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仮設トイレの話 Vol.10


現場のトイレ事情、特に内装工事などやっていると工事期間は短いし、住宅建築のような予算は少ないので、現場事務所を設置することが困難だった、屋外に仮設トイレが設置することもできない。現場で使用するトイレがないのは非常に不便で、近所の施設に作業着で行くのもはばかれ、1キロ近くある公園に用を足しに行ったりしていた。

今は、ほとんどのコンビニにトイレがあり、だいぶほっとする。感謝です。

現在、平成28年10月1日以降に入札する現場には、国交省では、建設現場を男女ともに働きやすい環境とする取り組みを進めていて、その一環として、男女ともに快適に使用できる仮設トイレを「快適トイレ」と名付け、
土木工事から導入しますことを決めました。
まぁなぜ、土木からかというのは、公共事業が多いからなんでしょう。
検査に来るのは、お役人で、オフィスにいる時は、清掃員付きの清潔なトイレが使用できるが、現場のトイレは和式のぼっとん、仮設トイレなんて夏にこもれるような場所ではない。彼らの環境を整えるためのことを優先したのが本音なんでしょうが、条件もいっぱいついています。

1.快適トイレに求める標準仕様
(1)洋式便座
(2)水洗機能(簡易水洗、し尿処理装置付きを含む)
(3)臭い逆流防止機能(フラッパー機能)
(必要に応じて消臭剤等活用し臭い対策を取ること)
(4)容易に開かない施錠機能(二重ロック等)
(二重ロックの備えがなくても容易に開かないことを製造者が説明出来るもの)
(5)照明設備(電源がなくても良いもの)
(6)衣類掛け等のフック付、又は、荷物置き場設備機能(耐荷重5kg 以上)

先に挙げた、入りたくなくなるようなものを排除する条件を「建設現場を男女ともに働きやすい環境とする取り組みを」というきれいな言葉で当たり前にしてくれました。

さらに、その言葉を際立たせるために
2.快適トイレとして活用するために備える付属品
(7)現場に男女がいる場合に男女別の明確な表示
(8)入口の目隠しの設置(男女別トイレ間も含め入口が直接見えないような配置等)
(9)サニタリーボックス(女性専用トイレに限る)
(10)鏡付きの洗面台
(11)便座除菌シート等の衛生用品
これらを必ず備えることが条件になっています。

大きな進歩です。ただし、これは国交省の入札ですから、地方自治体がどこまで、追従しているかはわかりませんが、時代は、現場をきれいにする方向に変わっています。

「建設現場を男女ともに働きやすい環境とする取り組みを」は、ゼネコンの建築現場もだいぶ変わってきていますが、15年ほど前から現場の作業員に女性が、ぽつぽつ参加し始めたころ、新築工事の中で、店舗内装屋として施工に入った現場はトイレに男性と女性という区別がなく、更衣室もない。こんな中、数社の同業他社総勢500人中3人4人女性がいました。そのうちの一人が、以前私の所属する会社にいたOGで、トイレのことで相談があると、私にどうにかしてくれと言いに来ました。

先に進む前に説明になりますが
私たちの立場はゼネコンと違いがありゼネコンはビルオーナーから発注を受け館(箱)を作っていますが、私たちは、その中の店舗を店舗のオーナーから請けて仕事をしている関係から、甲乙丙工事(現在はABC工事)甲工事はビルオーナー発注・乙工事はテナントオーナ―発注のビルにかかわる設備等の工事・丙工事は店舗の装飾などを店舗オーナーから発注を受け仕事をする工事に分かれていて、このような施設の場合、ゼネコンは主体工事業者という立ち位置から、トイレ等の施設や休憩所などを、提供し、我々から工事賦金として使用料を徴収する立ち位置です。

トイレや更衣室の改善について、毎日の定例会で、進言すると、当時は「女なんか入れるなよ!」とか「なんで、俺たちがそんなもの作らなきゃいけないんだ」なんて罵声が飛び交い、賦金のことなど知らない職人からは「どこから金が出るんだ!」なんて、大きな騒ぎに発展したことを思い出します。
結果として、8台くらい並んだトイレの一番端のトイレを衝立を立て女性専用にしていただけましたが、更衣室は用意されず、ビーチで使うような簡易テントで着替える女性職人、内装工事が進み個室が出来たらその中で着替えるなど、当時の女性たちは大変だったと思います。

完全に男性社会だったのと当時のゼネコンは社員以外を見下していたのだと思います。事務所には女性の事務員もいたのですからその方たちにはそういう場があったと思いますし、当時から職人は職員用トイレ使用禁止として、彼ら用のトイレはちゃんと洋式で用意されていましたからまあ、人を人扱いしないのがゼネコンなんです。

今は2014年ころから「なでしこチーム」発足から女性技術者・技能者の愛称を「けんせつ小町」として「女性技能労働者活用方策」および「女性技能労働者活 用のためのアクションプラン」をもとに活動が起きています。






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