見出し画像

外務大臣会見記録 2023年11月15日(水)

17時33分 於:サンフランシスコ

冒頭発言

 冒頭、私から、昨日からの日程について、簡潔にご紹介させていただきます。

 まず、本日、APEC閣僚会議の第2セッションに参加をいたしました。
本セッションでは、「広範な経済的繁栄を前進させる、強靱で相互に連結した地域の構築」という課題について、議論を行いました。

 私からは、APECが貿易の自由化・円滑化を通じた経済的繁栄を図る上で、WTO体制の維持・強化が不可欠であり、第13回WTO閣僚会議で意義のある成果を得ることの重要性を強調いたしました。
また、女性や若者、中小零細企業を巻き込みAPEC地域全体の成長を促すことは重要な貿易・投資課題であることを指摘をし、APECの取組を進める重要性を指摘いたしました。

 2日間の議論を通じまして、APECの閣僚との間で、アジア太平洋をより強靱で相互に連結した地域にしていく決意を確認できました。

 韓国との会談では、最近の外相レベルでの緊密な意思疎通を歓迎した上で、16日の日韓首脳会談に向けて、二国間関係や国際情勢について幅広く議論をいたしました。
そして、日韓関係を更に進展させ、協力の幅を広げるため、引き続き緊密に連携していくことを確認をいたしました。

 フィリピンとの会談では、安全保障分野における二国間協力や、日米比協力の具体化を着実に進めていくことで一致をいたしました。
また、東シナ海・南シナ海情勢、核軍縮・不拡散、WPS等の諸課題や本年12月の日ASEAN特別首脳会議の成功に向けて、引き続き緊密に連携していくことを確認いたしました。

 ペルーとの会談では、両国間協力のロードマップ作成について協議することを確認した他、来年のペルーAPEC議長年の成功に向け、連携することで一致をいたしました。
また、私から、先般の佳子内親王殿下のペルー御訪問時の受入れに対する謝意を伝えました。

 本15日、国連安保理において、ガザ地区の人道状況に関する決議が採択されました。
我が国がこれまで累次に亘り働きかけを行ってきた、人道的休止、人道回廊の設置や人質の即時・無条件の解放の要請、全ての当事者による国際法の遵守といった内容が含まれています。
我が国は、安保理が適切な形で意思表示を行うために安保理の一員として他の理事国等と緊密に調整を行うなど、様々な外交努力を行ってきたところであります。
本決議が採択に至ったことを歓迎するとともに、全ての当事者が本決議に基づき誠実に行動することを求めます。

 私からは以上です。

質疑応答

(記者)
米中首脳会談についてお伺いします。
米中首脳が今日会談しまして、軍高官の対話再開などで合意しました。上川大臣の受け止め、評価をお聞かせ下さい。
あと、日中首脳会談の調整状況とですね、首脳会談を開く意義、狙いを改めてお願いいたします。

(大臣)
まず、現地時間で11月15日の午前、当地サンフランシスコにおきまして、バイデン大統領と習近平国家主席との間で、米中首脳会談が実施されたと承知をしております。
第三国間のやり取りでありまして、政府としてコメントすることは差し控えたいと思いますが、その動向につきましては、我が国としても注意深くフォローしているところでございます。

 その上で米中関係について申し上げれば、米中両国の関係の安定は、国際社会にとっても極めて重要であると考えております。
日本としては、引き続き同盟国たる米国との強固な信頼関係の下、様々な協力を進めつつ、中国に対して大国としての責任を果たしていくよう働きかけていきたいというふうに考えております。

 日中首脳会談につきましてのご質問がございましたけれども、今の段階においては、私から申し上げることは出来ません。


(記者)

イスラエル・パレスチナ情勢についてお伺いします。
先ほど大臣冒頭でもおっしゃられたとおり、今日の現地時間の午後ですね、国連安保理がガザ情勢を巡る緊急会合で決議案を採択しました。
これまで4つの決議案がまとまらなかった中で、今回この決議案が採択されたことと、今回はとりわけ子供への被害というものに焦点を当てられたということですが、その内容になったことについての評価をお伺いします。

 また、昨日のぶらさがりでもお聞きした内容を改めてになるんですけども、イスラエル軍はガザ北部の最大級の病院に突入して、ハマスに対する作戦を実行中とのことですが、このことについて大臣昨日ですね、「全ての当事者が国際人道法を含む国際法を遵守しなければならない。」としたうえで、『例えば、「人間の盾」といった、あえて無辜の民間人を無用に巻き込むような行為は国際人道法の基本的な原則に反するものであり、正当化できない。』と仰いました。
これはおそらくハマスのことを指しているのだと思うのですが、イスラエル軍による病院の攻撃においてもハマスの行為を非難しているという趣旨でお間違いないか、ご見解をお願いいたします。

(大臣)
まず一点目のご質問でありますが、既に冒頭申し上げたとおりでありますが、本決議には、我が国がこれまで累次働きかけを行ってきました、人道的休止、そして人道回廊の設置や人質の即時・無条件の解放の要請、また、全ての当事者による国際法の遵守といった内容が含まれております。
我が国は、安保理が適切な形で意思表示を行うために安保理の一員として他の理事国等と緊密に調整を行うなど、様々な外交努力を行ってきたところであります。
本決議が採択に至ったことを歓迎するとともに、全ての当事者が本決議を着実に実施することを期待しております。

 刻一刻と現地情勢は動いておりまして、今回の決議採択も踏まえながら、人道的休止や、また人道状況の改善・支援の実現、事態の早期沈静化に向け、安保理が引き続き然るべき責任を果たす必要性があると考えております。
我が国といたしましても、国際社会とも連携をし、こうした課題に積極的に取り組み続けて参りたいと考えております。

 二点目のご質問でありますが、ガザ地区及び周辺におきましては既に多数の死傷者が発生しており、このような人道状況の悪化を深刻に懸念をしております。
また、多数の人質は即時に解放されなければならないこと、これも非常に深刻な問題であります。

 昨日も述べたとおりでありますけれども、全ての当事者が、国際人道法を含む国際法を遵守しなければなりません。
また、実際の軍事行動において民間人の被害を防ぐべく、人道目的の戦闘休止を含め実施可能なあらゆる措置を講じる必要があると考えております。
病院における民間人の被害を防ぐ必要があることは当然であります。
これまでも、私自身、イスラエルに対しまして、一般市民の保護の重要性、国際人道法を含む国際法に従った対応等を要請してきているところであります。

 引き続き、全ての当事者に、国際人道法を含む国際法の遵守これを求めつつ、関係国・国際機関との間でしっかりと意思疎通を行い、人道状況の改善と事態の沈静化等に向けた外交努力を粘り強く積極的に続けて参りたいと考えております。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?