2022夏移籍市場でリヴァプール理想の編成が完成する-足りない最後のピースとチアゴの控え問題を解決する3選手とは?-

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上記の前編ではケイタがトップクラブと戦うには不十分であること、彼を超えるIHを獲得するのが困難なこと、システムの変更によって最後の1ピースとチアゴとアーノルドの控え問題を解決できると書いた。今回はその続編で今夏に誰を獲得するのかについての予想である

現戦力の現状確認

その選手が誰なのかを書く前に補強について語る際に必ず必要な現状把握をしていこう。今季の5月21日時点での出場時間と去就予測を基に現状を下表1に整理した

21-22シーズンの出場時間と22-23シーズンでの登録区分まとめ

来季の編成を考えるにあたって登録枠の問題も考えなければならない。プレミアリーグ(以下PL)よりもルールが厳しいチャンピオンズリーグ(以下CL)のルールを守ればPLのルールは問題がないので登録枠は全てCLでのルールを基準に記載した

退団が確定している選手とユース選手を除いた現状で登録が必要な選手は自由登録枠(以後、非HG)の選手が最大17名に対して16名、協会育成選手(以降AT)が最大4名に対して8名、クラブ育成選手(CT)が3名存在している。ちなみにピタルーガはリヴァプール加入後3年が経過していないため、アドリアンと同様に選手登録して自由登録枠を使用する必要があり、リストBに登録できるのは2023-24シーズンだけである

GK  1アリソン☆ケレハー2アドリアン
CB  3ファンダイク4マティプ5コナテ☆ゴメス○ファンデンベルフ○フィリップスBリース○デイヴィス
FB  6ロボ☆アーノルド7ツィミカスBネコ
MF後 8ファビーニョ9チアゴ○ヘンダーソン○ミルナー
MF前 10ケイタBジョーンズ○カルヴァーリョ○チェンバレンBエリオット
FW  11サラー12フィルミーノ13マネ14ディアス15ジョタ16南野○ゴードン○オジョ

☆=CT 登録は無限に可能。ただし自由登録枠と協会育成との合計で25名以内に抑える必要がある。PLではHGに該当
○=AT 登録は最大4名まで可能。ただし自由登録枠の枠を使って登録する事も可能。PLではHGに該当
B=リストB登録選手 登録は無限に可能

退団が濃厚な選手

退団が現時点(2022/5/22)で確定しているシニア選手は僅かに2選手である。出場時間はオリギが598分、カリウスが0分であり殆ど問題はない。また退団が濃厚だったり来季の去就が怪しい選手もナットやネコやアドリアンは出場時間が500分にも満たないし、チェンバレンやミルナーも南野も出場時間は1000-1500分程度である。合計しても5000分程度にしかならない。一方で今季3000分ほど稼働したファビオ・カルヴァーリョの加入は濃厚となっており、頑丈な守備的MFを購入すれば問題はなさそうだ

現状ではHG選手にあたるAT登録の選手が余っているため、彼らの売却報道は多い。まずミルナーは多くのオファーを貰っている事から1番良い条件のクラブを選ぶだろう。ワイナルドゥム同様に給与の面でも大幅に削減された提示が予想されるため、リヴァプールが提供できるのは強いという事だけである。私の予想ではプレミアリーグ最多出場まで66試合と迫るミルナーは出場機会が得られるクラブを選択するだろう。リヴァプールでは主に終盤の時間稼ぎ要員として23試合も出場したため残る可能性も僅かに存在する

また2023-24シーズンからAT登録が必要なネコ・ウィリアムズも売却が濃厚だ。昇格に貢献したフラムだけでなく他クラブからも引き合いがある。アーノルドの控えには不十分だが、プレミアの下位クラブでレギュラーを務めるだけの実力は備えているため夏に移籍となるだろう

ナット・フィリップスも売却される事になるだろう。ボーンマスの昇格に貢献しており移籍金での調整が予想される。リヴァプールは契約年数が長く残っている事から強気に出るだろうが、最終的には放出しないとCBは余っている

ベン・デイヴィスはシェフィールドから買取の意思がないとの報道のため、別のローン先を見つける事になるだろう。シェフィールドでは最低限の活躍を見せており、年俸も低いので移籍先には特に困る事はないだろう。早く終の棲家が見つかる事を期待しよう

ファンデンベルフはプレストンで活躍を続けており順調に成長している。しかしながらゴメスの壁は大きく出場機会が殆どないCB5番手に据えるには勿体ない。リースやクメティオのように登録枠を使わずリヴァプールレベルに達する事はなさそうなCBを抱えているのでローンに出される事になりそうだ

チェンバレンは退団がほぼ確定している。売却先にはニューカッスルやウェストハムなどが挙げられている。故障の頻度は高いが元気な時は活躍できているので£20m程度で問題なく売却できるだろう

オジョもレンタル先のミルウォールでは徐々に出場機会を減らして買い取られない方針のようだがリヴァプールを去る事になりそうだ。報道によれば契約は最終年となるため格安での放出になるだろう

南野も退団が噂されている。ガレージに眠るフェラーリという表現は若干の誇張が入っているが事実である。南野はプレミアリーグでも十分に活躍する事が出来ると証明した。ただし証明したのは決定力の部分だけである
ボールを運んだり決定力以外の部分では厳しいのでエース待遇を勝ち取れるクラブが良い。セインツはローンで借りているブロヤに£25m程度のオファーを出したとされるが、チェルシーは応じていない。ブロヤが断られた際に南野は£15m弱で買える代替案に躍り出る可能性もあると思っている

リヴァプールの最後のピースを埋める選手は誰なのか?

前置きが長くなってしまった。リヴァプールに足りないFWとMFを繋ぐ選手は……フィルミーノである。なんという当たり前のつまらない結論だろうか。しかしダブルボランチとトップ下にシステムを変更するならばトップ下のレギュラー候補はフィルミーノしか居ない

ただフィルミーノは故障が増えてきており、コンディションによっては彼最大の長所であるトラップとドリブル、更にはラストパスの調子が全く安定していない。しかし問題は要らない。リヴァプールは既に彼の後釜候補を獲得している。フラムから加入が濃厚なファビオ・カルバーリョだ

トラップ、ドリブル、サイドに流れてからのクロス、スペースに飛び込んでのヘディング、強度がある守備など能力はフィルミーノに近い。IHとしてみればケイタに劣るだろうが、2列目やFWであれば既にケイタを超えている能力を持っていると期待している。彼がフラムで見せているプレーは周囲のレベルに制限されている感じもあり、ハルシティで苦労していたロバートソンのように底が見えないのである

フィルミーノのコンディションが優れない場合には彼を起用する事になるだろう。彼がフィットするかは実際にプレーさせてみないと分からない。レベルが高い相手に囲まれて今まで発揮できなかった能力を発揮できるか、即興サッカーの中で輝けるだけの脳を持ち合わせているかはプレーさせてみないと中々分からない

仮にカルヴァーリョが上手くいかなかったとしてもケイタを超える攻撃的な選手は結構な数が存在していてファビオ・ビエイラもその1人である

ビエイラはコナテを見るために見たU21EUROで私が最も驚かされた選手である。この大会で彼は偽9番としてプレーし続け、守備ではアンカーへのパスコースを封鎖するように良い場所には陣取るものの殆ど走らないのである

しかし動画を見ていただければ分かる通りとにかく上手い。守備をしないのは恐らく監督の指示だったと思わせるだけの次元が違うプレーを見せていた。彼はフィルミーノのように基本はトップ下か偽9番でプレーすることが多いがサイドでプレーする事もできる。この特性はリヴァプールのアタッカーに求められる特性を満たしており、能力的には右足も使えるエジルみたいな選手だ

チアゴというアシストの前のアシストをする事にかけて世界一のタレントを抱えていながら、ラストパスを送る選手が致命的に不足しているリヴァプールに理想的なピースとも言える。ディアスがポルトからリヴァプールに来て周囲の選手のクオリティが上がった事から本来の実力を発揮したように、彼も一気に飛躍する可能性はある

代理人はファビーニョやジョタと同じジョルジュ・メンデスで彼は選手を適度なペースでステップアップさせたがる有能代理人である。ベンフィカ産だと最終的な販売先はシティだが、それに次ぐのはファビーニョとジョタを抱えるリヴァプールである。ポルト産の彼はリヴァプール移籍の可能性は十分にあるだろう

更なる候補にはウィルツも挙げられる。彼は前十字靭帯を断裂してしまったため、今季の補強候補にはならないが長期的にリヴァプールが追いかけている選手である。しかし彼らを獲得する時期はフィルミーノが今後どれだけフィジカルコンディションを取り戻して契約延長するかが決まる来季以降になると私は予想している

リヴァプールの弱点であるチアゴの控えとなれる選手は誰なのか?

そして攻守の両面でトップレベルが求められるIHに対し、攻撃面に特化したMFやFWの方が優れている選手が多いのと同様に、守備面に特化したMFの数は優れたIHの数よりも圧倒的に多い

試合での消耗が激しく最も過酷な守備的なMFにファビーニョ、チアゴ、ヘンダーソンに次ぐ4番手MFがミルナーやモートンで実質的に3人しか戦力を抱えていないリヴァプールは守備的MFもスカウトしなければならない。このポジションでの次世代のスター候補生であるチュアメニの補強が有力視されている

チュアメニはファビーニョと同様にIHとしては世界トップクラスと戦うには厳しいが、ドリブル技術とトラップ技術で求められる水準が大きく下がる守備的MFとしてみれば非常に優れている。短い距離だけでなく長距離のパスにも優れ、対人守備能力が高く、高さと強さも兼ね備えたファビーニョのような理想的な守備型MFである

しかしながらチュアメニは人気銘柄で競争も激しくモナコの販売価格も強気の設定になっている。クロップ就任以降のリヴァプールは若さに対して高い移籍金を払う事はなくなった。22歳で未だ世界のトップレベルとは力の差があるチュアメニに対して£50m以上を払う事はないと考えている。すなわちチュアメニはブラフに過ぎず本命ではないという予想である

誰が本命かと言えば、ファビオ・ヴィエイラと共に話題に上がるヴィチーニャでもない。彼らに共通する代理人ジョルジュ・メンデスが抱えるトップ選手が今夏羽ばたこうとしている選手である

そうアーセナルやマンチェスター・ユナイテッドというウルヴズとそこまで差がない不釣り合いなクラブしか移籍先の候補が出てこないルベン・ネヴェスである。ネヴェスがウルヴズを退団する事はウルヴズの番記者などの話ぶりから間違いがないのだが、彼に相応しい移籍先の話が一向に出てこないのは不自然だ。リヴァプールは5年前から彼を追いかけ続けており、遠い昔に移籍の話題が出て音沙汰がなく急に話が決まったジョタやファビーニョとネヴェスは条件が重なる

高いパス精度、ボールを奪える守備力、狭い守備範囲をカバーできる正しいポジショニングはまさにチアゴの下位互換であり、ロングシュートというケイタの強みを持ちつつFKも蹴れてウルヴズの過密日程でも殆ど離脱せずに戦える男である。チアゴの控えには最適な人材と言えるだろう

リヴァプールは更なる補強を行うのか?

答えはYesだ。まずはアーノルドの控え選手である。ネヴェスなど守備的MFを買う事でヘンダーソンをRBとして起用する事も増えるはずだが、ヘンダーソンも年齢を重ねてきており、カップ戦要員のRBが足りていない。その役割でターゲットとなっているのがカルヴァン・ラムジーである

見ての通り18歳の時のアーノルドにジョーンズの技術と判断力を混ぜ込んだような選手である。ジョーンズの技術を混ぜ込んでるのでメチャクチャ上手いのだが、同時に判断力は最低でサイドバックなのにピッチを横断して幅を放棄するなど色々ヤバくなっている選手である。しかしながらポテンシャルは疑いようがなく£5m前後と言われる移籍金であれば十分にギャンブルをする価値はあると思わせてくれる選手だ

またエンバペの残留に伴い、マネの去就も怪しくなるだろう。マネは元々サラーが加入するまで右WGをやっており、マドリーが求めている右WGという位置にピタリとハマる。昔から嘘か真実か不明だがスペインでのプレー願望が以前より報じられている。マネとサラーは決して不仲という事はないが、ライバル関係にある事は間違いない

仮にマネが移籍する場合には以前から予想している通りニャブリを獲得するだろう。ただしマドリーがニャブリの獲得に向かう可能性もあり、ここは何とも予想が難しい。FA杯での2ショットはお互いが年俸を譲歩してリヴァプールに残留する事をほぼ固めたが故のものだと信じたいものだ

まとめ

よって私が今夏に求める理想から予想したリヴァプール夏の補強は下の3人だ。
ファビオ・カルヴァーリョ 3トップ控えの控え&4枚目のアタッカーの控え(£7+2m濃厚)
カルヴァン・ラムジー アーノルドの控え候補(予算£5m程度)
ルベン・ネヴェス 守備的MFのレギュラー争い(予算£35-40m程度)

またマネが退団時にはニャブリやラフィーニャなどの両サイドが出来るWGを買うだろう。そのため南野の役割は両WGの控えの控えの4番手で出場機会を得る事は難しいだろう。恐らくはエリオットとゴードンが彼の役割を引き継ぐ事になり、カップ戦での上位進出はくじ運次第だろう

FW3枚と攻撃的なMFの4枠を現在のフロント5にカルヴァーリョを加えた6人がメインになると予想される。CLを制した場合にはCWCまで試合数が増えるので最大66試合となり、7人の戦力+エリオットで臨むことになるだろう。ケイタは売却となり、売却先が見つからなければジョーンズをローンに出してケイタは使い切って終了となる。したがって予想される来季の編成は下の通りになる

GK  1アリソン☆ケレハー2アドリアン
CB  3ファンダイク4マティプ5コナテ☆ゴメスBリース
FB  6ロボ☆アーノルド7ツィミカス8ラムジー
MF後 9ファビーニョ10チアゴ11ネヴェス○ヘンダーソン
MF前 12フィルミーノ○カルヴァーリョBジョーンズ
FW  13サラー14マネ15ディアス16ジョタBエリオット○ゴードン

退団
ディボック・オリギ 3トップの控えの控え(£0)
ロリス・カリウス GKの控えの控えの控え(£0)
南野拓実 3トップ控えの控え(£12m前後)
アレックス=オックスレード・チェンバレン MF/FW便利屋(£20m前後)
ネコ・ウィリアムズ RBの控え(£10m前後)
ナット・フィリップス CBの控えの控えの控え(£10m前後)
シェイ・オジョ (£?)
ベン・デイヴィス(£?)
セップ・ファンデンベルフ(ローン)
ナビ・ケイタ 3センターのレギュラー争い(£20m前後)
カーティス・ジョーンズ(ケイタ売却失敗時はローン)

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