星組「ディミトリ〜曙光に散る、紫の花〜」「JAGUAR BEAT」観劇日記
今回はなかなかチケットに恵まれず、もうダメかなと諦めかけていたら思いがけないご縁をいただいて、なんとか観劇することができました。ホント、諦めないで良かった。今年最後の観劇になりましたが、凄いもの見た気がしますよ。では、行ってみよー。
※ネタバレを含みますのでご注意ください。
ディミトリ〜曙光に散る、紫の花〜
いやー、泣きました。勇気づけられました。
まずもって思ったのが、きっと原作がメチャクチャ面白いんだろうなと(今回は原作読まずに臨みました)。それと、生田先生の脚本の力だと思うのですが、歴史モノにありがちな詰め込み感が今回は全く無く、とても良い作品だったなと思います。
ディミトリ
王子として生まれながら友好の証として異国に送られた人質ということで、「つまり徳川家康か」と思いながら見てましたが、これがとんでもなかった。家康どころか人魚姫レベルのメチャクチャ耐え忍ぶ役でしたね。
最後はとても辛い終わり方でしたが、本人は満足していたようにも見えました。
ルスダン
きっと、平和な世なら名君になっていたと思うんですが、生まれた時代が悪かった中で懸命に国を支えようとしたルスダン女王。
なぜか幕開きで「そして誰もいなくなった」みたいな感じになってたけど、ジョージアは今も国家として存続してますよ、と教えてあげたい。
ひっとんは、アンジェリークの時よりも明らかに歌も芝居も上手くなってますね。ダンスは元からうまかったんですが、さらに動きがしなやかで上品さが増したような気がします。
ジャラルッディーン
モンゴルのチンギスハンの侵略によって国を追われた、ホラズムの帝王。つまりあれですね、オレキザキ被害者の会(会員No.2)の方ですね。(ちなみに会員No.1はギオルギ王)(カンブリア記の世界史の知識はこの程度)
さすが瀬央さん、貫禄たっぷりの帝王だったのはもちろん、千秋楽のライブ配信をみて分かったんですが、表情の演技がものすごく細かくて迫るものがありました。
この作品のすごいところは、アヴァクも含めて本当に悪い人が一人も出てこないんですね。それぞれが自分の背負っているもののために戦って、行き着いたのがあの結末というのが、見ていてものすごく心を揺さぶられるところだったなと思います。
「もうさあ、ディミトリとルスダンとジャラルッディーンの3人で仲良く暮らしたら良かったんちゃう・・?」
とか思ってしまいました‥。
(でもそしたら、ルスダンとジャラルッディーンがディミトリを取り合って喧嘩とかしそうだな・・ムリか・・・)
電飾メガ・総動員・ファンタジーJAGUAR BEAT
前評判ではとにかく凄いらしい、ということは聞いてましたが、何がどう凄いのかは一切情報が入ってこなかったこの作品、いや確かに凄かった。
わたくし、かなり序盤で色々考えることを止めて、受け止めることに専念してました。もうこれ、余計なこと考えてたら受け止めきれないと思いましたからね。
この作品、総括するのが難しいのですが、例えるならすごく効く温泉みたいなもので、あがった直後はちょっと湯あたりするかも知れないけど一晩寝たらすごく元気になるみたいな、かなり不思議な作品だったなと思います。
こっちゃんのJAGUARは、ホント何着ても似合うし何歌っても上手いですよね。なんか主題歌はやたら難しそうだし衣装はやたら重そうでしたが余裕で歌ってました。この人はもう「上手さの向こう側」に行ってる気がします。
ひっとんは、天使かと思って見てたけど後でプログラムきちんと見てみたら鳥だったんですね。
「宝塚に出てくる天使って翼もがれがちよな」とか思ってすみませんでした。
とにかく衣装がかわいくて、見てるだけで目が幸せなんですが、終盤のゴールドのドレスが一番似合ってたような気がします。
あとは、瀬央さんが「この世界はMagic I'ts Magic」と歌ってるのを聞いて「あなたの頭の中がMagicなんよ齋藤先生」とか、「ありちゃんにムチをもたせるのは反則」とか、いろんなことを思いながらみてましたが、作品全体の感想を無理やり一言で言うとしたら
「とにかく意味は分からんけど嫌いじゃない」
ということでした。
で、この感想、何かはるか昔にも感じたことがあるな???と思い出してみたら「バロック千一夜」を見たときと同じだったんですね。
作品の雰囲気は全然違うんですが、バロック〜も観る側の思考回路を完全にショートさせておきながら、謎の満足感を与えてくれるというよく分からない作品。
宝塚のショー作品で名作、傑作はたくさんありますが、こういう謎作品を創り出す人はなかなかいないんだろうな、と思ってましたが、まさか2022年の終わりにまた巡り会えるとは思いませんでした。
とにかくこの作品に限っては、意味や意図を理解しようということを一切考えずに観ることをオススメします。ワタシ的には非常に好きな作品でした。
※あと、光と音には気をつけてね。
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