ドラゴンズが8年ぶりの単独首位になった件について


暗黒期の出口が見え始めたドラゴンズ

OP戦4勝4分3敗のチームを見て今季は普通だと感じた筆者の期待通り、8年ぶりの首位に立ったドラゴンズが久しぶりに好調。優勝争いはまだまだ先の話で現戦力では見えてこないが、Aクラスを争って最下位は殆どない予想は当たりそうだ。4月時点の順位に価値がない事は語るまでもないが、着実にチーム力を改善して暗黒期も出口の光が見えてきた

昨季チーム最多安打の岡林、昨季チーム投球回3位の高橋、昨季チームの4番だった石川が全員2軍で首位は評価できる。原動力は以前に記載した先発の選手層が改善されたこと、元から強い中継ぎ、中田。あとは内野の守備力が改善された4点

素晴らしい守備を見せる内野陣

内野手は村松の起用数が少ない事に不満を募らせるファンも居るようだが、彼は去年に僅か20試合でバテた選手。彼が調子を崩すと二遊間の構想が根本から揺らいでしまうので週3~5試合の先発、途中交代の1番手という現在の役割に私は特別不満がない。彼が不動のレギュラーの座を掴み取るのは来季からだと想像している

田中が週5試合の起用で済んでいるのは山本のお陰。数字は上振れしてるがOPS.600-650を期待できる山本は溝脇よりも1ランク上の選手だと想定したが守備も含めれば2ランクは上の選手だった

ロドリゲスが1軍に居る事も私は不満がない。龍空と辻本を鍛える事を優先して遊撃のスペアで出場機会が殆どないロドリゲスを1軍に残すのは賛成。彼は龍空や辻本よりも取り組むべき基礎練習が多いように見え、2軍の実践機会は龍空と辻本を優先して問題がない。土のグラウンドの時だけ先発起用するので親子ゲームに出して試合勘を鈍らせなければ良い

二遊間がロドリゲスと田中で決まった報道後からロドリゲスは不当に叩かれ過ぎていると思う。筆者が中日スポーツの報道を読む限りレギュラーが田中とロドリゲスで決まったとは読めず、二遊間のレギュラーを固定できそうにないからローテ制を導入すると言ってるように聞こえた

▼二遊間は頭の中では固まっているか
そうですね
▼きょうのスタートの2人(遊撃・ロドリゲス、二塁・田中)が基本線か
2人とも守れる選手。村松の守備もよくなっている。きょう出した2人が全部出られるかというと、そうではない。スタメンで出られる選手をつくっていかないといけない。村松はショートもできる。村松は両方できるように  ▼3人の名前が挙がった
セカンドショートなら山本もいます。辻本もファームの試合に行っていますけど
▼オープン戦5割以上(残り3試合で8勝5敗4分け)が決まった
意識がちょっとは変わってきたのかなと。ここ(バンテリンドーム名古屋)でやるときは、ある程度点が取れない前提で、守り勝つ方法をとらないと。取れるアウトを取る。取れるアウトをしっかり取れる選手を優先的に使っていこうと思う

https://news.yahoo.co.jp/articles/009283d638b92f725931db388018bd1ebed08578

この文字だけを見てロドリゲスと田中がレギュラー確定というのは読解力に問題があると言わざるを得ない。もちろん、読解力に問題のある方が誤った情報を拡散した話を聞いているケースもある。その場合の問題は読解力ではなく情報ソースの選び方が誤っているだけの話

バンテリンドーム名古屋では守り勝つために二遊間は守備を重視した人選をするという事はハッキリしている。田中は井端のような野球脳を持ち、塁に出れば荒木のようにプレッシャーを相手に与える。打つ日だけ大当たりする荒木レベルの打力だが、守備で体感1試合1本ヒット防ぐ彼が守備を重視するチームのレギュラーなのは異論が全くない(可能なら8番に置ける強力打線を作りたいものだが)

土のグラウンドの広島戦や甲子園でロドリゲス起用、古巣の阪神戦で山本を起用した以外は多くの試合で村松が先発出場している。要は田中が週5試合の稼働で残りを状況に応じて分け合っているだけ。村松が守備の簡単なミスを減らせば田中と村松がレギュラーになる。今年は二遊間をローテ制で勝負すると判断しただけだと私は考える

龍空は別のインタビューで言及されたが、二遊間の候補でカリステと福永は1度も名前が挙がらなかった。彼らは三塁や一塁や状況次第では左翼で起用される便利屋の枠で争う事になりそうだ。立浪監督はセンターラインは守備重視、一・三塁、左翼・右翼は打撃重視の方針を就任時から繰り返している通りの編成を作ろうとしている。この点に私は満足だ

カリステの三塁起用も嬉しい。周平の守備は素晴らしいが、三塁には打てる選手を置かないと1試合3点取る事も難しい。打てる選手の数が増えれば村松のように打つ能力が高い選手の価値が上がる。打てる選手を固めて並べれば得点は増えるが、打てる選手が並ばないと得点は増えないので守備を重視の人選にした方が勝てるものだ

不満が残る外野陣

その点で細川を除く外野手は物足りない。上林の守備は良いが、打撃は右翼のスタメンには物足りない。三好も足の速さでカバーしているが、1歩目のスタートは守備が上手いとは言えない。岡林が離脱した影響と大島の起用を減らした影響とディカーソン離脱もあって外野陣の質には満足できない

戦力の上積みには岡林の復帰、濱やブライトの成長が必要になる。スイング改造をした昨秋から岡林の状態を筆者は心配していたが、良い時のスイングに戻そうとしているように見えたのは安心した。根っこの部分は掴んだので新しい技術を追いかけてダメなら戻せばよいの言葉通り、原点回帰の打撃に取り組みだしたように見える

今は三好や上林が精一杯のプレーで穴を埋めてくれる事に期待し、新戦力の台頭に期待したい。また福永が外野の守備練習を始めたのも良いニュース。彼には一塁と三塁と左翼でOPS.700-750打つ阿部の後継者を目指してほしい

尾田が足だけで加藤翔平より優先されているのはチーム戦術の幅を狭めてるように思えるが、負傷した岡林のメンタル補助で加藤が2軍に帯同している可能性など外部には分からない気配りをしているのかもしれない

期待通りのバッテリー

昨季は先発の5番手と6番手に課題を抱えていたが、今季のドラゴンズは7人の投手が先発して好投を続けている。現在の柱は柳、メヒア、小笠原の3人で涌井、大野、梅津、松葉の4人が中6日以上の交代制でローテを回して期待通りの活躍。昨季WBCで優勝に貢献し、チーム3位のイニングを投げた高橋宏斗が2軍でもローテが回るのは大きな成長。2軍は松木平が2軍ローテの柱にまで成長しているのも好材料

仲地は勝野と同じく出力で抑える以外の投球術を持たないため、3巡目には力尽きるか力を抑えて投げて序盤に炎上する。中継ぎなら今でも戦力になると思われるが、先発で育てたい投手。根尾は緩いカーブがカウントを取る球で軸になれば一気に飛躍しうる。今季のチーム成績に彼らが影響する可能性は低いが、大野と涌井の年齢を考えると数年以内に戦力化させたい所である

中継ぎでは祖父江と橋本と土生の登板機会が少なく、勝ちパターンの酷使が続いている。立浪監督は月に1度か2度ほど理解不能な采配をし、リリーフの運用でイニング途中の交代を多用する点に課題を感じる、と昨季から筆者は評しているが、今季の中継ぎ起用も昨季と変わらず

イニング途中で勝ちパターンの中継ぎを見切って何人も投手を投入する点は不満だが、連投時には完全休養日を入れるなど良い運用も多くある。藤嶋と岩嵜の復帰で次第に解消され、立浪監督の中継ぎ運用も強い中継ぎをフルに活用する名采配、となる可能性もある。評価は長い目で見たい

木下がスランプで苦しんでいるが、彼の春先スランプは珍しい事ではない。今季は加藤と宇佐見が彼を補佐する活躍を見せており、2軍の石橋も含めて総力戦で捕手陣を運用していきたい。小田コーチなら出来るでしょう

期待通り2024年に戦えるチームを作った立浪監督

立浪監督の采配は平均~やや劣るものの、選手の才能を見抜く点に優れる。GMやスカウトの方が輝く人材だが人望があってコーチ陣を集められる点は魅力で再建期に最適な監督だと筆者は考える。時期尚早ながら今季の采配を見ると1~2年の契約延長が最適と考える。野球で采配が勝負を決める試合は珍しく、143試合で高い勝率をあげるための戦力作りが野球監督で最も重視されるべきと考えるため、今の選手達を同じコーチ陣で育てたい

いずれにせよ今季の目標は優勝以上に軸となるレギュラーを作る事にある。軸が定まれば自然と優勝争いに絡むチームになるだろう。来年か再来年には優勝するチームに育つと思っているので気長に応援します。もちろん今季に前倒しになっても大歓迎である

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