リヴァプール21-22シーズン所属選手の振り返り

シーズン開幕時の21-22シーズン目標は下記の通りでした

PL優勝(最低3位) CL優勝(最低ベスト4) EFLまたはFA杯5回戦敗退
対して結果は下記の通りになりました

PL2位CL準優勝 FA杯/EFL杯優勝

正直4つの大会を並行して戦えるようになるとは全く思いませんでした。しかしながら今季は多くの新戦力が台頭してMF以外は4つの大会をこなせるだけのスカッドに成長しました。しかしながらこれほどのスカッドでも最後はかなりのダメージを受けるほどに消耗する事になり最大の目標であるPLとCLをあと一歩のところで逃しました。補強するべきポジションは殆ど残っていません。ヘンドやケイタを超えるIH、チアゴとアーノルドとフィルミーノの控え。たったこれだけです。選手に自由を与えるだけの戦術チームが1番改善の余地が残されています

下表の通りリヴァプールは7チームから22ポイントを失い、シティは5チームから21ポイントを失いました。

リヴァプールーシティ勝点表

リヴァプールは攻撃戦術が非常に陳腐な個の力頼みでチアゴ居ないとビルドアップで勝手にミスるから対策を打てるチームならどこでもポイントを落とす危険性があり7チームからポイントをロストしました

シティにはペップの素晴らしい戦術がありますが、守備陣の個のレベルが世界トップレベルにありません。シティの完璧な組織的なプレスを打ち破って運べる選手が居て、彼らの攻撃に耐える守備力を持つ4チームから繰り返しポイントを落としています。それゆえに負けないことが重要なCLで優勝出来ておらずハーランドが来てもCLを優勝できるかと言えば微妙でしょう。ただCLには我々5回の挑戦で3度も打ち破られたレアルマドリーという強敵が居ます

リヴァプール21-22シーズン所属選手パフォーマンス評価まとめ

これは試合に出た時の平均パフォーマンス評価なので稼働率は度外視しています。パフォーマンス評価が高くて出場時間が多い選手がチームにとって重要な選手で、パフォーマンス評価が低くて出場時間が多い選手が整理対象です

A 悪い時が少なく大半が素晴らしいパフォーマンスだった選手
アリソン マティプ チアゴ ディアス
A- 良い時のパフォーマンスが圧倒的で悪い日もそれなりにあった選手
ロバートソン ツィミカス アーノルド サラー
B 良い時は素晴らしく、悪い日は微妙な日が多かった選手
ダイク コナテ ファビーニョ マネ フィルミーノ ジョタ
B 殆どの試合で良かった選手
ケレハー アドリアン
C 良い試合と悪い試合で極端だった選手
ゴメス ヘンダーソン ミルナー ケイタ チェンバレン ジョーンズ 南野 オリギ
D 実力がまだ少し足りない選手
フィリップス ネコ モートン エリオット ゴードン
E ユースで頑張りましょう
クメティオ ブラッドリー他

GKゴールキーパー

アリソン

年間稼働 4,890分 54試合出場
今季も凄まじいセーブを連発し、年に1,2回どうでも良い所で繋ぎのミスをするいつものアリソンで今年も世界最高のGKの1人だった。コロナ問題か今年も例年通りに離脱はあったがケレハーの成長によって問題は起きなかった

プレーヤーとしての特徴は1vs1にとにかく強い!リヴァプールは普通のクラブと異なり、基本はCB2枚とアンカーでしか守備をしないチームなので降格圏のクラブと同じくらい相手FWと1vs1の局面を作られてしまう脆いチームですが、そうした大ピンチでチームを救っているのがアリソンです
この1vs1の強さを作っているのがほぼ常に素晴らしいポジショニングを取り続ける能力。ポジショニングが的確で反応も素早いので派手なセービングは少ないが、シュートのカバーエリアで見ても最高のGK
またキャッチング技術も異次元で速くて強いシュートも弾かずにキャッチングする。サッカー史を振り返っても彼と同じレベルのGKは全盛期ノイアーなどほぼ居らず歴代最高レベルのGKと言っても過言ではない

キックやロングスローも判断力も一般的なGKに比べると非常に正確だが、エデルソンに比べれば明らかに見劣りする。ただGKとして失点を防ぐ能力はエデルソンよりアリソンが遥かに優れているため普通のクラブならばアリソンが選ばれます

ケレハー

年間稼働 750分 8試合出場
2019-20シーズンにアーセナルと5-5で撃ち合うバカ試合ではキャッチングミスなどが目立ちほぼ同い年のグラバラと大差なかったのだが、そこから急成長を遂げた。元々がフィールドプレーヤーだったためか、キックやトラップやドリブルの面ではアリソンを上回る技術を見せる。アリソンは左足を上手く使えないのに対し、ケレハーは左足でも正確なロングパスを蹴れるためプレスへの耐性がより高い

GKとしての能力もカバー範囲も広くポジショニングも優れている。ループシュートを上手く防いだシーンは印象に残っているように特にバックステップは上手くGKとしてプレーする人間のお手本になる
プレミアリーグの中ではアリソン、メンディ、ジョゼ・サーといったGK3傑の次の集団であるロリス、デヘア、エデルソン等と比べれば若干劣るものの近い水準の実力を持つ。CLのベスト8-16レベルでプレーするには十分な選手だがプレー時間が少ないので世界的な評価は得られていない。間違いなくディーン・ヘンダーソンやラムズデールよりもほぼ全ての面で優れたGKにまで成長している

アドリアン

年間稼働90分 1試合出場
今年もほぼ離脱せず抜群の稼働率でチームを陰から支えた理想の第3GK。プレミアリーグの第2GKやリーガの下位クラブ、ブンデスやセリエの10-15位ぐらいの中堅クラブぐらいなら十分レギュラーを取れるだけの実力があり故障しない。人格的にも優れており年に1試合しか出場してなくても何も問題を起こさない。それどころかCLでアルゼンチン出身でスペイン語圏のフォイスと味方が揉めた時には仲裁に入るし、アトレティコ戦でのミスで心無いファンから罵詈雑言を投げかけられてもチームの勝利を祝うSNSでの活動も欠かさない

アリソンとケレハーが離脱したEFL杯ノリッチ戦でゴメスのポカを救うセーブを見せるなど1試合の出場しかなかったが、そこでキチンと仕事を果たした。守備範囲は狭いが自分の近くに来たボールは確実に弾けるミニョレタイプ。リヴァプールのような強豪クラブではセービングだけでなく繋ぐ技術も求められるが、その点では優れていない

スペインへの帰国願望と出場機会を求めているとの報道が多く、来季も契約延長するかは微妙だ。アリソンもケレハーも年に1度は離脱する選手なのでタイミングが重なる事を考えると残してほしいが、ピタルーガが成長しているらしいのでクラブの決断を信じたいと思う

カリウス

年間稼働0分 0試合出場
残念ながら2018年のCL決勝でのミスによってリヴァプールでのキャリアは終わってしまった。守備範囲が広くて全身を伸ばしそこを止めるか!という素晴らしいセービングを見せる代わりにポカも多くてメンタルがとことん弱い。リヴァプールでも2~3か月ほど良い時期は僅かだがあり調子が良いときは好セーブが続き、調子が悪いとミスが重なるタイプでCLのミスでリヴァプールのキャリアは終わってしまった

1つだけ残念だったのはCLのミスの後でベシクタシュという熱狂的なファンを持つクラブに行ってしまったこと。ドイツの弱小クラブに戻って傷心のメンタルを癒す時間があればプレミア15位くらいのチームでレギュラーを取れるポテンシャルはあったが今季での契約満了が確定している

GK総括

クロップ最初のシーズンとなった1516シーズンは2部中堅レベルのボグダンが2ndで正GKミニョレのパフォーマンスが安定せずプレミア下位レベルだったリヴァプールの悲惨なGK事情は劇的に改善した。ランドルフとアドリアンを抱える当時のウェストハムよりも大きく劣ったものだが、今やそのアドリアンが第3GKという史上最強レベルな充実の布陣である。時の流れは早い

CBセンターバック

ファンダイク

年間稼働 4,620分 51試合出場
故障明けという事もあり開幕後は低調なパフォーマンスだったが、チェルシー戦などビッグマッチでは流石の活躍を見せるなど徐々にコンディションを上げた。シティ戦のように大事なビッグマッチでは本気を出し、その他の試合は手を抜く事で今年も年間を通じてフル稼働。マティプもコナテもゴメスも基本は週1試合が限界の選手なのでダイクの頑丈さに助けられることになった。ただ最終的にはフル稼働がたたってパンクしCL決勝でのパフォーマンスも良くなかった

8か月ほどの離脱にも関わらず、瞬発力も若干の衰えが見えるが許容範囲でありアジリティぐらいしか能力が下がっていない。内田氏がクロスをコーナーではなくスローインに逃げたプレーを見て簡単そうに見えて凄いと言っていたが、故障前はあのプレーを利き足じゃない左足でも行っていたのだ。それが左足では出来なくなっているのもアジリティが衰えたためだろう
衰えたとは言え世界トップクラスの身体能力に抜群の危機察知能力までついているのでチートとしか言いようがない。トラップ技術、ロングパスもDFなのに足元の技術もMFのヘンダーソンよりも上手くてセットプレー時には得点源にもなる。歴史上で最高のCBだった18-19シーズンのファンダイクに比べれば大きく劣るが、未だ世界最高のCBといっても過言ではないプレーヤーである。それでも来季は最大目標であるCLを取るためにターンオーバー導入が必要である

マティプ

年間稼働 3,705分 43試合出場
ダイクが安定して稼働し、コナテを獲得出来た事でローテが機能した。今年の躍進はマティプのコンディションが年間を通じて良かった事が大きい。プレーに関しては元から安定しており、ダイクのパフォーマンスが不安定だった序盤には世界最高CBの1人と言っても過言ではないプレーを見せていた

能力的にはコナテ、ダイク、ゴメスといったリーグでトップクラスのスピードを持つ選手に比べて劣るが、トップスピードも33㎞/hぐらいで人並みにある。またドリブル技術はヘンダーソンなどの一部MFよりも優れており、セットプレーでの得点力も魅力。唯一の弱点は瞬発力とアジリティでスピードタイプのアタッカーに懐に入られると弱い。ただそういうタイプを相手にするのを得意としているコナテとゴメスが控えに揃っている補完関係も素晴らしい。能力が高いのに過小評価されていること、契約満了時の年齢が33歳直前なので契約満了まで使うのが正解と思われる

コナテ

年間稼働 2,487分 29試合出場
ファンダイクの故障によってゴメスとマティプの故障が誘発された昨季の過ちを繰り返さないよう獲得されたネクストダイク。獲得は大成功でゴメスが離脱した時期も僅かにあったものの、マティプとダイクと安定してCBで稼働した事がカップ戦でも負けなかった要因となった

特徴を言えば高くて速くて強いハイライン向きのCBである。ダイクどころかゴメスよりも速くてプレミアではリュディガーの次にトップスピードが速いDF。しかもダイクやゴメスと同じでデカいのに初速から速いタイプで危機察知能力もそれなりに高い。空中戦も強く3試合連続でセットプレーからヘディングを叩きこむなどスーパーなCB。繋ぎの部分では明らかにダイクやマティプに比べて劣りポカも稀にあるものの、シーズン終盤には2人に近い、時にはそれ以上の守備力を見せ始めた。トラップとパスと判断スピードが改善されればダイクの衰えと共に世界最高のCBとなる事だろう

ゴメス

年間稼働 1,036分 21試合出場
コナテの獲得によりCBはワールドクラスの選手を4人抱える事になり、ゴメスすら試合に出られない厳しい競争となった。ダイクのリハビリのためダイクをフル稼働をさせてマティプとコナテが故障しなかった為、序盤は移籍志願されても仕方ないほど出場機会を与えられなかった
転機となったのはアーノルドの離脱でRBとして任された事だろう。繋ぎの判断が悪いものの、パス精度は高い事を活かしたクロスでアシストを演出した。もちろんRBに求められる対人守備では故障明けのためアジリティが衰えており、あまり優れていると言えず攻撃のサポートでも気が利かない場面も見受けられた。RBとしての適性はまだ低く、RBで試合に出ると故障しやすいのも問題である

それでも危機察知能力が高くてトップスピードがあって初速も速く頑丈なストレングスを活かした守備は一流である。相手の苦し紛れのロングパスに対していち早く駆けつけてボールを奪う仕事ではコナテやダイクと並ぶ実力を持つ。しかし空中戦が苦手であり、広いスペースでの1vs1で潰す守備がそこまで得意ではないゴメスはコナテに比べて明らかに器が落ちる。しかしコナテと違ってRBとCBどちらも出来る選手なのでリヴァプールのナチョを目指して欲しい選手である。貴重な貴重なクラブ育成選手のため言わずもがな非売品でローン以外の移籍は認められない。来季はアジリティを取り戻してトップパフォーマンスを取り戻してほしい

フィリップス

年間稼働134分 3試合出場
昨季はCB全滅という緊急事態で全力で最終ラインに立った漢。大体は酷いプレーながらもチアゴ&ファビーニョという最高のMFをMFに並べるという素晴らしい貢献をした。ここで8連勝という素晴らしい結果を残したため、一部のヤクを決めてるファンからファンダイクと並んで使いたいという理解不能な評価を受けたナット・フィリップスだったが、冷酷なクロップに5番手という妥当な評価を与えられ冬にローン移籍した

危機察知能力と瞬発力が低いのでハイラインのプレッシングサッカー用のCBとしては能力が低いが、空中戦に限ればダイクやマティプに比べれば落ちるもののゴメスより遥かに上でトップクラスの実力を持っている。昨季から守備力は皆無のナットだが、試合で使われるうちに何故か急成長を遂げたボールコントロールとパス技術は今年も健在だった。去年の著しい成長のおかげで彼は支配率が高いボーンマスでギャリー・ケーヒルからポジションを奪い、来季の昇格が濃厚なボーンマスへ我々が希望する£10m程度での販売に目途がついた。ファンにとっては忘れたいほどの悪夢だった昨季のCB崩壊によるナット・カバク・リース・デイヴィス体制も災い転じて福となりそうだ

CB総括

ファンダイク、マティプ、コナテ、ゴメスの4枚体制はサッカー史上最高の陣容である。両サイドバックに加えてIH2枚が攻撃参加してアンカーと3枚しか守備をしてなくても広いピッチで相手FWを叩き潰せる彼ら(ゴメスは3人に比べると若干落ちる)は世界トップのCBである

昨年ダイクが故障してからも首位だったのに彼ら全員が離脱した瞬間にチームが崩壊したように、クロップサッカーは戦術が優れているのではなく彼らの個に支えられている所が大きい。戦術云々の前に圧倒的な個があればサッカーは勝てるということを改めて教えてくれた。またセップ・ファンデンバーグもプレストンで良い活躍を見せているのもうれしい誤算でCBについても盤石の体制になりつつある。唯一の懸念はダイク以外の3人がスぺ体質で週に1試合の起用が崩れると崩壊するリスクをはらんでいる事だけだ

FBサイドバック

ロバートソン

年間稼働 4,003分 47試合出場
開幕直前の故障によって開幕当初はパフォーマンスが安定しなかったものの、今年も世界最高のLBだと証明するパフォーマンスを見せた。使えば使うほど調子が上がる稀有な選手でほぼ全てがパーフェクト。クロスが上手い、プレイスキックも正確、トップスピードは34km/hそこそこに過ぎないがワープしたのかと思わせる事もある世界トップクラスの瞬発力、1vs1の対人守備力、トラップもドリブルもパスもMFを任せられるほどに上手い

弱点はたまに雑なパスで無理矢理サイドを駆け上がろうとして失敗する事、守備の際にオフサイドラインを意識せず戻りすぎてオフサイドを取れない原因になる事くらいである。加入してからストレングスが劇的に向上した以外は毎年なにも変わらないパフォーマンスを続けている。こんな選手が£10mくらいで取れるというのだから世界中のスカウトというより編成がいかにサッカーを理解しておらず知名度で選手の獲得を決めているのかが分かる。ユナイテッドのスカウティングが絶望的な間に売上で逆転出来るようになったのは非常に大きい

アーノルド

年間稼働 4,234分 47試合出場
元々世界トップレベルだったクロスに加えてトラップとドリブル技術でも大幅に成長してケイタを超えてMFでプレーしてもおかしくない水準になった。また守備面でも相変わらず油断してやられるケースは目立つものの危機察知能力が極めて高くなってきている。彼の裏のスペースを突く相手の攻撃を何度も彼がせき止めていることも多く、遂に世界最高のRBと言って全く問題ない選手に成長した。対人守備でも瞬発力や油断で負ける事は多いが3シーズン前にネイマールを何度も止めたように優れており、ゴメス以上にサイドバックとしての守備力は備えている

MFでも活躍できそうな技術を持っているが、判断力はMFレベルではなく360°を相手にするよりもサイドで180°に制限した方が良い。またチームが上手くいかない時にはプレーが荒れる傾向にあり、適当なクロスを放り込み続けたり雑な守備をしたりポジションを放棄してボールを触りたいからと自分勝手なプレーも目立つ事が最大の問題。某ビデオゲームでCPUの操作が酷すぎてポジションを無視してボールに絡もうとするキャリアモードみたいなプレーは自重していただきたい

偽サイドバックは相手のハーフスペースが空いていて外からのクロスよりパスが通りやすい場合にのみ、内側に陣取るべきである。能力的には文句なしに世界最高のRBとなったので、自由気ままなポジショニングを減らして外から世界一のクロスをメインに活かしつつもカットインの両立させる偉業に来季は期待したい

ツィミカス

年間稼働 1,712分 26試合出場
昨季の加入から攻撃時のクオリティは期待通りだったものの、守備面ではリヴァプールのインテンシティを身に着けておらず緩いプレーが多かった。また昨季はシーズン序盤は離脱し、復帰した後ではCBのレベルがプレミア最低レベルに落ちた事もありロボの守備力が欠かせなくなって試合に出る事がなかなか出来なかったが、今季は戦力化

ロボの離脱により開幕戦からピッチに立つと持ち前のトラップ、ドリブル、クロス、連携で貢献。守備も次第に改善されてダイクなどのCB陣と組むには十分なプレーを見せた。これによりLBはリーセ&アウレリオ時代を超えるロバートソン&ツィミカスで万全の体制となった。来季以降も彼が衰えるか退団を望むまで契約を延長し続けたい

ネコ・ウィリアムズ

年間稼働387分 8試合出場
トラップ、パスは上手くクロスもまあまあでスピードが遅いと思われていたが、実は加速が遅いだけでトップスピードは平均的なスピードでMFに比べればだいぶ速いことが判明したRB。対人守備も最低限は兼ね備えているが加速が遅いのでハイラインのRBとしては限界がある。また視野の狭さも問題でリヴァプールが要求するレベルの選手になる事はないだろう

ただしプレミアリーグの15位くらいのクラブなら十分に戦力になるRBであり、フラムへのローン移籍により自分の実力を示した事で売却先が広がっている。ウェールズ代表選手でプレミアでやっていくだけの実力はある事、ゴメスに出場時間を与えるためにRBで使う事を考えると夏に£10m前後で売却される事は間違いないだろう

オーウェン・ベック
年間稼働10分 2試合出場
若手プレシーズン組では最も良いパフォーマンスを見せていた。LBは2枚看板が強すぎるので近い将来ローンで経験値を積ませたい

FB総括

ここも世界最強どころか歴史上最高レベルのスカッドになった。アーノルドは毎年のように細かい成長を重ねており、もはや精神面以外に成長する部分が残されていないと思うがピーク時にどんな選手になるのか楽しみで仕方がない。また昨季からトップクラスの攻撃力を見せていたツィミカスの守備意識が劇的に成長して戦力になった事は大きい。RBの控え問題もゴメスの起用に伴い格下を殴りつけるだけなら問題は解決した

MFミッドフィルダー

ヘンダーソン

年間稼働 3,876分 57試合出場
良い意味でも悪い意味でも、頑丈で年間4000分近く出場してチームの足を引っ張っりながらもチームを支えたワイナルドゥムがフリーで退団した穴を埋めました。パフォーマンスは全く安定せず特に年末年始から2月にかけてのパフォーマンスは酷い以外に形容しがたいものでした。しかしケイタとチアゴの離脱でそんなコンディションの彼が出続けなければならなかったチーム状況の方が責められるべきであり、彼の責任ではありません

能力的にはCL優勝を目指すクラブのレギュラーには相応しくないが、大事な控え選手という書いた認識に変わりはない。そして今年も素晴らしいキャプテンであった

ファビーニョ
年間稼働 3,693分 48試合出場
今季も鉄人ぶりは健在で安定のパフォーマンスを見せました。故障が多かった昨季はCBの負荷がいつもと違ったので耐えられなくなっただけでしたね。ボール奪取、速くて大きいロングパス、ヘディング、PKといった部分で今年もチームを救うプレーを見せてくれました

弱点はマティプと同じく加速の遅さとアジリティの低さだけ。故にアンカーとして孤立した際にボールを奪えずチームの守備力が下がる問題がありましたが、それだけ普段のファビーニョが仕事をしているという事です。ただヘンダーソンはファビーニョと異なり身体能力が高いので試合に求められる展開次第で来季は使いわけて貰いたいところ

チアゴ

年間稼働 2,386分 39試合出場
故障明けを除くと試合に出れば殆どMVPに近い活躍でした。残念ながら稼働率はチアゴとしかいいようがありません。誰かに壊されず調子が良ければ年に3000分働くこともありますのでその時がくる事を信じたいものですが、彼の控えは獲得必須ですね

トラップ、ドリブル、身体の使い方、アジリティ、ショートパス、ロングパス、ロフテッドパス、全てが絶品です。先読み能力も高く守備の切り替えも最高、ボール奪取能力も高くて世界最高の守備的MFです。リヴァプールでやっている3センターよりも2ボランチだと更に良く、バイエルン時代のプレーは神でした

そんなチアゴを「リヴァプールには合わないので不要」というサッカー見てるの?というくらい意味が分からない声もありました。また昨季のチアゴはよくなかったという謎の声もあり、その度にイライラしたものですが彼の力が正当に評価されて良かったです

昨季も故障から復帰後にワイナルドゥムとかシャキリとかチェンボとかMFじゃない選手と一緒にプレーしていたので勝点を落としていましたが、チアゴのプレーは昨年の加入した瞬間からずっと我々のMFの中で最高でした。シャキリはサイドからカットインする王様。ワイナルドゥムは1トップ下から飛び出す優秀なストライカー。チェンボはウィングバックかサイドハーフであってMFではないのです

チアゴの守備はMFとして世界トップレベルですが、身体能力が低いのでカバーエリアが広くありません。にも関わらずアンカーで起用してIHがシャキリだったりワイナルドゥムだったりチェンバレンだったら守備が破綻します。結果として最終ラインを守るCBに負荷がかかってCBにコンバートされたヘンドとファビーニョが故障を繰り返しました。彼はファビーニョやヘンダーソンといった守備的MFとタッグを組むことで最高の選手となるのです

ケイタ

年間稼働 2,086分 40試合出場
本当にピーキーな選手です。相手を一方的に押し込める試合で高い位置でボールを奪ってのショートカウンターに専念させたら非常に能力は高く、ロングボールの応酬となる試合だとワイナルドゥムどころかミルナーにも劣る選手です。一方的に殴れたユナイテッドのような相手には輝きましたし、ウルヴズのようにロングボール連発のチームだと存在しないレベルにまで落ちてしまいます。残念ながら適切な代役が取れるならば契約を延長する価値はないでしょう

ジョーンズ

年間稼働 1,530分 27試合出場
トラップとドリブルはワールドクラスですが、ボールの受け方がそこまで上手くありません。ショートパスの精度はそれなり、ロングパスの精度は並み。たまにミドルでスーパーゴールを決めますが、それ以上のものがありませんでした。守備は素人レベルで闇雲に走っているだけだった所から成長しましたが全体的に期待したほどは伸びませんでした

選手の成長期というのはキャリアを通じて3回くらいしかありません。16〜18歳で1回、20〜23歳で1回、25歳〜28歳で1回です。技術についてはトップレベルで判断力に劣り、どちらかといえば早熟なジョーンズには早く大きな飛躍を遂げて欲しい所なので出場機会を優先してローンに出すべきかもしれません。ケイタまたはミルナーを残してフリーで退団、その上位互換としてローンで成長したジョーンズが復帰するのが理想の展開かもしれません

チェンバレン

年間稼働1,526分 48試合出場
消化試合にしか使えないレベルの選手がMFの出場時間で6番目だったのは本当に笑えないです。チェンバレンがMFで50分以上出た試合は下の通りです
PL
ノリッチ戦1-0で交代。結果3-0
ブライトン1-0から出場。結果2-2
ウェストハム1-2で交代。結果2-3
アーセナル3-0で交代。結果4-0
ニューカッスル2-1で交代。結果3-1
ノリッチ0-1で交代。結果3-1
出場中8-6。チェンボなし9-1 合計17-7
CL
アトレティコ2-0で交代。結果2-0
ポルト2-0で交代。結果2-0
ミラン2-1フル出場
出場中6-1。チェンボなし0-0合計6-1
FA
ノリッチ2-1フル出場
ノッティンガム0-0で交代。結果1-0
出場中2-1。チェンボなし1-0
EFL
ノリッチ3-0フル出場
プレストン2-0フル出場
レスター3-3フル出場
出場中8-3

この通り、MFのチェンボに関しては擁護のしようがない数字でPLを失った原因の1つです。ただプレッシャーがない状況ならチェンバレンは圧倒的な突破力を持っているのでCLでは良い結果に繋がっているのかもしれません

これまでのリヴァプールでは純粋に戦力の数が足りなかったのでMFでもFWでもそれなりの能力で便利屋としてプレーできるチェンボやミルナーやワイナルドゥムが重宝されていました。実際、AFCON期間には右WGとして得点を取るなど穴を埋める活躍も見せています。ただディアスの加入によりFWは強力な5人が揃ったことから今後はMFの専門家が必要です。MFの中でも出場時の成績が上記の惨状なので必ず今夏に売却される事になりそうです

故障については殆ど状態が回復して圧倒的な身体能力も微妙なトラップやパス技術も故障前と変わらないパフォーマンスを取り戻したことは素晴らしいです。ただ彼の加入時に短期的な解決策にはなってもアーノルドの控えにならなければ長期的な戦力にはならないという私の予想通りの結末になりそうですね

ミルナー

年間稼働 1,371分 39試合出場
ミルナーは時間に余裕があれば素晴らしいパスを出すし、プレッシャーがキツい展開だとロスト連発でした。それ故に格下相手にMFでなら使えるが強豪相手だと話しにならないパフォーマンスでした。スピード面でCL出場試合の最高速度が29.0km/hとチアゴ以下の最下位でRBの控えとして計算するのはもう苦しいでしょう。相手がザハやフォーデンといったハイレベルの選手が相手だったとは言えサイドバックとして計算はもう出来ません。契約を延長するかは微妙な情勢ですが、退団しても大きな影響はなさそうです

エリオット

年間稼働585分 11試合出場
トラップ能力、ロングパスは素晴らしかったですが、それ以外の能力は全て基準に達していませんでした。ボールを足元で貰いたがる癖があってチアゴのように相手の状況を見てトラップ位置を変える力がありませんから飛び込んだら交わされるという怖さがありません。そのため寄せられては何も出来ずバックパスを繰り返すだけの現状からIHで戦力になるには相当苦しいですね

スピードが並なので長い目で見るとWGには不向きと思われますが、現状ではWGの方がだいぶ期待が持てます。カーディフ戦では南野に代わってミルナーが投入されると右WGに上がってダメ押しのゴールを決めたように来季は南野ロールでカップ戦の右WGを担当する事になるかもしれません。チーム愛が凄まじい理想的なカップ戦要員ですし、まだPLでの本格稼働もIH挑戦も1年目の18歳の未来は楽しみです

モートン
年間稼働544分 9試合出場
ロングパスは素晴らしかったですね。またインテリジェンスの部分でも正しいポジショニングを取れるのはMFとしてのセンスを感じます。ただフィジカルやタックルなどの守備能力は低いです。加えてトラップ技術やドリブル技術を見る限りではポジションを上げて2列目としてプレーできるかと言えばNoでしょう
彼はブラナガンを思い起こす選手でトップレベルでプレーするにはジョルジーニョのように3列目から正確なパスを通して最低限の守備力を身に着ける必要があると考えます。まだ若いので今後の成長に期待しましょう

MF総括

2015年に故障して以降ヘンダーソンの稼働時間が過去最高でチームトップになりました。チームのMFで最も稼働した彼に悪い時期があったというのは4冠を目指すチームにも明確な改善点があるという事です。クロップは改善点に対して金銭的に後回しにした事はあっても予算があるのに放置した事がありませんので今夏は必ずMF補強を行います

ヘンダーソンは大体フル稼働した翌シーズンは故障する傾向にあり来季の戦力補強は必須です。ファビーニョとチアゴはいつも通りの稼働時間だったので、来季には4番手以降の選手が重要になります

4番手のケイタ、5番手のジョーンズは彼らの武器が活きる展開ならば良く、彼らの武器が活きない日には弱点ばかりが目立つまるでダメ。6番手のチェンバレンも8番手のエリオットもMFとしては失格でミルナーは弱いチームを叩くには十分でも中堅以上のクラブには厳しいパフォーマンスにとどまっています

このようにMFは単純に戦力が足りませんから来季には改善したい所で既に高いトラップ技術を持ち反転して相手をかわせる狭いスペースでのプレーが得意なカルヴァーリョの加入が決まっています。またフィルミーノを使う4-2-3-1や4-2-4などの使用頻度が来季は上がるでしょう

FWフォワード

サラー

年間稼働 4,014分 51試合出場
スピードでぶち抜くドリブル、シュート、ラストパス、正確なトラップ、RBの位置まで戻ってくるスタミナと守備の献身ぶりでシーズン前半の活躍ぶりは凄まじかった。メッシとロナウドが年齢的にピークを過ぎた事もあって世界最高のFWと呼ぶに相応しい活躍を見せました

しかしAFCONでも延長戦に次ぐ延長戦でフル稼働した後は決定力が大きく落ち込み、チャンスを潰すことも少なくなかった。ただサラーが決定機を外すのは通常運転であり、アシスト面ではそこまで数字が落ちていないこと、守備での貢献などを考えるとマネより優先して契約延長をするべきでしょう。ただ特別扱いしてチームが壊れるほどの要求を続けるなら契約満了まで使い切ってリリースがベストな選択でしょう

マネ

年間稼働 3,938分 51試合出場
19−20シーズンから比べて昨季は縦に抜けなくなって落ちる一方でしたが、ディアスが加入したため、役割を中央のストライカーに移ると今年はだいぶ復活しました。ヘディングでも裏抜けでも点が取れて、ジョタよりは少しだけボールが収まります。トップスピードというより瞬発力が衰えた印象でドリブルでの突破率が大きく下がったのはこの辺りが原因ではないかと思われます。今のサラーと同じくらいに凄かった19-20のピークからは落ちていますが、能力が落ちた現在でも世界トップ10に入る選手なので契約は条件にもよりますが可能ならば延長するべきでしょう

ただディアスが来てからもパフォーマンスのムラは非常に激しくビッグゲームにしか活躍しなかったようにリヴァプールでプレーするモチベーションが下がっているようにも思えます。特に守備意識に関しては強豪相手だとサボらないのに格下相手だと露骨にサボる日も増えているのが気になる所です

サラーとは仲が悪いというより純粋なライバルですので近い待遇を与える必要がありますが、残念ながらクラブに退団希望を伝えたとのことです。サラーの契約延長が決まらない中での売却は悪手以外の何物でもなく€30m程度の金額で売るのは愚かです。ニャブリとのトレードやソンフンミンなど彼に近い能力を持つ後釜を確保するまで放出は絶対に認めるべきではありません

ジョタ

年間稼働 3,572分 55試合出場
トップスピードは33km/h中盤と普通ですが、今年も瞬発力を活かした抜群のポジショニングを活かして得点を重ねました。ヘディングに加えて両足が使えるものの決定力だけを考えるとヘディング以外は普通で、多いチャンスを外しながら決めていくサラーと同じタイプの選手です

左でも中央でも右でもプレーできますが、最も良いのはドリブル突破が出来る左サイドか得点力を活かせる中央です。ディアスとポジションが重なる事から右での起用も増えていますが、マネのように左足で強いシュートを叩き込めるようになれば右でも問題なくプレーできると思います。ストレングスもアジリティは抜群で守備の強度も高いリヴァプール向きの選手です。トラップはディアスやマネと似たレベルでサラーやフィルミーノと比べると劣るので決定力と一緒に伸びてくれることを願います

フィルミーノ

年間稼働 1,804分 35試合出場
故障が多くコンディションが安定せず不本意な1年となりました。調子が良ければトラップとドリブルがトップレベルでストレングスとアジリティも高く、攻守にインテリジェンスが高く守備のインテンシティも高い。パスとシュート精度は調子次第で悪い時は本当にデタラメといつも通りのフィルミーノでした

契約は来シーズンで終わるのですが、能力は殆ど下がっていませんので契約延長は給与次第というところでしょう。リヴァプールの給与については非常に不明瞭で明らかに報道されている金額が間違っているので分かりませんが、年俸£10m程度ならば延長する価値はありそうです

ディアス

年間稼働 1,691分 26試合出場
瞬発力に加えてトップスピードも速いので相手がよほど警戒しない限りは裏に抜ける力があります。アジリティにストレングスを活かしたキープ力、緩急を使えるドリブル、守備、パス、スタミナ、年4000分近く稼働する頑丈さ、キック力と昔のマネを見ているようで凄い選手になる可能性を秘めています

マネが衰えて以降、個のドリブル技術、キープ力で打開できる選手が不足していたリヴァプールに必要なピースでした。足元で受けるトラップ能力には若干の改善余地があり、今後は19-20シーズンのマネを目指して成長してもらいたいものです。来季以降の課題は決められる位置でパスを貰えるようにすることがメインになりそうです

南野

年間稼働 1,008分 24試合出場
2つの大会でチーム得点王としてタイトル獲得に貢献した事で爪痕は残したと言えるでしょう。オリギと並んで理想の6-7番手FWでした。ディアスが加入するとFW5人にはない高さと強さを持つオリギが優先されたのでベンチ外が続きました。それでも不貞腐れる事なく練習に精を出し、コンディションを維持したのは凄い事です。サウサンプトン戦では得意の決定力を活かしてビハインドの苦しい状況から追いつくスーパーゴール

加入してからの1年間は全く戦力になる予兆すら感じられず、登録枠の都合で移籍するべきという辛辣な記事も書きました。それでもめげずにセインツでのローンを経てプレミアリーグで活躍できるだけの実力を十分に備えるまでに成長しました。来季もリヴァプールに残留した場合には今季と同じかそれ以下の出場機会しか与えられそうになく、ガレージに眠るフェラーリは適正価格のオファーが来ると売却に出される事になりそうです。ボールを運ぶ能力を問われるチームでは苦しいので、前線でチャンスが来るチームかつ彼の運動量を活かしたプレスでの献身が活きるチームに移籍する事が重要です。

オリギ

年間稼働 598分 18試合出場
優秀なCFかつ左右のWGとしては微妙だったので南野と仕事分け合ったオリギもまた理想的な6-7番手のFWでした。ストレングスを活かしたボールキープ、加速するとチームトップクラスのスピードを活かした裏抜け。ボックス内での決定力。心と身体の調子次第でムラのある守備意識、ドリブルは下手なのにドリブルで仕掛けてペナルティーエリア内に侵入したがる癖も全て愛おしいものです。こうした要素が彼とマネの移籍が起きると来季以降なくなる事は恐ろしい事ですが、ガレージに眠るピーキーなスポーツカーは来年眺める事は出来なくなります。少しだけ悲しいですね

ゴードン
年間稼働 242分 4試合出場
ウッドバーン系の全てがそれなりで武器も弱点もない選手でした。まだまだ若いのでこれから武器が出来る事を期待しましょう。来季はカップ戦要員としてカップ戦の控えとしてプレーする機会が増えそうです

FW総括

FW陣はディアス加入後にはサラーでもパフォーマンスが悪ければ交代させられるフェアな競争となり万全の5枚看板体制です。6-7番手の南野、オリギが退団してもエリオット、ゴードンなどがおりますので大きな問題は生まれないはずです

クロップ

私はクロップの選手の将来性を見抜く眼力に対しては信者以外の何物でもなく、選手の編成や移籍市場での立ち回りや選手を惹きつける能力、雰囲気作りに関しては信者でクロップ解任はあり得ないと考える人間です。一方でクロップ、というよりリンダースが行うエセポゼッションサッカーの戦術面に関しては100%アンチでジェラード信者であることも公言しているように正しい評価が出来ません

ただ戦術面に関してはリンダースの理解不能なサッカーから大きな改善が可能だと信じていますし、ジェラードには最高の戦力を揃えるリヴァプールの一員として早く様々なタイトルを獲得して不遇な現役時代の穴埋めをして欲しいと心の底から願っています

来季に改善が必要な事

1 フィルミーノが行っていたFWにボールを繋げる仕事が出来る選手獲得
2 チアゴの控え獲得
3 アーノルドの控え獲得
上3つの問題を除いてリヴァプールは完璧なスカッドとなりました。これに加えてマネの退団希望によって
4 マネの世代交代
という問題も発生していますが、ニャブリのようなマネと近いレベルの選手獲得がない限りリヴァプールが放出を認める事はないでしょう。問題は来季に持ち越しになるかもしれませんが、私の勘ではリヴァプールがごねにごねてニャブリのようなトップ選手を獲得する事になるでしょう。とにかく1番の問題は11人目のレギュラーが定まっていない事です

1 ジェラードが言う足りない8番とは

MFの仕事は下の3つに大きく分ける事が出来ます
 1ボールを奪う仕事
 2アシストにならないアシストの前のパスを出す仕事
 3パスを受けてFWと絡んでいく仕事
3の仕事はイングランドだと8番と言われるように思いますので、ジェラードがリヴァプールに不足していると指摘しているのはこのロールの選手でしょう

この記事の一部でも取り上げましたが改めて確認のためシティを例に説明します。シティは1と2の仕事をロドリとフェルナンジーニョが行い、ギュンドアンがロングパスの精度を活かして2の仕事を行い、ベルナルドが狭い所で受けて出してを繰り返しPA内に入っていける選手で3の仕事を行い、デブライネは狭いスペースと外に開いてクロス両方が出来るので2の仕事も3の仕事も出来ます。つまり、ギュンドアン-&ベルナルド、ギュンドアン&デブライネ、ベルナルド&デブライネどの組み合わせでも役割分担が可能なのです

一方のリヴァプールだとチアゴは1の仕事も2の仕事も3の仕事も出来ますが、最も得意なのは2のアシストの前のパスの仕事です。ファビーニョは1と2の仕事が可能ですが、1のボールを奪う仕事で世界的な評価を得ています

ヘンドも2の仕事が最低限のレベルに出来て1の仕事ではファビーニョに比べれば劣りますが、身体能力でカバーできる時もあります。また右に流れてクロスとミドルも彼の武器ですが、狭い所では無力で3の仕事には致命的に向いていません。ケイタは2の仕事には不向きで1と3の仕事が最低限のレベルで可能です。ジョーンズは1も2も出来ず、3の仕事でもケイタ同様に最低限のレベルしか持ち合わせていません。ヘンドはファビーニョの控えとしては十分に戦力であり、ケイタとジョーンズは控えならギリギリ及第点のレベルでしょう

ミルナーとエリオットは1も3も出来ず、2の仕事を少し出来るくらいです。チェンバレンは広いスペースと時間の猶予があれば凄いプレーをできますが、基本的には1も2も3も出来ないサイドハーフの選手です。このようにMFの戦力はファビーニョとチアゴ、そしてファビーニョの控えが出来るヘンダーソンの3人を除くと武器が足りていません

昨季からのリヴァプールではファビーニョとチアゴが低い位置から試合を作りヘンダーソンやワイナルドゥムが前寄りのポジションでプレーしていました。しかしワイナルドゥムはニューカッスルで2桁得点しているようにゴール前に突如顔を出して得点を奪える選手でしたが、1も2も3も全てが出来なかったのでリヴァプールから昇給オファーを勝ち取れませんでした

他の選手の給与がどんどん上がっていく中で給料が増えなかったので怒りの退団をする事になり、PSGで真の実力が露呈する事になってしまいました。決して金に目が眩んでパフォーマンスが落ちたわけではなく、リヴァプール時代から今PSGでやっているプレーしか出来なかっただけです

そこで残ったヘンダーソンが前のポジションで起用されることが増えたのですが、狭い位置でボールを受けてFWと繋ぐ仕事に向いていないためアーノルドが中央に陣取って中に切れ込んでこの仕事を行うケースが増えました。しかしながらアーノルドが内側に切れ込むためにヘンダーソンは押し出されるように外に逃げる事になり、赤枠部のスペースを使われてカウンターを食らう事も増えました。(下図参照)

アーノルドの偽サイドバックという機能していない時の典型例

またアーノルドの高いクロス精度を活かす事も出来ておらず、ヘンダーソンがクロスを外から上げてもヘディング精度の高いジョタが居らず、青枠部の最前線に入る枚数も不足しているので簡単に弾かれてしまい機能していません。アーノルドが勝手に行おうとする狭いスペースでFWへボールを繋ぐ仕事が得意な選手を獲得し、アーノルドを大外に配置しなおす必要があります

この足りない狭いスペースで受けてFWとボールを繋げるタイプを補うためにカルヴァーリョを獲得しました。元々この仕事はフィルミーノが行っていましたが、彼の稼働率が落ちている事、狭いスペースでトラップした後のパスが乱れやすいなどの問題が出てきているため、彼の控えとなる選手が必要でした

カルヴァーリョはフィルミーノよりも小さく小回りが利くタイプでまさにうってつけの人材といえます。£7~8mで獲得できたのはロバートソン並みに詐欺トレードになるのではないかと私は期待しています。彼はケイタとジョーンズを追い越していくと思いますのでプレシーズンの出来に応じてケイタかジョーンズのどちらかが放出(ジョーンズの場合はローン)される事になりそうです

まだフィジカルが十分に発達していないため将来的には偽9番での起用もあるかと思いますが、来季はフォーメーションが4−2−3−1ならトップ下、4−3−3ならIHに起用する事になりそうです。(下図参照)

4−3−3でフィルミーノを偽9番起用する場合
4−3−3(攻撃時2−4-1-3)

フィルミーノとの同時起用でさらに輝く可能性も秘めており、リヴァプールに不足していた8番の仕事でカルヴァーリョは爆発すると私は期待しています。この動画を見るとケイタよりも圧倒的に上手いですから…

2 チアゴの控えを解決する

この問題については下の記事で検討を行っております。チアゴが行っている速いサイドチェンジ、相手のライン間を通すパス、ファビーニョと連携して中央のフィルターになる機能の3つを兼ね備えた選手として特にルベン・ネヴェスの獲得やチュアメニなどを推奨しています

3 アーノルドの控えを獲得する

この問題の解決策も上記リンクに書きました。恐らくはカルヴァン・ラムジーを獲得して終了でしょう

4 FW世代交代の問題について

この記事を書いた際には妄想が強かった説ですがエンバペのPSG残留に伴い、この説通りにサラーが来夏にレアルマドリーかPSGへフリー移籍で退団する可能性も高まっています。この説が正しければ、リヴァプールがサラーを手放す事はエムレ・チャンを手放した時のように仕方がないものとなります

したがってマネの後釜にはサラーの退団に備えて右が本職のニャブリ獲得を狙う事でしょう。今後のレギュラーは左がディアス、右にニャブリでジョタの成長次第ではCFが不足します。フィルミーノを偽9番に据えてカルヴァーリョやジョーンズをIHで起用する事も考えられますが、フィルミーノの高齢化に伴い稼働率が落ちていますから中央のFW獲得に本腰を上げるはずです

本命のターゲットとなっているのはケインで対抗となるのは今夏には出さないと言われているエンクンクでしょう。サラー退団が決まった状態で2024年まで契約を残す彼らと交渉すれば足元を見られる事は間違いありません。そこでダーウィン・ヌニェスとの契約の話題が再燃しておりますが、リヴァプールは彼に興味がないもののユナイテッドよりもリヴァプールに行きたいヌニェス側のリークまたはユナイテッドの資金を削りたいリヴァプール側のリークでしょう。リヴァプールはそこまで注視していないのではないかと私は予想しています

また本命のケインやエンクンクと出場機会で揉める原因になるので行わないと思われますが、レヴァンドフスキとニャブリの2枚取りを狙うウルトラCも妄想しておきましょう。フィルミーノを不足している8番の役割に据えてカルヴァーリョと2人で起用し、ジョーンズをローンに出してケイタを売却すれば余剰戦力は出てきませんし資金的には可能なウルトラCです

ただ世代交代はフィルミーノがカルヴァーリョの控えとして残留。マネがバイエルンに行きニャブリまたはリーズのラフィーニャなどを獲得。サラーは契約延長もしくは契約満了で退団し後釜にケインまたはエンクンクまたは来季の成長株を獲得の3つが今後のメインシナリオとなりそうです

どちらにせよフロント3という1つの時代が終わっても戦力を大きく落とす事なくリヴァプールは世代交代に成功すると私は信じております。が、エドワーズの後任であるウォードが無能でスカウトの現場の声を無視して若手に走るロリコン編成を行えば黄金期が終わるリスクも出てきた正念場であります

最終総括

今夏はリヴァプール唯一の弱点である8番型のMFへの投資でカルヴァーリョ獲得が確定しており、守備的MFとRBの控えに各1選手を獲得し退団希望のマネの後任を獲得する事でしょう。MFには大器の若手選手を獲得するのか、ビスマくらいの選手でお茶を濁して本命を待ち続けるのかは分かりませんが、チェンボを売却してMFを獲得するのでチームが強化される可能性は99%近いです

MFに関してはMFとしての仕事を殆ど出来ていなかったワイナルドゥムやMFでもFWでも微妙だったチェンバレンをもっと早くに換金してテコ入れを図るべきだったと思いますが、クロップが積極的に選手を売る監督ではない上に選手層が薄かったので仕方なかったのでしょう。また仮に昨夏にチェンボを売っていたらAFCON期間中のFW不足でパレス戦が苦しかったはずです

来年のリヴァプールには夢が大きく広がりますが、残念なことに来季が戦力のピークになる可能性も出てきました。ただサラーが退団するならば現在のリヴァプールの資金力では仕方がないほどの高給を払う存在によるものであり、仕方がない事です。私が妄想したサラーが退団を選ぶ理由が事実ならば間違いなくFSGの決断が正しいと断言する事が出来ます

今後も最適な投資によってメッシやロナウドやネイマールやエンバペのように1人の選手に莫大な給与を払うのではなく、主力20人に£7~25m給与を与えて£3m前後のベンチ外5人による戦力を最大化するFSG(と悪い事にシティも同じ)の方針は正しいものになるでしょう

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