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嫉妬の真相

飼い犬が、飼い主に嫉妬してる動画とか、よくTVやネットで流れてますよね。かわいいと言えばかわいいし、ちょっとかわいそうと言えばかわいそうかもしれない。
その点、人間の嫉妬は可愛いとばかり言ってられないケースが多い。子供でも嫉妬心から非常に恐ろしい行為につながることもあるし、嫉妬による犯罪も後を絶たない。

実は嫉妬心と言うのは依存心と裏腹になっていて、依存的な人ほど、嫉妬を強く感じやすい。 なぜなら、相手がいなくなると自分の存在も危うくなるからです。

その点、独立性の強い人ほど、嫉妬する必要も動機も薄くなる。 要するに、愛着関係の競争相手なんてそんなに気にならない。どうしても別の人の方がいいのなら、そっちを選べばいいんだよという感じかな?

これは別に性格が冷たいとか、愛情が薄いとかではなくて、むしろかえって相手のことを大切に思っているからこそ、その気持ちを尊重したいという思いからだったりする。

典型的な例が、竹久夢二の妻だった岸他万喜でしょう。
夢二が弟子の彦乃とできていることに気づいた彼女は、彦乃の親元を訪ね、「私の夫のお嫁さんに、娘さんをいただきたい」と頼み込んだという。美人絵画家としての夫にとって彦乃はなくてはならない存在だからと覚悟して、自分は身を退いて二人を結びつけようとしたんですね。

確かに他万喜は夢二より二歳年上の姉さん女房であり、亡くなった前夫も日本画教師だったりして、一般的な夫婦関係とは少し違ってはいたかもしれない。だけど、私は彼女の気持ちは純粋なものだっただろうと思います。

他万喜はその美貌ゆえに、未亡人となったあと勤めていた尋常小学校の校長から執拗に迫られたりして富山にいられなくなり、東京で本屋を営んでいた兄を頼って上京し、「つるや」という絵葉書屋を開いた、いわば実業家としての才覚もあった才女だった。つまり、当時の女性としては非常に珍しく男性に依存せずに生きてゆく術と度量を持っていたんですね。

一方、今でもよく離婚や別れ話の際に修羅場を演じるカップルがたくさんいますが、多くの場合、浮気をした相手の裏切りをなじると言う風な形はとっているけれども、その大元にあるのはやっぱり嫉妬心でしょう。
だから、経済的な依存度が高い人ほど、相手の浮気相手に対する嫉妬心が強烈になりがちで、浮気の事実が判明した途端、その瞬間からもう愛情もへったくれもなくなって、憎悪だとか恨みだとか、まさに敵対関係になってしまう。

確かに気持ちとしてわからなくはないけれど、愛情ってその程度のもの?という感もなきにしもあらず、かな。

『愛は脳内物質が決める』という本の最初の方に、 プロラクチンの話が出てきます。これは授乳中の母体内で大量に分泌されるホルモンなんだけど、母乳を作り出す働きだけでなくて性的衝動がぐんと抑制されるんですね。
だから赤ちゃんを育てている間は性生活には興味が薄れてしまって、どうしても拒みがちになるので、夫はもう自分なんかどうでもいいんだ、愛されてないんだみたいな解釈をして浮気をしやすい。これはアメリカだけでなく、日本でもどこでも同じ人類共通の生理的プロセスです。

だから精神論とか心理学だとかだけで愛情関係を考えようとすると、もうほんとにとんちんかんな結論を出してしまうっていうのは、まぁ人間の常かもしれません。

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