強がりの電話
「久しぶり・・・いきなり電話してごめん
元気だったか
最近は、、何して過ごしていますか
俺は、、あなたが、いなくなったところを埋められずにいます
あなたは、どうですか」
あの子がいなくなって1ヶ月
この悲しみや辛さは時間がなんとかしてくれると思ってた
だけど、
どんだけ時間がたっても薄れなかった
それどころがより一層濃くなっていった
あの子がいた家
あの子がいた部屋
あの子と一緒に座ったソファー
家の中のものには全てあの子との思い出があった
目に入るたび
鮮明に思い出してしまう
だから家にも帰れない
君は知っているだろうか
君がいなくなって俺は
泣いている暇もなく君を探すために走った
心当たりがある場所全部行った
でも君はどこにもいなかった
今度はあてもなくただ走った
探すことを辞めたら泣いてしまいそうで
泣いてしまったら君が帰ってこないことを認めたみたいで
認めたくなくて
これを聞いたら
「ポエマーじゃん」って笑うかな
笑って欲しいな
君の笑った顔が好きだ
ブー ブー ブー
電話が鳴った
画面には俺のことを気にかけてくれてるやつの名前があった
「お前今どこにいるんだよ。最近家に帰ってないだろ。」
「うん」
「大丈夫か?」
「俺は大丈夫だよ」
「本当か?元気ないように聞こえるけど」
「大丈夫だって」
「お前まだあの子のことひきずって」
「大丈夫だから。別にもう会いたくないし」
「・・・そうか。いつでも話はきくからな」
プツッ プー プー プー
「俺は大丈夫」
「別に会いたくない」
この言葉を何回言っただろう
何回も、何回も無理やり自分に言い聞かした
こうでもしないと
やっていけなかった
言っていればその通りになって楽になれるんじゃないかと思っていた
でもどれだけその言葉を唱えても反対の気持ちが押し寄せて来るだけだった
絶対に出ないってわかってるのに何度も電話をかけたりして、
繋がってもないのに話しかけてみたりして、
バカだよな
あれ、
なんでだろう、
これまで我慢できてたのに
おかしいな、
なんで今更出てくるんだよ
泣かないって決めてたのに、
泣きたくなんてないのに、
俺はどうすれば・・・
ブー ブー ブー
また電話が鳴った
画面に写った名前は、
あの子の名前だった
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