センスに溢れている映画予告はこれだ
私は映画の予告を見るのが大好きで、みた映画の数よりも予告の数の方が多いと思う。、、、と書いてみて、それは当たり前できっと大半の人がそうだから書くことのほどでもないなと気付いたわけだが、でも予告を見るのが好きなのには変わりがないので、まぁいいかと思って最初の一文を残しておくことにする。
予告が良ければ映画がいいというわけでは決してないし、予告が内容を要約しすぎていて、映画があんまり光らなかった予告もたくさんある。予告を作るのって難しいんだろうなぁとは思うものの、映画を見たくさせる予告になっていて、その予告にしっかり釣られて私は映画をいくつも見ているのだから、広告としての役割がよく出来ていれば、予告の役割は果たせているのかもしれない。
泣ける予告とか、映画をみたいと思わせる予告とか、色々あると思うが、センスが良くて何度も何度も繰り返し見た予告というものが存在する。その映画の内容はもう見て知っているのに、そして別にその映画を何度も見た、(または見たい)わけではないのに、予告に戻ってきては何十回と見てしまう魅力に溢れているものもある。以下がその6選だ。
フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法
"I failed as a mother moonee" "yea mom, you are disgraced!"
「育て方間違えたわ」「ママ、恥ずかし〜!」
disgraced の単語を子どもの口から聞くとは思っていなくてびっくりしたのを覚えている。子どもが少し難しい単語を知っているのは、早く大人にならないといけなかったからか。決して楽しい話ではないし、アメリカの闇みたいなところも垣間見えるけど、色使いがポップなのと話が比較的軽快に進んでいくので、基本的には精神的にしんどくなく見れる映画。子どもって大人をよく見ているんだと思う。
君の名前で僕をよんで
これは映画が良すぎたので、何度も戻ってきてしまう予告。予告自体もいいのだけれど。特に「好きだ」とか「愛してる」とかの言葉の交換は目立ってあるわけではないのに、ティモシー・シャラメが確実にアーミー・ハマーに憧れを抱いていること、でも不安を抱えていること、それでも惹かれていることが切実に伝わってくる。
"I shouldn't have said anything" "Pretend you never did"
「何も言わなければ良かった」「言ってない」
このセリフの日本語訳がまたいいのだ。直訳すれば「何も言ってないように振る舞えばいい」みたいなところだ妥当だけど、ここを「言ってない」にするあたりが、映画への理解を感じて、胸が熱くなる。
ナチュラル・ウーマン
普通に見たら不思議なシーンなのだけど、風に抗って主人公が前に進もうと前のめりになっているシーンでいつもうるっときてしまう。1シーンでこの映画のほぼ全てを表しているようで、とってもいい。その次のシーンが鏡に向かって歩いていくのも効果的なのかもしれない。あとは、音楽もいいからか。本当に歌声も綺麗で、このクラシックの曲を聞いたらすぐにこの予告が頭に浮かぶようになった。
たいていの場合、予告の途中で日本語で入るナレーションは苦手なのだが、これに関してはいい仕事をしていると思う。
世界一キライなあなたに
"When I was little, my favorite outfit was my bumble bee tights!"
「私が子どもの頃、好きだったのがミツバチのタイツ!」
エミリア・クラークのこのセリフが可愛すぎる。あと、その後にタイツをプレゼントしてもらって、喜んでいるシーンがいい、、。ミツバチなのが特にかわいい。ハチのタイツでも、スズメバチのタイツでもなく、ミツバチなのがいい。西洋ではハチを嫌う人は結構いるけど、ミツバチは好きだという人多いからミツバチがチョイスされたのだと思うが、bumble beeという音まで可愛いのだから、映画自体はまぁまぁだったけど、予告だけ見にかえってきてしまう。
マリッジストーリー
この予告のどこがいいかって、あの、車庫のドアを家族全員で閉めて、アダム・ドライバーとスカーレット・ヨハンソンの視線が交わるシーンが入っていることだろう。あの切なさとドアを閉めるという動作、2人の間にあった空間がドアによって隔てられていくという象徴は結婚と2人の関係の終わりを物語っている。映画自体もすごく良かったし、2人の演技の迫力に魅せられた映画だった。
レディ・バード
"I want you to be the very best version of yourself that you can be."
「ママは信じてる。いつか"最高のあなた"になれると」
この言葉がどれだけの力を持っているか、、。
もはやこの言葉を聞くためだけにこの予告を何度も見返しているといっても過言ではない。これだけの信頼と、全肯定と、愛情を注いでくれる対象がいる、ということは、それが誰であれ、素晴らしい関係を持つことができているのだと思う。シアーシャ・ローナンの可愛さが溢れているのもあって、何度見ても飽きない予告。
映画を見るのもいいけど、映画の予告を見るのだっていい。
あんまり古い映画だと予告が無いこともあるし、私の好みの問題もあってか、古いつぎはぎの予告だとセンスの良さを感じられないので、映画が良ければ予告がいいというわけでもないのも面白いところ。
また、スマホが普及し始めてから予告がある映画が増え始めているような気がする。予告のクオリティも確実に上がった。それはやはり集客をしないといけないからか、予告も映画集客のための競争道具になるからか。
ミステリーやクライム系の予告を何度も楽しめないのは、個人的にはこれらのジャンルはストーリーの結末を知ることに醍醐味があるからで、その過程は予告だけだと楽しめないからだろうと思う。
予告を作るのも奥が深いものだ。
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