマーケットでもボランティアスタッフの『キャスト』という役割があるんですけど、それも一つのチャレンジの機会だなと思ってます。」

蒲生さん 「無印良品の店舗スタッフたちにも、どう自発的に挑戦してもらえるかを考えながら日々スタッフと関わっています。実は絵がすごく得意なんですという子がいたり、そのスタッフにしかないスキルを見つけてあげることで、自分にしかできない仕事が生まれ、自発的に働くアルバイトの方が増えてきました。Sunshine City PLAYPARK(プレーパーク)に出店した際もスタッフがこどもたちと楽しんで接している姿を見て日々の忙しさとはまた別の一面を見ることができ嬉しかったです。」

サンシャインシティのプレーパークで無印良品が出店しワークショップを行った様子

様々なチャレンジのしかたがあり、チャレンジを受けとめる側から受けとめてもらう側に変わることもできる、だからこそいろんな人たちが関わり合える状況がまちに生まれてきているのかもしれません。

大きな会社でもチャレンジできる環境

小池さん 「数年前に無印良品さんとコーヒーマシーンを使ったワークショップを開催したことがあります。きっかけは、たまたま常連に無印良品の社員の方がいたから。
小さい店舗は無印良品さんみたいな大きい店舗には自分たちから行けないですよね。なので無印良品さんから来てもらえたのは嬉しかったですね。構えずに話せる関係性だからこそ実現できたものだったと思います。」

神代さん 「無印良品は全国に店舗があり大きい会社でありますが、ベンチャー気質な会社で、雑談しているなかで好きなものやフラッシュアイディアをもとに話を膨らませて、そこから生まれた企画を社員が提案して通ることもあります。社員の好きを表現できることも多いです。
ほかにもリビングループでかき氷をやりたいという社員がいて食品部は危ないっていう方もいたのですが、検査をする前提でオリジナルかき氷を企画も進めています。
このように突破口がある会社なので、はみ出し方をまちの方々ともぜひ一緒に考えながらやりたいなって思います。」

宮田さん 「チャレンジを受けとめるというテーマでしたが、結局自分がこういうことをしたいというのは雑談からスタートするのが一番楽しいし長続きするんだと感じました。
いろいろなバックグラウンドがあるなかでもそこにいる一人ひとりが、どう目の前にいる人とコミュニケーションをとって、どういうものが生まれるのかが大切なので、結果として表に出てきたものがフューチャーされやすいんですけど結局は裏にある地道な1対1のコミュニケーションが大事なんだなと感じました。」

ネイバーフッドコミュニティの育み方は様々であっても根幹にある一人ひとりの相手と向き合う姿勢やチャレンジに対して前向きな思いは登壇者の皆さんに共通していたと思います。今回のリビングトークがそれぞれの拠点にさらなる可能性やつながりが生まれるきっかけになったのではないかと感じました。

トークセッション後は、参加者の皆さんと交流会


次回のマーケットは9月2日(土)11:00~20:00池袋東口グリーン大通りで開催予定です!
さらに11月3~5日の3日間は、スペシャルマーケットも開催します。
お楽しみに!


今回の書き手

ごとうあやか(株式会社サンシャインシティ)

社会人1年目でまちづくりに関わる部署で日々奮闘中です。
池袋は学生時代からアルバイトをいくつか経験していたため、馴染み深いまちです!
おすすめのお店は開楽という餃子屋さんです。(かなり大きい餃子が魅力的…!)
ディズニーが好きなのでいつか世界中のディズニーのパークを回るのが夢。


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