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外務大臣会見記録 2023年11月26日(日)

17時37分 於:釜山

冒頭発言

【上川外務大臣】
本日、ここ風光明媚な釜山・ヘウンデ(海雲台)におきまして、第10回日中韓外相会議が成功裡に開催されたことを大変嬉しく思います。

日中韓外相会議に先立ちまして、午前中には、朴振(パク・チン)外交部長官との間で、3回目となる日韓外相会談を行いました。
私からは、APECリーダーズウィークを含め、首脳間・外相間での頻繁な意思疎通を歓迎をした上で、このように会談を積み重ねることは、お互いの立場や考えの共通点や違いをより深く理解をし、連携や協力の幅を広げる上で重要である旨指摘をいたしました。

同時に、私から、元慰安婦などが提起した訴訟において、ソウル高等裁判所が出した判決につきまして改めて遺憾の意を表明し、韓国政府が適切な措置を講じるよう求めました。

そして、4年ぶりの開催となった日中韓外相会議では、私から、歴史の転換点に立つ今、日中韓で未来志向かつ実務的な協力を進めていくことが、大局的な視点から、地域そして世界の平和と繁栄にとって重要であることを改めて強調いたしまして、そうした認識で一致が得られたところでございます。

その上で、これも4年以上ぶりの日中韓サミットに向けまして、人的交流、科学技術、持続可能な開発、公衆衛生、経済協力・貿易、平和・安全保障の6分野をはじめとする様々な分野におきまして、新しい時代のニーズを踏まえつつ、3か国間の協力を進展させることで一致をいたしました。

特に、私からは、若者をはじめとする人的交流の重要性を強調し、この点について3か国で一致しました。
また、私からは防災等における女性・平和・安全保障(WPS)分野の協力の可能性についても提案をし、賛同が得られました。

また、去る21日に衛星発射を目的とする弾道ミサイル技術を使用した発射を行った北朝鮮を始め、イスラエル・パレスチナ情勢ロシアによるウクライナ侵略等、現下の国際情勢についても議論しました。
私からは、拉致問題の即時解決に向けた理解と協力を改めて求めました。

中東情勢については、ガザにおける人道状況の改善が重要であり、外交努力を重ねていく必要があるとの点では一致があったと考えます。

この関連で、日本時間25日、前日に続き、更なる人質の解放が実施されたと承知しており、合意の継続的な実施を歓迎します。
引き続き、合意が着実に実施されるとともに、更に長期にわたって戦闘休止が継続することを期待します。

そして、これらの議論を踏まえ、なるべく早期で適切な時期の日中韓サミットの開催に向け作業を加速させることで一致しました。
今後、早期の開催に向け日程調整を行ってまいります。

国際社会が大きな挑戦と変動を経験をし、歴史の転換点にある今、日中韓3か国が対話と協力にコミットする意義を改めて想起し、来るサミットが目に見える成果のある会議となるよう、朴(パク)長官王部長と引き続き連携してまいります。

私からは以上です。


質疑応答

【記者】
午前中の日韓外相会談についてお伺いします。
慰安婦問題の関係で日本に賠償を求めたソウル高裁の判決について大臣のほうから改めて遺憾の意を表されたということですけど、韓国側の報道等を見るとですね、2015年の合意を先方が尊重すると言うふうに聞いております。
この問題はですね、どういうやりとりがあったかと、今後どのように対応していくかについて道筋等をどのようにつけていくかについて教えてください。

【上川外務大臣】
ご質問の件についてでありますけども、既に23日の時点で私の談話を発出をし、日本政府の立場を明らかにしたところであります。
本日の日韓外相会談におきましても、このような判決が出されたことは極めて遺憾であるとして改めて抗議を行いました。
韓国側の反応を含めまして、外交上のやり取りでありますので、これ以上詳細に述べることは差し控えさしていただきたいと思います。
2015年の日韓合意につきましては、日韓両政府が多大なる外交努力の末に慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決を確認したものであります。
韓国政府は従来よりこの合意が両国政府の公式合意と認めていると承知をしております。

【記者】
まず、日韓の外相会談に関連してお尋ねします。
2030年万博についてで、日本政府としてまず釜山開催を支持する方向であるかということと、支持について会談中に上川さんの方から表明されたかということについてお尋ねします。
また、別件ですけれども、日中韓の三者での会談中にですね、処理水問題について議題になったか、また、議題になった場合には、上川外相から日本の立場を改めて説明したのかについても併せて伺います。

【上川外務大臣】
まず、日韓外相会談におきまして、釜山万博の支持の話でございますが、本件はですね秘密投票であります。
従いまして、我が国の立場は対外的には公表しない方針であるところでありますので、コメントについては差し控えさしていただきたいと思います。
また、さまざまな懸案事項、その他議論いたしましたけども、その点につきましてもやりとりでございますので、この場におきましては控えさしていただきたいと思います。

【記者】
日中韓外相会談の具体的な成果について伺います。
3か国の外相会談で具体的に確認した事項について、教えてください。
また、先ほどの冒頭で安全保障を含めた分野で協力するというふうに聞こえたのですけど、日本としてどのように取り組むのか教えてください。

【上川外務大臣】
お答えいたしますが、今回、第10回の節目となります日中韓外相会議におきましては、朴長官王部長との間で、日中韓で未来志向かつ実務的な協力を進めていくことが、大局的な視点から、この地域及び世界の平和と繁栄にとって重要であることで改めて一致したところであります。
また、今後の具体的な協力の方向といたしまして先ほど申し上げたとおりでありますが、第一に人的交流、第二に科学技術の分野、第三に持続可能な開発の分野、そして第四に公衆衛生の分野、第五に経済協力・貿易の分野、そして第六として平和・安全保障の分野ということで、この6分野をはじめとする様々な分野における取組を進め、今後サミットに向けまして日中韓で議論を進めていくこということで一致したところであります。
現下の国際情勢につきましても率直な意見交換ができたというふうに考えております。
国際社会が大きな挑戦と変動を経験をし、歴史の転換点にあるという今でありますので、3か国が対話と協力にコミットすることの今日的な意義と具体的協力の方向性につきまして外相間で確認をし、前向きかつ建設的な議論を行うことができました。
日中韓プロセスの再活性化を国際社会に示すことができたことは、来るサミットに向けた重要なステップとなったと考えております。

【記者】
日中韓サミットについてですね、できるだけ早期の開催に向けて作業を加速させるとのことなんですけど、その開催のメドについてはどのように考えるのか、また、韓国、中国との間にその目処についての一致というのはあったのでしょうか。

【上川外務大臣】
今次の外相会議でありますが、なるべく早期で適切な時期のサミット開催に向けて、作業を加速させるということで一致をいたしました。
今後早期の開催に向けまして日程調整を行っていく考えであります。
我が国といたしましては議長国である韓国を最大限支持していく考えであります。

【記者】
日中韓における北朝鮮に関する議論について2点お伺いします。

1点軍事偵察衛星の打ち上げについては、日韓が明確に避難する一方、中国はこれまで明確な避難をしてきていない状況です。
この点について、中国側から非難があったか、また、北朝鮮情勢において中国が果たし得る役割について日本からどのように働きかけをしたのか伺います。

また、もう一点については、前回の外相会談では北朝鮮の非核化、それから制裁決議の履行徹底についても日中韓三カ国が認識を共有した旨外務省が発表してますけれども、今回の会談ではこの点について一致できたのか教えてください。

【上川外務大臣】
今の、北朝鮮の情勢についてのご質問でございますが、特に中国にどのような働きかけを行ったのかというご質問であると受け止めておりますが、私からは、昨日の日中外相会談と本日の日中韓外相会議を通じまして、21日の北朝鮮による弾道ミサイル技術を使用した発射につきまして深刻な懸念を有することに対し、言及をいたしました。
そして中国が役割を果たすことを期待する旨述べたところであります。
また、私からは、拉致問題の早期解決に向けた引き続きの理解と協力を改めて求めたところであります。
これ以上の詳細につきましては、外交上のやり取りでありまして、差し控えたいというふうに思いますが、中国との間におきましては、外相間を含めまして、我が国のこうした立場を伝達しつつ、引き続きあらゆるレベルで緊密に意思疎通を行ってまいる所存でございます。

【上川外務大臣】
今の、北朝鮮の情勢についてのご質問でございますが、特に中国にどのような働きかけを行ったのかというご質問であると受け止めておりますが、私からは、昨日の日中外相会議と本日の日中韓外相会議を通じまして、21日の北朝鮮による弾道ミサイル技術を使用した発射につきまして深刻な懸念を有することに対し、言及をいたしました。
そして中国が役割を果たすことを期待する旨述べたところであります。
また、私から、拉致問題の早期解決に向けた引き続きの理解と協力を改めて求めたところであります。
これ以上の詳細につきましては、外交上のやり取りでありまして、差し控えたいというふうに思いますが、中国との間におきましては、外相間を含めまして、我が国のこうした立場を伝達しつつ、引き続きあらゆるレベルで緊密に意思疎通を行ってまいる所存でございます。

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