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小寒 -しょうかん- 即座に反応すること以上の豊かさが生まれる


二十四節気通信。

2021年1月5日〜2021年1月19日までは小寒です。

いよいよ冬本番。一年で最も寒い季節がやってきました。寒さは身にこたえますが、同時に今までやってきたことのエッセンスを凝縮し、洗練させてもくれます。寒の入りである今日のことを「寒太郎」なんて愛らしい名前で呼ぶ風習もありますが、寒太郎は北風に乗ってそんな力を私たちにふりわけにやってくるのかもしれません。


小寒とは

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冬至より一陽起るが故に陰気に逆らう故益々冷る也
-暦便覧より-


一年のうちで最も陰が深まり、陽へと転じはじめた冬至。

では冬至で陽に転じたからすぐに暖かくなるのかといえば、そうではなく。
新しく迎えた陽気に拮抗するかのように陰気はいっそう強まり、これからはむしろ、どんどん寒くなっていきます。冬至に続く、小寒・大寒の二つの節を合わせて「寒中」または「寒の内」といいますが、読んで字のごとく、いよいよここからが寒さ本番です。小寒は「寒の入り」。二十四節気のフィナーレを飾る、一年で最も寒い季節のはじまりです。


寒さの力を借りて芽吹きの時まで待つ

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寒露の節でも、寒さにはエッセンスをぎゅっと凝縮させる力があるということを書きました。

冬野菜が甘いのは、寒さによる防衛反応で身が引き締まり、体内の水分量を減らし、糖分の量を増やしているからだとか。(砂糖水は普通の水よりも凝固点が低くて凍りにくいため)。
同じく人間も、冬寒くなると活動量を下げ、毛穴を閉め、筋肉にキュッと力を入れ、外側へ熱が逃げないようにします。これは、寒さへの防衛反応であると同時に、内側に気を蓄え、エッセンスをぎゅっと凝縮させる働きでもあります。

冬は閉蔵の時期。万物が戸を閉ざして、陽気を潜伏させるための時期。

冬の寒さは、私たちに冷静さを取り戻させ、あらゆることをクリアに俯瞰できる視座へと連れていきます。だから、寒くなってくると、色々と学びたくなります。色々な思い、考えが漂流し、新しいアイデアが浮かんできます。
しかし、今はそれらを「すぐに形にしたい」という思いをグッと堪えて、内側で寝かせた方がいい時です。

大寒を経て、寒の明けを迎えると次はいよいよ立春。二十四節気では新しい年の始まりです。発陳の春、芽吹きの春。そこでどんな芽が出るのでしょうか。

寒さの訪れは、今はまだ見ぬその姿を、自分の蔵の中で楽しみに待つように私たちを促します。


すぐに動きはじめない。ポーズをとる

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閉蔵の冬、大事なのは待つこと。
すぐに動きはじめない。すぐに反応しない。
これらかは冬を過ごす上でとても大事な態度だと思います。

最近、行動を起こす前に、自分のモチベーションを一度客観的に受け止めて、ポーズをとる、ということを意識的にやってみています。

やりたいことが浮かんだら、すぐに行動に移さずとりあえず書き留めておく

口から咄嗟に出そうになる言葉を、一度飲み込んでみる

いつも右を選ぶなら今日は左を選んでみる


そんなことをやってみると、日々の自分の行動が驚くほど反射的な重なりであることに気がつきます。

そして、反射的な行動を一皮ずつむいていくと、その奥にしっかりと鎮座する「わたしはこうしたい」という意図の輪郭らしきものが見えてきます。


焦らない
すぐに反応しない
すぐに行動に移さない
信じて待つ

これらは、焦りやすく、せっかちな私が最も苦手とする態度ですが(苦笑)、昨年の秋口からゆるく、でもしっかりと取り組んでいるデジタル・デトックスによって、ちょっとずつその素地を育てています。



即座に反応する以上の豊かさが生まれる

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私たちは、働きかけること、速いこと、すぐに答えることに価値を置く社会で生きています。早くしなさいと言われながら育ちます。
(中略)
立ち止まることで、知っていること以上のなにかが浮かんでくる空間、即座に反応する以上の豊かさが生まれるのです。

-フォーカシングはみんなのもの  より-



小寒の後半はいよいよ冬の土用に入っていきます。本格的な寒さに備え、養生しつつ、「反応すること以上の豊かさ」という冬の恩恵と共にありたいと思います。

ひたすら、ひたすら!と、描き殴ってきたものをもう一度ひっくり返して、もっとスマートに、より丁寧に、輪郭をはっきりと、よりクリアに描いてみたくなった、とても寒い朝。

小寒に寄せて✉️❄️


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