27. 今日の日課25 最近気になったこと:鳥インフルエンザの発生と防疫

はじめに

 今日の日課25日目です。今回は鳥インフルエンザについて気になったので、まとめてみました。
 最近はスーパーに行っても卵がおいていないことが多く、結構困りますよね。「鳥インフルエンザを撲滅できないのか!」そんなことを最近思ったので、調べてみました。

1.そもそもインフルエンザとは?

 最初は「インフルエンザとは何なのか」から始めたいと思います。

1.1インフルエンザウイルスの分類

インフルエンザとは、

 インフルエンザウイルスは抗原性の違いによりA型、B型、C型、D型の4つに大きく分けられます。このうちヒトでの世界的大流行(パンデミック)を引き起こすA型インフルエンザウイルスは、ウイルス表面に存在する糖タンパク質(ヘマグルチニン(H)とノイラミニダーゼ(N))の種類の違いによって、さらにH亜型(あがた)(H1~ H18の18種類)とN亜型(N1~N11の11種類)の組み合わせで分類されます。( ※亜型の種類は 2019 年 1月時点)

首相官邸 鳥インフルエンザ対策
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/tori_influ.html

 インフルエンザウイルスはオルソミクソウイルス科(Orthomyxoviridae)に属する分節状のマイナス鎖RNAを遺伝子とするウイルスです。インフルエンザAウイルスは、8分節の遺伝子に10または11のタンパク質をコードしています。ウイルス粒子の表面にはヘマグルチニン(HA)とノイラミニダーゼ(NA)が存在し、それぞれH1-H16とN1-N9の亜型に分類されています。このHAとNAは、ウイルスの感染に重要な役割を担います。


北海道大学大学院獣医学研究院・獣医学部 微生物学教室
https://www.vetmed.hokudai.ac.jp/organization/microbiol/fluknowledgebase.html

 上記の説明は難しいですね。重要な点は、インフルエンザは抗原性の違いによって4つに分類されていること。
 また、インフルエンザAウイルスにはヘマグルチニン(HA)とノイラミニダーゼ(NA)というものがあり、ヘマグルチニン(HA)はウイルスの細胞内への侵入、ノイラミニダーゼ(NA)は細胞内で複製されたウイルスの細胞外への脱出という役割を担います。このHとNには亜型があり、その組み合わせによってさらに分類されています。

1.2鳥インフルエンザとは

 では、鳥インフルエンザとは何なのかというと、一般的に私たちが耳にする鳥インフルエンザは「高病原性鳥インフルエンザ」が正式な呼び名です。鳥インフルエンザには、低病原性の鳥インフルエンザと高病原性の鳥インフルエンザがあります。

 低病原性鳥インフルエンザウイルス
 
この低病原性鳥インフルエンザウイルスは自然界にもとから存在するウイルスです。そして低病原性といわれるように、鳥が感染しても病気になりません。

 高病原性鳥インフルエンザウイルス
 この高病原性鳥インフルエンザウイルスは、低病原性鳥インフルエンザウイルスが養鶏場などの高密度で鳥を飼育する場所で感染が拡大することで変異し高病原性を獲得したウイルスです。現在確認されているのは、H5亜型とH7亜型のウイルスです。

 鳥インフルエンザは海外では、ごくまれにヒトに感染した事例が報告されているようですが、基本的にトリからヒトに感染することはありません。また、ヒトからヒトへの感染は確認されていません。

2.鳥インフルエンザの感染経路

 では、鳥インフルエンザはどのようにして、養鶏場の鶏などに感染しているのでしょうか。

 上のイラストで示されているように、まずは低病原性鳥インフルエンザを持った渡り鳥がツンドラ地帯などの北部から南下しカラスやネズミなどの現地の生物に移ります。そこから養鶏場の鶏などに感染すると、感染の拡大から変異し高病原性の鳥インフルエンザとなります。
 また、養鶏場内では、鶏のフンや飲み水、外から来た車両などからも感染するようです。

3.鳥インフルエンザへの対策

 では、鳥インフルエンザに対する防疫はどのようなことがなされているのでしょうか。

3.1国内の養鶏場の防疫措置

 まず、普段から養鶏場などでは、野鳥の侵入を防ぐためのネットやネズミ対策、外来の車両の消毒やえさ場の掃除、塩素消毒されている水道水を飲み水に使うなど予防措置が取られています。
 そして、感染が確認されると家畜保健衛生所や獣医師への報告後、殺処分と死体の適切な処理が行われます。

3.2海外の状況

 鳥インフルエンザは日本だけでなく、アジアの広い地域で感染が確認されています。中国や東南アジアでは、鳥インフルエンザの感染が確認されると、殺処分するのではなくワクチンを打っているところもあります。これは症状の緩和には効果がありますが、感染力は保持したままになるので隠れた感染を広げてしまうことが指摘されています。また、鳥を生きたまま販売するアジアの市場はウイルス感染の温床になっています。
 今後の対策としては、生肉などを安全に輸送するコールドチェーン物流の発展が必要です。加えて、養鶏場が殺処分をしてもある程度経営への影響を緩和できる補助金の拡充も必要な措置です。

4.まとめ

 今回は鳥インフルエンザについてまとめました。個人的には、ワクチンを打ったりすれば感染を防止してウイルスを撲滅できるのではないかと思っていたのですが、そう簡単にはいかないようです。日本では、北海道大学が鳥インフルエンザについて先進的な研究を行っています。今後の人口増加に伴う養鶏場の増設などを考えると、鳥インフルエンザは世界的な問題なので、積極的な研究が求められます。いつか鳥インフルエンザが撲滅されることを願っています。

参考資料

1.北海道大学リサーチタイムズ, 人獣共通感染症との戦い#3 鳥インフルエンザ撲滅に向けて, 獣医学研究院 教授 迫田義博

2.NHK, NHK宮崎>宮崎WEB特集>なぜ鳥インフルは防げない?宮崎もウイルス検出 鶏16万羽処分

3.高病原性鳥インフルエンザの発生を防止するために, 社団法人全国家畜畜産物衛生指導協会, 平成19年10月

https://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/tori/pdf/hpai_booklet.pdf

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