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7、分球

分球は球根の数を増やせる楽しさがあります。
一つの球根からざっくり5〜10個の球根になるので、「お庭や畑がより賑やかになりそう。」など、楽しい妄想が膨らみますね。
ただし、ダリアはジャガイモとは違いどこからでも芽が出る訳ではありません。
発芽点がない球根からは、どんなに願っても芽は出てこないのです。
栽培相談をしていて「分球して植えたけど芽が出てこない」方の話を詳しく聞くと、「発芽点て何?」というお客様が多いです。

また、ダリア園で学んだ私も一つの球根に一つの発芽点をつけて切った写真を載せることが多いですが、そんな決まりはありません。
一つの発芽点に複数の球根がついていても全然構わないので、慣れないうちは2頭分や4頭分でもいいので、確実性を確保しながら分球することに慣れてみてください。

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1、球根の首を折らないように、発芽点を探してみよう

実物を数多く見るのが目を養うことに繋がります。
ダリア園で勤務していると、年に一度必ず数十箱、3桁の株の分球と向かい合います。
加えて2年目からは自分でも勉強を兼ねたダリア栽培を始めたので、ダリア園で分球して帰ってから家で自分の分球をし、かなり経験を積みました。
何度も見ていると、「この辺に芽が出そうだな〜」という傾向がなんとなく分かってくるので、まずは上から、横から、下から、発芽点を探してみて下さい。
ただし掘り上げのところでも触れたように、球根の重みで首が折れやすいので、じゅうぶん注意して探して下さいね。
参考に写真を何枚か載せます。(赤い矢印の先が発芽点、青は切る場所ですが今回は触れません)

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いかがでしょうか?
冬に掘り上げると芽もすぐに引っ込み、結構探すのが大変ですが、春のお彼岸ごろに掘り上げると芽が幾らか出ていたりするので、分球の難易度はグッと下がります。
4月に入り畑に残した球根を掘り上げてみましたが(残さない球根)、芽が出ていました。
洗っていないので細かくはチェックしてませんが、掘り上げ直後の芽は白っぽいので分かり易いです。

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2、分球するための道具は

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ダリア園ではハサミにナイフ、割り箸(水洗いで落とせなかった土を払う用途)と、器具を消毒する消毒液(第三リン酸ナトリウム)を用意します。
場所によってはナイフのみというところもあるみたいですが、私はナイフの扱いがどうにも馴染まなくて、一番左の剪定ハサミをメインで使用しています。
細胞を出来るだけ潰さないようにするには切れ味鋭いナイフが良いと思うのですが、厚みのあるところは体重を乗せる必要があったりして、勢い余って残したい部分に刃を入れたこともありました。
自分に合った安全性の高い道具を選んでください。
必須ではないですが、明るいライトがあると見易くなるのでご自宅にある方は使ってみて下さい。

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3、分球した後は綺麗にして名前を書く

切り分けた後はひげ根と尻尾根を綺麗にします。
ビフォー⬇️

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アフター⬇️

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余談ですが、
「長い球根の場合はお尻の部分を切って短くしても大丈夫」と書いてある記事があります。
お尻からの発根量は多く、ダリア園での経験上、生育不良になりがちなのはお尻を短く切った球根でした。
ですので、なるべくお尻を切らずに植えられる環境を用意していただくのが望ましいです。
(上の写真の一番左が親球根ですが、お尻の部分の根量が良く分かります)

根の処理も終わり球根が綺麗になったら、最後にマジックで名前を書きます。
この工程は必要がない方は飛ばして構いません。
私の場合は複数の球根を同じ場所に保管するので、名前を書かないと見分けがつきません。
油性マジックで球根に直接書いても品質に影響はないので、分かりやすいように書きましょう。
なお事前に球根が綺麗に洗えていないと、マジックの先端がボロボロになり名前もうまく書けないので周囲が必要です。

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4、そもそも掘り上げて分球はした方がいいの?

栽培相談をしていても、「ダリアが土着して掘り上げなくても毎年咲きます!」という方が毎年いらっしゃいます。
ですが、3年〜5年でダリアの芽が出なくなったという方の方が多いです。
原因を考えるに、植えっぱなしにすることで古い球根が腐敗し、その腐敗が株全体に回るのではないかと私は考えます。(仮説です。)
少なくとも2年に一度は掘り上げて、植え直してあげた方が良いでしょう。
また鉢植えやプランターの場合は、中に根が回り土が減っていきます。
次年度も咲いてくれるように、ひとまわり大きい鉢か、分球して植え直してあげた方が良いです。
写真は6号鉢のまま越冬した株です。
根がすごい回ってます。

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そしてその根を上手く解いたのが左側です。
こんなになっていると、植え直した方がいいのが分かりますね。

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