近藤麻智子さん(仮名)の相談

こんにちは、はい、ここまでは、はい、歩いて。すぐそこなので。よくここ通ります、はい、今日は天気が良くて良かったです。ほんと。
私の悩み事は、、、悩み事ということにして人に話し、そうすることで私が困っている人になることで、加害者としての私から逃げ切れてしまっているということです。私は鬼みたいですよね。あはははは。
こうやって話すうちから逃げている。向かい合わなくてはいけないことが本当はいっぱいあるんだと思います。でももうわからない。逃げ切れたんです、それは成功したのに。
お腹の中がいつも笑っているんです。でも泣いてもいるんですよ。
人と話をしてもね。私一人で話しているみたい。
誰とも繋がれなくてね、寂しくて寂しくて。
私が人にこうやって話すとね、しょうがない人ですねって。そうやってそのまま生き延びなさいって。軽蔑して呆れられる。相談するたびにこんな話し方しちゃうからそんな言われ方しちゃうんです。そう言われるために私も言っているんです。人を試しているんです。
蜘蛛の糸の話に出てくる悪人の住む地獄みたい。


近藤さん。こんにちはなのね。蜘蛛の糸に出てくる地獄、なるほどなのね。
近藤さん、近藤さんは、何のためにその場所にいるのね❓誰のためにそこにいるのね❓そこはひょっとしてある意味では居心地が良いのかもなのね。
嘆かずに、騒がずに、しばらくそこにいてみるのね。そうすると、壁の色がゆっくりと見えてくるのね。それにびっくりしてもまだ騒いじゃだめなのね。こういう場所にいるんだとゆっくり観察して、ゆっくり地獄を味わうのね。一つ一つをできる限り具体的に細かく、触ったものとか、聞こえてくるものとか、匂いとか、調査日誌に書くのもオススメなのね。こういうことは細部がとてもとても大事なのね。ざっくり捉えちゃダメなのね。それでもし地獄に飽きたら、ゆっくりゆっくり出てきたらいいのね。
そしてその時、地獄の床はとっても薄いから気をつけること。なのね。だからそうっと出るのね。
たくさんの人があなたを批判するのね。でもそんなことは気にしなくてもいいのね。今の近藤さんには、批判はそこにいるべき理由に変換されているのね。
批判はね、その人が自分の地獄に入らまいとするための看板を立てているだけだから、本当は近藤さんに向けた言葉ではないのね。
近藤さん。大丈夫なのね。

そうだなのね、地獄に落ちたら、ここを登らなきゃいけないのかって思って諦める人もいるかもしれないのだけどね、地獄には実は横穴もあるし、石を外したら水が溢れて浮力で出てこられることもあるのね。方法はたくさんで、近藤さんが気づいた小さいことが大事な一つの方法なのね。

それに、地獄にいてもできることは本当はあるのね。
地獄だって近藤さんのための場所を作ってくれているのだからなのね。
大丈夫なのね。

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