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外務大臣会見記録 2023年12月22日(金)

14時18分 於:本省会見室

冒頭発言

就任100日目の所感

【上川外務大臣】
私から2件ございます。

まず、一点目であります。

ちょうど外務大臣就任から100日目を迎えましたところ、この場をお借りして所感を申し述べます。
私が9月13日に外務大臣を拝命した際、岸田総理から、日本がこれまで様々な国との間で築いてきた信頼関係を礎に、日本外交にしっかりと取り組んで欲しい、との言葉をいただきました。

私自身、先人たちが築いてこられた日本外交の成果を引き継ぎ、重要課題に全力で取り組む決意で臨んできたところであります。
この100日間でありますが、引き続き厳しい状況が続くウクライナ情勢、そして、悪化をする中東情勢を始めとする喫緊の課題に対処すべく、計9回、国内外を飛び回り、また、電話も含めまして、計3回、議長としてG7外相会合を開催してまいりました。

そうした中で、国内外の多くのカウンターパート、そしてパートナーと出会い、個人的な関係を構築してまいりました。
駐日大使の皆様を含めた様々なステークホルダーとの繋がりを強化し、そこで生まれた議論を、外交活動と連動をさせていく、いわゆる「アウトリーチ型の外交」も、この取組の一つであります。
外交の要諦は人間関係と実感しております。

来年は、多くの国で重要な選挙が控えており、ウクライナ、中東を始め国際情勢は重要な局面を迎えます。
私は外務大臣として、国際社会から日本外交に寄せられる高い信頼や期待に応え、日本外交の新たな可能性を切り開くべく、挑戦を続けて参ります。

100日を契機といたしまして、今後新たな試みにも取り組んでいきたいと思っております。
例えば、SNS等での発信を含めた発信の強化や、またネットワークの構築を目的とする地方連携の促進、また、省内で設置を検討しておりますWPS(Women Peace & Security)タスクフォースを活用したWPSの推進を考えております。

100日という一つの節目を迎えまして、もう「就任したばかり」は通用しません。
改めて気を引き締め、日本の国益はしっかり守る、日本の存在感を高めていく、そして、国民の皆様からの声に耳を傾け、国民に理解され、そして、支持される外交を展開する、という初心当時からの姿勢で取り組んでまいります。


駐日北欧各国大使等との昼食会

【上川外務大臣】
続きまして2点目であります。

先ほど申し上げましたアウトリーチ型外交として、先ほど、在京北欧5カ国大使等と同昼食会に参加をいたしました。

北欧諸国は、基本的価値と原則を共有する重要なパートナーであります。
特に、北欧諸国は、私のライフワークであります北極に関する協力のパートナーであり、また、ジェンダー平等先進国でもあります。
本日の昼食会では、これらを含めまして、幅広い分野で、日・北欧諸国間の協力を発展させていくことを確認することができました。

本日の意見交換を通じまして、日・北欧間には、更なる協力のポテンシャルが大きいということを再確認することができました。
今後、様々な取組に繋げてまいります。

私からは以上です。


北海道での日米豪共同指揮所演習

【共同通信 桂田記者】
ロシア
との関係でお伺いします。
ロシア外務省は、21日、陸上自衛隊が、米国、オーストラリア両軍とロシアに近い北海道で実施した演習について、域外の国々が参加した挑発的行動は、ロシアの安全保障への潜在的脅威だとして、在ロシア日本大使館に抗議したと発表しました。
これを受けての日本側として、どのように対応されたのか教えてください。

【上川外務大臣】
御指摘のロシア外務省のプレスリリースについては承知しているところであります。

本件の演習の実施に関しましては、12月18日、ロシア外務省から、在ロシア大使館に対して抗議があったことを受けまして、在ロシア大使館から、ロシア側の抗議は、受け入れられない旨反論をいたしました。


日本製鉄によるUSスチール買収

【NHK 五十嵐記者】
日本製鉄の関連で伺います。
日本製鉄が、米国の大手鉄鋼メーカー・USスチールを買収することで合意したことについて、米国ホワイトハウスは、21日、バイデン大統領は、「外国企業による買収は、それが親密な同盟国であっても、安全保障とサプライチェーンへの潜在的な影響という観点から、真剣な精査に値すると考えている」とする声明を出しました。
これについて、外務省としての受け止めや、今後の対応を伺います。

【上川外務大臣】
ただいま御指摘の米国国家経済会議委員長による声明についてでありますが、承知しているところでありますが、個別の企業の経営に関する事案であるため、コメントにつきましては差し控えさせていただきたいと思います。

いずれにせよ、日米同盟は、かつてなく強固になっておりまして、日米は、インド太平洋地域の持続的・包摂的な経済成長の実現、また、ルールに基づく自由で開かれた経済秩序の維持・強化、経済安全保障分野における協力等におきまして、引き続き、連携してまいりたいと考えております。


国連安全保障理事会の改革

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)
パン・オリエント・ニュースのカルドン・アズハリです。
ガザの状況についてお尋ねします。
日本は、数か月前、国際平和を損ない、ウクライナへの侵略を許したロシアの拒否権を理由に、安全保障理事会(国連安保理)の改革を求めています。
イスラエルの占領軍によって、5千人の子どもや乳幼児を含む2万人以上の人々が暴行を受けているガザでの停戦に対するアメリカの拒否権についても、同じ論理を適用していただけないでしょうか。
ありがとうございました。

【上川外務大臣】
私は、本年9月の大臣就任以降でありますが、安保理改革の重要性、これを様々な機会に一貫して強調してまいりました。
国連創設時から、世界は大きく変化しておりまして、現在の世界を反映した安保理が必要ではないかと考えております。

ご指摘のございましたウクライナや、また、中東における状況等により象徴される、昨今の様々な国際情勢は、拒否権の問題を含めまして、国連が抱える問題を改めて浮き彫りにしたと考えております。
こうした中におきまして、安保理改革の重要性、これが一層増していると考えております。

各国の利害も大変複雑に絡み合う安保理改革につきましては、決して簡単ではないと思っておりますが、日本は、多くの国々と連携をしつつ、粘り強く取り組んでまいりたいと考えております。

なお、ご指摘がありました現地時間12月8日に採決に付されましたUAE提案の安保理決議案には、我が国も賛成をしているところであります。
結果として、安保理決議採択には至らなかったことは残念であると思っております。
他方で、人質の即時解放、そして、人道状況の改善、また、事態の早期沈静化に向けた米国の精力的な外交努力は高く評価しております。

また、新たな安保理決議案の採択に向けまして、理事国間で一致点を見いだし、現地の人道状況を改善するための精力的な調整、また、交渉を行っているところであります。
我が国は、理事国の一員ということであります。
そして、安保理がその責務を果たし、適切な意思表示を行うことができるよう、引き続き、理事国とも緊密に連携をし、積極的に取り組んでまいります。

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