立憲を支援する連合に、蓮舫が暴言ー連合事務局長が痛烈に反論

産別や組合員の方から「このままでは(都知事選で)蓮舫さんを支援できません」という声がたくさん届いている――。
連合の清水秀行事務局長は、とくに発言を求め、東京都知事選挙で惨敗した候補者・蓮舫氏とその同調者による連合攻撃に猛反発しました。さる7月19日の連合定例記者会見でのことです。
ところがメディアは無視しました。なぜか一行も触れていません。立憲民主党や共産党の支援者が嫌う報道は、意図的に避ける「報道しない自由」を、メディアは満喫しているようです。
東京都知事選(7日投開票)で、連合東京は「小池百合子現知事を支持」を決定し、連合本部が理解するとの方針を示していました。

共産党が前面に出過ぎ、逃げた票が相当数あった
清水事務局長は、「東京の選挙について、立憲がどのような選挙体制を取るのかは全国の多くの組合・産別が注目をしていました」「やはり共産党が前面に出過ぎた結果、立憲の党員サポーターも含めて、また連合の立憲支援の構成組織・単組も含めて、逃げた票が相当数あったのではないかと思う」と発言。
そのうえ「共産党との関わりを立憲民主党が容認し、(蓮舫氏は)離党したとはいえ共産党と連携」し、落選が報道された直後に「小池書記局長とハグをする写真が流れることに気にも止めないような蓮舫氏を支援し続けたことには極めて違和感がある、という多くの声をいただいている」と強調しました。
投票直後の7月11日、立憲民主党幹部と連合との会談が行われました。連合の芳野友子会長は、蓮舫候補の敗因について「共産党が前面に出すぎて、蓮舫氏が共産党の候補者のように見えてしまった。票が逃げたのではないか」などと指摘しました。
 これに対し蓮舫氏は、Ⅹ(旧ツイッター)で「現職に挑戦した私の敗因を、現職を支持した貴女が評論ですか。私は今回公契約を活用した労働条件改善を強く提案。若者の雇用環境改善も提案しました。
本来、労働者を守る連合が要求する内容でもあります。組合離れはこういうトップの姿勢にもあるかもしれませんね」と投稿しました。
しかし蓮舫氏が国政において雇用労働政策に関心があったとはお世辞にも感じられませんし、その現状認識や戦略、さらには議会対策やスケジュール感すらない口先だけに見えます。ましてや連合と政策を共有しようという問題意識すらありません。これでは「憲法改正を提案しているから岸田内閣を支持せよ」と言っているのと同様です。“票は寄こせ〟と言うだけで、連合組合員や有権者をバカにしています。
結局は、支持しなかったことへの恨み節です。仲間を足蹴にするだけの暴言、生産性のない発言を付け足してまでして溜飲を下げようというように見えます。

◆労働組合は政党の下部組織ではない。独立した組織
「敗軍の将は兵を語らず」という言葉があります。しかし、蓮舫氏は「噛みつきガメ」と言われ、デーブ・スペクター氏や上沼恵美子氏、東国原英夫氏、連合の芳野会長、さらには朝日新聞やその記者に訴訟をちらつかせるなど、各方面に噛みつくという攻撃性を発揮しました。
「貴方に言われたくない」は、「反論」ではなく不満の表明です。「芳野連合会長が蓮舫候補についてあれこれ論評するのは気に入らない」と言っているに過ぎません。選挙で負けた原因が「共産党の出過ぎ」なのか否かではありません。
そもそも蓮舫氏は、出馬する時に、連合本部とか東京連合に、挨拶とか支援依頼をしていません。つまり公約とか政策の話すらありませんでした。
たとえ支援が望めなくても、一応挨拶はするものですが、それすらもありませんでした。
蓮舫氏は、選挙対策のための離党したとはいえ立憲民主党の顔です。連合会長への暴言は、立憲民主党本体の連合への暴言とみられますが、蓮舫氏は無頓着です。また立憲民主党も、蓮舫氏の暴言に対し、連合への謝罪とか弁明はありません。
都知事選挙の蓮舫陣営は、共産党が前面に出ていました。告示前には候補予定者の蓮舫氏の写真入りのチラシが日本共産党によって作成されたり、街中にRマークを貼りまくったり、小池現都知事の最終日の演説では、集団で声を張り上げての選挙妨害も見られました。
都民や一般の人たちから見ても、蓮舫陣営の選挙運動は、左翼の活動家が前面に立って行われている印象でした。立憲民主党を離党しての出馬ですが、蓮舫氏が共産党を代表する候補者として、共産党の全面的な支援で選挙運動が行われていました。実際、共産党の田村智子委員長の存在は薄いものでした。
蓮舫候補のために、労働組合が支援するのが当然と言わんばかりの傲慢な姿勢は、労働組合を政党の下部組織とみるマルクス・レーニン思想の「左翼政党(前衛党)が、大衆組織、労働組合を指導する」という階級闘争史観が身体にこびりついているからではないでしょうか。言うまでもなく、政党・政治団体と労働組合は、それぞれ独立した組織であり、上下主従の関係ではありません。
実際、主要メディアの出口調査によると、蓮舫氏は共産支持層は9割の票を集めましたが、立憲支持層にも6割程度の票しか集まらなかったようです。
まさしく「共産党や山口二郎など市民連合重視、連合軽視」そのもので、連合組合員はもとより東京都民の反発を招くだけでした。
一方、共産党の小池晃書記局長は、連合の芳野友子会長が「共産党の支援で票が逃げた」と発言したことに対し、「何を根拠におっしゃっているのか」と憤激しましたが、連合の清水事務局長は、「あくまで立憲民主党の選挙、立憲民主党の都知事選に申し上げたことで、私は一言も共産党のことについて言及した覚えはない」と反論。共産党の異様な反応は筋違いと言わんばかりでした。

◆時代感覚がズレている立憲民主党幹部
元議員の菅野しおり(山尾志桜里)氏は、Ⅹで「何が原因かわからない幹部たちが立憲民主党の時代感覚を圧倒的にずれさせている。一度はここに席を置いたものとして見ているが辛い選挙だった。」と投稿しました。菅野氏は、かつて2009年の政権交代選挙で当選し、民進党の政調会長でもあり、立憲、国民にも所属していました。
菅野氏は①民主党政権の失敗を象徴する議員が次々にマイクを握り、②民間企業が公共の観点も踏まえ積み上げた再開発計画(神宮外苑再開発計画のこと)を都民投票にかける筋悪な提起が唐突に行われ、③共産党の存在をベースにした独特のフェス感((高揚感))が一般市民への浸透を明らかに妨げていた、と指摘。
そして「これを機に①立憲民主党は本気で、実質を伴う世代交代への実現可能な対案提起、②共産党への選挙依存脱却を果たしてほしい、蓮さん(蓮舫氏のこと)の敗北に異議を見出せるとしたらおそらくそれしかない」「政権交代選挙であった2009年の当選同期も、もはや15年選手、15年経験積んでなお先輩に頭を押さえつけられて悪を直せない。自民党じゃないんだから」と容赦ない。
蓮舫氏の選挙は、多くの都民に対して、また立憲民主党の支持層に対しても、悪い印象以外の何物ももたらすことはなかったといって過言ではありません。
以下、連合の清水事務局長の指摘を紹介します。
         ☆
連合・清水事務局長の発言■(連合HPより全文。中見出しは筆者)
 もう1点、後ほど質問もされると思いますので、先に私からお話しをさせていただきたいと思います。
連合は、今回の都知事選挙に関わって、連合東京が現職の小池知事を支持ということで取り組みました。先週、立憲民主党ともいわゆるトップ懇を開催し、その場でも申し上げました。
連合本部として、そういった意味から何かを申し上げる立場ではないのかもしれません。いろいろな方が「言われる筋合いはない」などと言われてもいますけれども、そういったことを踏まえながら、連合東京の執行委員会でも立憲の支援産別については、蓮舫さんについて支援することについて理解するということで、確認しています。

◆得票数がガタ減りの蓮舫
そういった意味では今回も、立憲を支援し蓮舫氏を支援した組合もありました。また全国では、今日も確認しましたが131名の小選挙区での立憲の候補の推薦を決めております。
東京の選挙について、立憲がどのような選挙体制を取るのかは全国の多くの組合・産別が注目をしていましたので、そういった立場から発言をさせていただいたところでございます。
 都知事選については、「根拠を示せ」などとも言われていますが、我々が想像するに、皆さんもお分かりだと思いますが、2022年に参議院の東京選挙区が行われました、この時の投票率は56.55%でございましたが、今回よりも低うございましたが、それでも立憲の得票数、共産党、れいわ新選組、社民党の得票数から、基礎票としては230万票ぐらいが念頭に今回も置かれていたのではないかと推測しているところです。
しかし結果は128万票と、投票率が60.62%と高かったにも関わらず、それには全く届かなかったということで、連合としては極めて深刻ではないかと受け止めていると、立憲民主党にもお伝えをさせていただきました。
さらに言えば、2022年の参議院東京選挙区では、立憲の蓮舫氏の得票が67万票、また松尾氏も立候補していましたので、それが約37万票、足すと110万票なわけでございます。共産党の山添氏が68万票ですから、3者を足しただけでも178万票になるわけで、今回共産党は都議補選と連動して得票を伸ばしたと小池書記局長はおっしゃっていましたが、そうであるならば、なおさら178万票以上の得票があってもよいわけで、それが投票率が上がったにもかかわらず128万票しか出ていないのですから、やはり立憲を支持してきた方たちの得票が減ったという分析をしてしかるべきであろうと思っています。

やはり共産党が前面に出過ぎた
実際に私のところにも、産別や組合員の方から「このままでは蓮舫さんを支援できません」という声がたくさん届いているので、そういったことを連合としては申し上げたところでございます。
この間ずっと申し上げていますが、やはり共産党が前面に出過ぎた結果、立憲の党員サポーターも含めて、また連合の立憲支援の構成組織・単組も含めて、逃げた票が相当数あったのではないかと思っています。
 岡田幹事長は先週のトップ懇(7月11日)で「立憲の票はまとまるんだ。取れなかったのは、中間層、真ん中が取れなかったから、それで伸びてないんだ」と私にも説明がありましたが、私は「立憲サポーターすらまとめきれていなかったのではありませんか」ということで「厳しい総括が必要だ」と発言をさせていただいています。
 「実際に離れていったという声は連合にも届いている」「戦術的には内輪の盛り上がりのみで、広がりに欠けたのではないか」と申し上げさせていただきました。
また小池(百合子)候補の街頭演説で、プラカードを持ったりして「やめろ」コールをしている人たち、誰とは特定はできないかもしれませんが、組織的に行った姿を見れば共産党の方か、市民連合の方か、あるいは立憲の応援団の方であるということは、誰が見てもそういったふうに思わざるを得ません。あのようなやり方に忌避感を持つ多くの声が連合にも寄せられました。

◆共産党と連携し、共産党との関わりを容認した立憲民主党
さらに、蓮舫氏は選挙期間中にRのシールが都内に貼られることについて、「全く意味がわからない」と記者団に語ったとのことですが、これも共産党か市民連合あるいは立憲の応援団の方がおやりになったことではないかなと思います。条例違反、法律違反の行為であり、蓮舫氏自身も共産党の小池書記局長も街頭演説でRのシャツを着ていたことから、無関係とは言えないと私は思っています。政治家とすれば、やはり一定の責任があると考えるのが普通ではないでしょうか。
 こうした共産党との関わりを立憲民主党が容認し、離党したとはいえ共産党と連携し、選挙後も「共産党をはじめ本当に多くの応援の方から力をもらったことは私の財産だ」と発言し、小池書記局長とハグをする写真が流れることに気にも止めないような蓮舫氏を支援し続けたことには極めて違和感があるという多くの声をいただいています。
幅広い市民と野党の共闘というキャッチフレーズの下、幅広い市民の実情を見極めることなく、今後も連携を強めていくのであれば強い懸念を申し上げる必要があるということでございます。
 そういったことについて、私のほうから先週のトップ懇でお話をさせていただきました。その後のぶら下がりで、芳野会長から「共産党と距離が近づきすぎたことが」ということを発言しました。
これはあくまで立憲民主党の選挙、立憲民主党の都知事選に申し上げたことで、私は一言も共産党のことについて言及した覚えはありません。 「立憲民主党がそういったことを容認したことについて問題がありませんか」と申し上げたので、そのことを今日はきちっとお話をした上で質問があれば後でお答えをしたいと思っております。以上でございます。


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