模倣する側の頭の中

マネされ作家の心情日記 3

模倣し搾取する側の言い訳がいつの頃からかセオリーと化し、それが商業主義的な考えの常識のひとつとして現在も受け継がれてきました。

昔は企業だけに行われていたサービスも、資金さえあれば事業規模に関わらず個人でも発注可能になり、

本当に資金さえあればなんでもできる時代になりました。

その最たるものがハンドメイドコンサル。

ハンドメイドにコンサルって…?

今回は急増している資金重視のハンドメイド事情について。

≫ ハンドメイド販売の今と昔

ハンドメイドを趣味で作っていた人たちがそれをネットで気軽に販売できるようになったのは、今から14年前のこと。

みんなが知っているハンドメイドサイトといえば、

・クリーマ (サービス開始は2010年)
・イイチ  (サービス開始は2011年)
・ミンネ  (サービス開始は2012年)

の3社くらいでしょうか。※すべて現在と同じ会社での開始時期。

フリマサイトは除いてますが、フリマでもハンドメイド品は販売されていますね。

ハンドメイドの市場規模は年々拡大され、現在ではサービス開始当初はだれも予想していなかったであろう大きな市場に成長しました。

そしてこの市場の拡大と比例するように、サイトに並ぶ商品のクオリティーも高くなってきていると感じます。

作る側の人も急増し続け、クオリティーだけでなく出品する人の事情も大きく変わってきました。

いくつか例をあげると次のようになります。

・商品を工場に発注するような量産型(これはもうハンドメイドではないですが)へ移行する出品者
・企業が運営する店(もはや個人でもハンドメイドでもない…)
・海外から仕入れたものをそのまま販売する出品者や卸業者

まだあるかもしれませんが、サービス開始当初には出入りがなかった(できなかった?)出品者があきらかに増えました。

そんな事情もあり、、、

ただ出品しただけでは”買ってもらえない”、”見てももらえない”という状況が加速している状況です。

そこで出てきたのが、ハンドメイド販売を専門とするコンサルティング業者。

この人たちが一般人に向けどんなサービスを提供しているかというと、、、

・ブランディング
・マーケティング
・起業マインド

…みたいなことをサポートしてくれるようですね。ただ私自身がコンサルを受けたわけではないのでリアルなところはわからないのですが、表からみてるとこんなかんじ。

上記のようなことって、昔はみんな自分でやっていたんですよね。

だからできる人、できない人がいて当然でしたが、今ではこのコンサルを依頼する方、カメラマンを雇う方なども増え、本人に足りないスキルを補うことは資金さえあれば可能になってきました。

このままでいくと、こういった外部発注が主流になっていくと考えていますが、この傾向には良い面と悪い面があって、

良い面は、発注前はできなかった自分にないスキルを補ってもらえることで、商品はいいのに写真が上手くいかなくて売れていなかったなどの事情は救われ、

商品や画像、説明が充実することでお客様が快適にネットショッピングができるといったことがあります。

一方悪い面は、

インターネットという性質上、嘘がいくらでもまかり通ってしまうため、外部発注することで自分だけではできなかったより専門的な嘘がつけるようになるということ。

たとえば事実とはことなる実績、実物とはちがう商品クオリティーの格上げが可能になり、買ってみたけど画像と違うなんてこともありえます。

盗作さえもバレずに売ることができてしまうのがこのインターネットの闇ともいえますね。

≫ 売り上げ >モラル

コンサルを依頼するのも、カメラマンを雇うのも、工場で量産することも、すべては商品を”売るため”の手段です。

そしてその手段のひとつに模倣があります。

模倣することに悪意がない人達にとって、それは売るための手段でしかないので、盗んだものでも平然と自分がつくり出したかのように世に出すことができるのでしょう。

前回、心が傷むかどうかでその模倣が善か悪か判断できるはずだと書きましたが、こういった捉え方をしている人には通じない話です。

彼ら彼女らにとって模倣は手段にすぎないという事実。

モラルより売り上げやステータス
信念や想いより人に自慢できる生活や実績。

何を求めるかは人それぞれで、どう生きようが自由です。

ただ私自身は物をつくりだすことそのものに対して、
信念を失いたくないし、芸術ともいえる自分のかけらをそんな気軽な気持ちに汚されたくはないと強く思います。

≫ 本当にそれでいいですか?

ハンドメイドを長くされている方の多くは、模倣されることなんて当たり前みたいに言われることが多いのですが、

本当にそれで終わっていていいのでしょうか?

上記のようにいわれる方はきっと諦めているだけで、悪意を持って模倣すること自体を許しているわけではないと思っています。

”なくせるならなくしたいけど無理でしょ。だから諦めるしかないのよ。”

…といったニュアンスで模倣行為を捉えている方が多いのではないかと思うのです。

皆さまはどう考えますか?

世にはびこる沢山の社会問題と同じように、問題を問題として提起しつづけるから解決策がうまれます。

真摯にものづくりをされている方にこそ伝えたいことです。後世のクリエイターのためにも物わかりの良い人にならないでください。

私はそういった意味でもこの模倣問題、モラルの著しい低下問題を風化させたくないです。

これはハンドメイドだけでなく、あらゆる社会問題に対してもそうですが、

傷つく人がいる限り、そこにある問題をきちっと問題として認識してもらうために発信しつづけるしかないのだとも思います。

ものづくりの信念。深いですよ。

きっと皆さまの中にもありますよね?


















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