2024年の中日ドラゴンズに注目せよ?7/7(完)

2024年の中日ドラゴンズは監督の手腕次第で2020年以来のAクラスの可能性が45%弱ありそうだ。だが誰が監督をやっても優勝の可能性は非常に低い。そう言い切れるほど阪神や巨人と戦力差がある。仮に阪神が久しぶりの優勝に浮かれて調整ミスでコケても巨人とは差がある。打線が強く、投手が弱い巨人の投手陣に何人か即戦力投手が入るため2位の可能性も低い

Aクラス入りする可能性がある理由は打線が弱い広島で主砲の西川が退団、選手層の薄いDeNAでエース今永退団とAクラスを争う戦力が落ちる他球団の事情が大きい。しかし投手の戦力が2023年からは大きくプラスとなること、中田と若い内野陣で若干のプラスを生みそうな事も寄与している

立浪監督は試合前のオーダーの組み方は平均~やや優秀。試合中の采配では中継ぎの起用は才能がない。試合中は野手の起用も才能がない方だと思うが戦力の問題も大きかったため、来年に真価が判明する

監督はチームの戦力不足で順当に結果が出ず能力以上に叩かれている。特に講談社と光文社の音羽Gや新潮社の匿名記事は事実に基づかないものが多く誹謗中傷に近かった事が次々と判明した

炎上する近藤の裏でマルティネスが投げていたのも造反説と調整説があり、誰も否定しないが悪意を持ったデマの可能性は高い。下記事で造反と書いた点についてお詫びしたい。また糖質制限ではなく単なる食べる時間の指導を画一的な指導と表現した点もお詫びしたい

ただ監督として最も悪い問題と書いた四球を出す度に中継ぎ投手を交代する采配は残念ながら擁護の余地はない。自分で自分の首を絞めないでほしい。長期的な視点でのチーム改革は支持しているので投手起用は見直して欲しい

2023年ドラゴンズ放出&補強について

2024戦力のプラスマイナス簡易まとめ

ドラフト

現ポジション別の年齢構成を考えると理解に苦しむ遊撃手ドラフトだった。完成された即戦力打者が居ないと思えた今ドラフトに未完成でも素材として優れた度会を指名、彼を外したから投手は理解できる。しかし遊撃手の連続指名は理解できなかった。ただ津田は遊撃手と計算するには心許ない送球と守備。彼の打つ才能を信じて外野に回す予定なら理解できなくはない

今回のドラフトでは立浪監督は基本的にはスカウトに任せると言っており、1位の仲地と2位の村松と4位の山浅と6位の田中を監督主導で取った昨季とは明らかに方針が異なったように見える

新戦力の中で即戦力候補は草加と辻本。草加は奪三振率の低さ、辻本は守備の粗さが気になるものの大学時代の指標は悪くない。先発が欲しかった中日にとって四球も三振も少なく安定感と完投能力が高い草加は悪くない選択。辻本も三振に比べ四球が多く、阪神の中野が東北福祉大で残した成績と遜色ない。辻本は東北福祉大の好投手を相手にしている分、大学時代の成績では偉業と言えるかもしれない。守備が粗く1年目の期待値は低いが守備範囲も広いので3年目には戦力化を期待したい

津田も当たった時の打球速度は魅力を感じる。ただ打撃も三振率が高い割に長打と四球が少なく指標的には全く上位指名に値しない。真面目すぎる感じと入団時にスカウトの掲げる目標がトリプルスリーとは石垣2世感がある。打者はプロの球への反応を見ないと分からないので現時点では守備が下手という感想以外にない。即戦力ではなさそうだ。来年、再来年ではなく4年後どうなっているかに注目したい。打てれば外野に転向させればよい

福田の直球は稀に良い回転の球が走り、右打者の膝元に決まればスライダーも素晴らしい。5年目には開花する確率が高い良い投手だろう。指名順位を考えれば凄く良い選手が取れた

映像も見てないので分からないが、土生と加藤の指標は悪い。土生は四球が多く被打率も高め、加藤は四球率は平均だが被打率が高い。育成では菊田が成長曲線を考えると化ける可能性もあると感じた。育成の日渡、川上、尾田を浅学な筆者は知らない。尾田の足は凄いと評判で育成の一芸指名は継続を期待したい

立浪監督が介入した昨2022年ドラフトはスカウトのリストになかった福永を小田コーチの推薦で指名するなど、三振が少なく四球を選べる指標に優れた内野手を乱獲した点が個人的には評価できた。だが今年はよく分からない。スターを多く担当した近藤真一/佐藤充/中原勇一スカウトが2020年に退団や異動した影響は大きいのかもしれない。関東/九州スカウトと誰を優先するか優先順位の付け方が下手な上層部に若干の不満はあるが、スカウトのトップがN田宗O氏だった頃と比べれば今はマシになったと思う

ドラゴンズは頑丈で才能ある選手しか育たない。身体の弱い選手は故障し、原石は育たない。FA補強が少ないドラゴンズではドラフトと新外国人頼み。だが新外国人はNPBのレベルアップとメジャーのDH化によって期待薄。故にドラフトと育成が重要だが、立浪監督に代わっても劇的な改善はなかった。ただ故障が多い高校生の原石をドラフト上位指名してた時代よりは改善した

個人的には日本新薬の武田登生>辻本>津田と思っていたため、武田が台湾で殆ど三振せず打ちまくってるのが悲しい。ただ指名された2人は武田より若いので能力が劣るのは当然。プロ入り後の伸びに期待したい

オプトアウトの補強と戦力外の補充と現役ドラフト

オプトアウトした中田を取れたのは大きかった。阿部を放出してアリエルが捕手志望で退団されたのでビシエド以外に一塁手が居なかった。ビシエドの不振がチームの打撃成績に大きな影響を与えた。来季は中田とビシエドから好調な選手を選び、休ませたり調整する余裕ができたのは大きい。また守備の不安か一塁で先発時に打撃成績を大きく落とした宇佐見を代打に回す余裕が出来るのも大きい

戦力外で補充した4選手は代打や便利屋として機能するはずだ。チーム力の大幅な向上は見込めないが加藤や後藤が最も優れた代打だった選手層の問題に多少の改善をもたらすだろう

梅野はよく分かっていないが防御率3点台後半から4点台で敗戦処理は十分にこなす砂田枠にはなるはず。24番手以降が弱い投手陣にとって有益なカードになると思う。有能なコーチ陣から何かを掴み良かった時期に戻れば大きい

現有戦力の底上げ

先発陣

投手の質と層は2023年に比べ飛躍的に改善する。柳、小笠原、高橋、大野、メヒアの5枚看板。梅津、涌井、根尾、松葉、仲地、上田も控え11枚いる。福谷や未完成の仲地や鈴木で23先発と6番手不在だった先発陣は2023年から大幅に改善するはずだ。体力的に即戦力な草加を下で鍛える余裕がある

2020年のヤクルトは平均4.91失点。2021年に3.71失点と25%近くも改善した理由は先発の強化だった。2020年に先発した投手は17人で120試合平均5.01イニング。2021年は先発した投手は12人で143試合平均5.29イニング投じた

元々の失点率が少ないドラゴンズがここまで激変する事は考えにくいが平均して5イニング未満しか投げられなかった6番手の稼ぐイニング数が増えれば運用は楽になる。例えば大野は1先発あたり7イニング弱を投げており、彼が長いイニングを投げる事で中継ぎに休養日を作れる。1イニング球数が多い小笠原や高橋を無理に引っ張る必要がなくなる

中継ぎ陣

中継ぎは若手が多く実績ある投手は足りないが故障がなければ戦力は揃う。155km/h越えトリオの勝野と松山と清水は全員50登板できる。また平均以下の四球率を改善すれば防御率も楽に2点台の前半を十分に目指せる

便利屋だった藤嶋がマルティネスの離脱中も文句なしの成績を残しており、勝ちパターンの筆頭で計算が立つ。齋藤はシーズン終盤にスライダー頼みの投球が少しネタバレした感じもあり、四球を連発するフェリスも計算が立つとは言い難いものの岩嵜の復帰、橋本の成長もある。2023年の開幕は田島、山本、砂田、鈴木などがベンチ入りしており、シーズン終盤まで8人優れた中継ぎでベンチを埋める事が出来なかった。福や祖父江を便利屋に回るほど改善しているブルペン陣も阪神に近づくはずだ

投手総括

毎年140イニングを投げる大野が10イニングしか投げられなかった。鈴木の代わりに毎年50イニングほど投げる梅野が加入する。退団者で220イニング程度の戦力が抜けるが、投手陣のイニング数、先発数は十分に揃っている。これ以上の補強は特に必要ない

先発/中継ぎともに阪神投手陣との最大の差は選手層にあった。投手は選手層の改善で先発も中継ぎも10%近い戦力アップが見込まれる。ただ2軍は来季も1軍を争う数人、一部の若手を除いて厳しそうだ。淘汰が始まるだろう

捕手

木下は体力以外は文句なし。宇佐見も代打や一塁手の保険、控え捕手として文句はない。石橋は打たれ出すと止まらない経験不足。これは起用を増やし失敗から学んでもらうしかない

木下は大学と社会人を経由でプロ入りしており、年齢の割に消耗が少ない。この先も数年は稼働するはずだが、先発の1人は石橋を専属にして起用機会を増やして将来に備えたい

一塁手/三塁手

一塁は中田、ビシエド。三塁は石川と恐らくは福永。周平の立場は厳しい。ここは打力重視でOPS.750目標。昨季から10%以上の底上げは必須。福永は沈むボールへの対応に苦労しているが直球は打てている。逆に石川は直球に弱い。2人とも課題の克服が欠かせない

二塁手/遊撃手

村松、田中、カリステ、龍空の争い。更に辻本と津田がどこまで迫れるか。特徴や強みが違うのでうまく使い分けたい。右のパワー投手に強いタイプがカリステのみ。左の変化球にカリステと田中が強く、左の直球にカリステは弱く村松や田中は強い。龍空は何故か左投手を全く打てなくなった

村松は細かいハンドリングと短い送球は課題。しかし守備範囲は広く送球も安定しており二塁も遊撃も可能。田中も二塁も遊撃も可能で肩の状態次第。カリステは遊撃と三塁で起用され二塁は恐らく無理。龍空は遊撃守備は抜群で二塁も上手いが打撃次第か。辻本は遊撃だが日本代表で二塁も経験あり。打球を追いかけ過ぎる頑張りすぎな部分はプロで必要はない。津田は送球が安定していないように見えた

個人的には村松とカリステと田中の3人で投手に合わせた運用に期待。村松が遊撃と二塁を担当し、カリステは遊撃、田中は二塁で固定したい。龍空、津田、辻本は2軍で出場機会を増やし、二遊間のバックアップは山本と石垣に期待する

内野バックアップ

山本vs石垣の争い。石垣の直球打率は打席数を与えれば.260近く、及第点。一方で変化球打率が常に1割前後でコンタクト率も低すぎる。甘い変化球が多い2軍だと打てるが1軍投手の変化球は打てないだけ

配球を読まないフルスイング打法だった福田7年目までと比較して打席数が1.6倍で安打も本塁打も四死球も同じ。本格化前の福田よりも1.6倍当たりが出ない籤を引きたがる石垣狂の支持者は何を見て言ってるのか不明だ。直球の打率を4割近くまで引き上げるのか、変化球を打つ技術を付けるか、成長が必要。山本は溝脇よりも高い壁なので今のままでは負ける

外野手

本命は岡林、細川。対抗は大島、ブライト。大穴に鵜飼、濱、三好。岡林と細川はそれぞれの課題に向けて練習を始めており慢心はない。大島も終盤に初めて好調期が来たので調整ミスや2000本安打のプレッシャーがあったかもしれない。ブライトは選球眼が良く、カウント作りに苦労するノーコン投手にめっぽう強い。一方で150km/hを超え回転数も高い今永のようなタイプに手も足も出ないなど課題も多い。代打でも活きる大島とは使い分けたい

立浪監督が二遊間の候補に村松、田中、福永の新人3人しか名前を出さないことに不安もあった濱だが、秋季キャンプでは濱が良かったと指名された。英智2世、化けたら糸井となれる濱の外野転向も決まって一安心だ。濱は1軍の控えより2軍のセンターを任せたい。起用を続けると打撃成績が落ちるのは体力の問題もあるように感じる

台湾のAWLにも派遣され、来季のレギュラーには力不足な打撃成績だが守備は1軍レベルで加藤翔平や後藤の後釜になれる。伊藤が戦力外になったのも濱のコンバートが決まった影響がありそうだ。地元の縁故採用より実力主義になってきたのは立浪監督になって良かった点の1つである

野手総括

野手も(今が酷いこともあって)戦力が上がる。一塁と三塁がOPS.750、二塁と遊撃がOPS.600、左翼がOPS.700に改善され、他が今季と同じなら2023広島レベルの打線(チームOPS.653)になる。龍空がスタメン落ちするなら守備力は下がるが、得点力の向上でプラスだろう。2022/2023年までは監督のせいではなかったが、2024年も低迷するなら監督の責任である。立浪監督は初めて来季への期待をもってオフに入れるのではないだろうか

来季の予想

来季は平均では74勝69敗で貯金5~69勝74敗で借金5前後の成績と予想する。優勝する確率は0に近いがAクラスに入る確率はそれなりに高いとみている。阪神が独走したり、最下位に沈むチーム次第でAクラスに要求される勝率は大きく変わるので確実にAクラスと強気になれない。また内野陣から中田やカリステが長期離脱すると苦しい余裕がない台所事情は続く

しかし2023年に比べて投手が大幅な戦力アップは大きい。9月10月で借金0と立ち直ったのは梅津と根尾で6枚先発が揃ったからだ。来季は1年間を通じて史上最低打線でも借金を作らなかった先発陣の質を維持できそうだ。中継ぎも10人ほどの戦力がおり、先発ローテ争いに負けた投手を1人回せば強力

先発、中継ぎ各2人まで離脱に耐えられる充実の投手陣

もちろん課題も山積みだ。投手は1軍戦力の20人に続く2軍レベルが少ない。四死球連発の3軍レベル、故障で投げられない投手も育成で大量に抱える。ここは草加、福田、森山、野中、松木平ら若手が順調に育てば大粛清の時期も近そうだ

野手の鍵は中田、そしてビシエドと大島の成績が全盛期に戻るかにかかる。またボトルネックの若手内野陣がどこまで成長できるかが上位進出の鍵だ

石川の保険で三塁手の外国人を取れば育成中の二遊間を除き最低限の戦力が揃う

野手は調子が良い時期は通用した石橋、ブライト、カリステ、福永、村松、宇佐見などの準戦力、1軍戦力になった石川と岡林と細川の成長と復帰する田中で底上げが必須だ。石川以外に福永と成績が急降下中の周平しか居ない三塁手には外国人の補強が欲しい。カリステも出来るので遊撃手でも良いが守備の影響が最も少ない三塁手の方が良い打者を取れるはずだ

鵜飼と石垣の2軍の帝王コンビはまだ計算できない。鵜飼は29歳まで、高卒の石垣は27歳までに最低限の成績が必要。周平とビシエドは来季の1軍争いに残れないと立場が相当に厳しい。競争が激しくなってきた

花開け立浪改革、2024年の中日ドラゴンズに注目せよ

立浪監督は中継ぎ投手の運用が下手で優れた監督とは言い難い。ただ週刊誌が捏造するほどの酷い監督ではない。史上最低の監督と糾弾する一部ネットの声が私には理解できない。上手くいかなかった事も多いがチームは着実に力をつけている。私は中継ぎの運用では評価していないが、目先に囚われず未来の為に改革し泥を被ってくれてる点では評価している

未来への種を蒔く監督を叩いたら誰も長期的な視点を持てなくなる。2025年には改革の成果が出ると確信しているが、2024年に結果が出るかは不明だ。もちろんダメな点もあるが立浪監督が潰したと言いきれるのは京田だけだ。ビシエドと大島は来季に数字を戻す可能性も加齢による衰えの可能性もあり原因が断定できない。そもそも全能の監督などファンの頭の中にしか居ない

立浪監督の枝葉の部分は間違いも多いように見えるが、本筋は優れている。投手は潰さないよう投球数と間隔を調整して少しずつ戦力を増やしている。野手はセンターラインに守備力の高い選手を置き、両サイドには打力優先。この大方針は正しい。全て否定するのは間違っている

阿部の守備力が下がっている中で二塁手の後釜は溝脇、石垣、高松、星野。京田以外は打撃も守備も時間がかかった根尾、守備も打撃も苦しい三ツ俣、龍空しか遊撃手が居ない。これは編成とスカウトのミスだ

この保険が居ない状態で京田に修正を加え喧嘩したのは確かに無能だった。だがそれ以外の選手で壊れた選手は2年前に痛めた肘をキャンプ中に壊した梅津と開幕戦で上腕を痛めた岩嵜、フォームを改造した岡田、高卒1年目の開幕から2軍のローテ起用で肩を少し痛めた森山、10年違和感あった大野、故障してない時期の方が珍しい石川翔や竹内。帰塁に失敗した田中ぐらい

立浪監督が引き継いだ時の戦力はあまりに低く、監督が全てを壊したという意見は状況が分かってない。当時の計算が立つ野手は大島とビシエドだけ。木下は規定打席に未達、阿部は2番に置かれて打撃が狂い、周平はリーグの平均OPSを下回り、福田はオフに肩を手術し、平田は病気と闘っていた

先発も軸は大野と柳だけ。初の規定投球回に到達した小笠原はいたが、柳は170イニング2800球以上と消耗していた。松葉が4番手で5番手以降は弱い。中継ぎも又吉が抜けマルティネスと藤嶋以外は高齢の祖父江と谷元と田島が主力だった

この壊れた状態から2年で高橋と松山と岡林と細川が主軸に育った。他にも清水、勝野、根尾、石川が才能の片鱗を見せた。トレードで獲得した涌井、齋藤、宇佐見も活躍していて梅津は復活。アリエル・マルティネスを捕手で使わず退団されるミスは痛かったが、衰えたベテラン以外の戦力は上がった

2024年中日ドラゴンズは久しぶりにプロ野球で戦う為の最低戦力を揃える。セットアッパーの亡命、田中の故障、ビシエドと大島の成績下落を除き昨年に想像した世界が進んでいる。確信は持てないが2024年のドラゴンズに注目せよ、そう啖呵を切った事を後悔しない程度にはチーム改革は進んでいる。最大の懸念は立浪監督の脳死マシンガン継投と故障だろう。来季はAクラスに入り立浪監督は目先を無視して理想を追いかけた普通の監督だと証明してほしい

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