FF16クリア後感想(ネタバレ注意)


結論

クソゲーではないが、神ゲーでもない。
個人的スコアは79点。
無難なゲームだ。

マイナスに振り切ったFFブランドを原点に戻したという点では、
本作の意味はとても大きなものだったように思うが、
いい意味でも悪い意味でも、
期待を裏切ってくれるようなことはなかった。

ほかのゲームに例えるならば
「逆転裁判5」的なゲームといえるのではないか。
4で落ちたブランドを元の位置まで立て直したものの、
ゲームそのものは無難なつくりになってしまっていた。

良かった点

バトルアクション

バトルアクションは文句なしの出来だった。(DMCシリーズは未プレイです。)
全8種の召喚獣のアビリティを組み合わせることができ、
実用的なものから魅せプまで、
幅広くコンボを組むことができる。

モブ相手は広範囲攻撃で殲滅、
ボスクラス相手にはヒット&アウェイ戦法など、
自分好みのスタイルを作り上げることができ、
爽快感抜群のバトルは素晴らしかった。

ただ逆に言ってしまえば、
ゲーム体験としての楽しさがアクション部分しかない点は、
今作の致命的な部分だろう、、、

大迫力の召喚獣バトル

圧倒的な映像美で繰り広げられる召喚獣バトルは、
今作の目玉としてふさわしい出来といえる。
(中盤の2戦はいい加減長すぎにも思うが、、、)

対する召喚獣ごとにゲーム性も大きく変わるため、
各バトルごとに全く異なった感触で好印象だった。

ただ長いことを除けば、、、

美麗な映像の数々

召喚獣バトルの感想とも重なるが、
映像の美しさは素晴らしいの一言。

映像で見せるゲームはここが一つの集大成ではないか。
そう思わせてくれる出来だった。
それが果たしてゲームなのかについては議論の余地があるだろうが、、、

序盤の期待感は随一

国ごとにマザークリスタルを有し、
ドミナントといわれる一騎当千級の戦力を有している。
いわば均衡状態が続いている世界観。

地政学的な要素であったり、
ドミナントの抑止力としての扱い、
また魔法が使えるがゆえに奴隷とされてしまっているベアラーの存在。

かなりダークで硬派な舞台設定といえ、
国ごとの内政などどのように表現されているのだろうかと期待感は膨らんだ。

その期待はあらぬ方向へ飛んでいくのだが、、、

気になった点

キャラクターのセッティングの不足

今作の一番の課題は、
キャラクターへの感情移入ができにくい点だと考える。

個人的に特に気になったのはキャラクターのセッティングだ。
いかにいくつか例を挙げる。

弟であるジョシュアを殺してしまったことに対するクライヴの葛藤、
これが序盤のクライヴの行動原理である。

ただ、ジョシュアに対するクライヴの思いとプレイヤーが抱く思いは明らかにかけ離れている。

それは、クライヴがジョシュアと過ごした日々をプレイヤーが見ることができるのは、チュートリアル的位置づけの過去編1時間程度だけだからだ。

その1時間でクライヴとジョシュアの関係性であったり、
どれほど彼が弟のことを大事に思っているのかなど、
クライブの心情とプレイヤーの心情は一致しない。

触れ合っているシーンもほとんどないから、
クライブの悲しみが心の底に入ってこない。

(もちろん苦しい状況なのは想像に難くないが)

もっとジョシュアとの触れ合いのシーンや、
お互いのやり取りなどを丁寧に描いていれば、
ジョシュアを殺したことに気づくシーンの絶望も、
よりしっかりと感じられたように思う。

またジルとの再会や、チョコボとの再会だってそうだ。
たった数回しかプレイヤーは顔を合わせることのない、
過去編のジルやチョコボ。

それと10余年の時を経て再会したからって、
プレイヤーはそこまで感動はしない。

ドラクエ5でのビアンカとの再会やボロンゴとの再会。
なぜあれほどまでに私たちは心を動かされたのか。
それはレヌール城での冒険を一緒にしたからだ。
(ボロンゴはその後も一緒に冒険したからだ。)

あの数時間(プレイ時間換算)があったからこそ、
山奥でビアンカと再会するシーンに,、
洞窟の奥でぱぱすの剣を守るボロンゴとの遭遇に、
あれほどまでに心が揺さぶられたのではないか。

FF16は時系列をしっかりと扱うストーリーだったからこそ、
過去編はもうすこし長めに尺を取り、
過去の体験によるキャラクターのセッティングをしっかりとやってほしかった。

恩師(確か兵士長だったか)の奥さんが住む村が壊滅し彼女が亡くなるシーンだって、
あまりの展開の救いのなさに絶望はしたけれど、
彼女の喪失に呆然とするまでなった人はほとんどいないのではないか。
だってほとんどプレイヤーは彼女とも恩師ともかかわりがないのだから。

そりゃクライヴは思うものがあるに違いないけれど、
プレイヤーは時間を共有していないから想像するしかない。

クライヴの生きてきた時間軸を、
プレイヤーに追体験させるストーリー構成ならばもっと入り込めたのにと思う。
本当にもったいない。

キャラクターの行動原理への納得感の不足

マザークリスタルを壊すことが、
物語の中盤以降のメイン軸となる。
ただ、これも説明が足りない。

黒の大地が増えたことによる弊害を、
少なくとも作中の描写でであまり感じることができない。
だからプレイヤーはマザークリスタルの悪影響を、
あくまでシドからの伝聞でしか想像できない。

序盤に黒の大地の過酷さ、
これが増えるとなぜまずいのか、などなど。
作中で見せてほしかった。
感情移入できないし、クライヴがただシドに言われたままをやっている感がものすごく出てしまっていた。

上記2点が主ではあるが、
総じてストーリーの核となるキャラクターへの感情移入がなかなかできない点が、本作を凡作たらしめている一番の理由だと思う。

映像シーンのボリューム

映像シーンが多すぎる。
映画でええやんそれなら。
ここはほかの人も言っているのであんまり言わないようにするが、
それにしても長い。

ただ、音声付きだけど会話飛ばせるムービーシーンは、
FORSPOKENの時の映像がぶつ切りになる違和感はなくなっていて、
そこだけはよかったです。

設定の矛盾

少々の矛盾なんかをつくような真似はしない。
反れども面白い作品なんていくつもあるから。
ただ物語の核となる、召喚獣の力を引き継ぐ設定。
フェニックスだけ引き継いでなおジョシュアが召喚獣を顕現できるのはなぜなのか。

この説明を放棄しているのは、物語の根幹を揺るがすからほんとうに良くない。
イフリートのドミナントであることを隠しておく必要があった展開上、
フェニックスの力を使わざるを得ない理由は理解できる。

ただそれが使えちゃうと、
補完もドミナントは力を分け与えて私兵を増やせばいいじゃないかとか、
各国のパワーバランスが明らかに崩れてしまうし、
ミュトスであるというクライヴの唯一無二性が、
フェニックスに脅かされてしまう。

ここはさすがに物語の根幹なので、
ちゃんと理由付けはしておいてほしかった。

同じ火の召喚獣だから呼応していたとか、やりようあるように思うけれど、、、

こういったゲーム体験とは全く別のところで引っ掛かりを生んでしまうことは、没入体験を大きく損なってしまうので非常に良くないと言わざるを得ない。

ダンジョン、探索

MMOのマップみたく、探索の面白さが皆無だった。
登れないオブジェクト、リスキーモブやクエストのためだけの空き地。

序盤は何かあるのかと思い寄り道していたが、
ほとんど意味のないことに気が付き中盤からはただの移動ゲー。

マップを広くすればいいってもんじゃないよ。

UI

ミニマップがない、ダッシュするのに助走が3秒程度必要、街中ではダッシュできない、ボスとモブで戦闘スタイルが変わるのにもかかわらずスキルのマイセットがない、ムービー間の意味のない短い距離の移動などなど、、、

かゆいところに手が届かないゲームだと評価せざるを得ない。

リアリティは大事だけど、ストレスを生むようなリアリティはいらない。
というか助走しなくてもダッシュしろよマジで。
ティアキンを見習ってください。本当に。

今後への期待

ゲームとしては普通に楽しめたが、
熱中するという領域には到底届かなかった本作。

映像美追及するのもいいけれど、
RPGの本質的な楽しさがどこにあったのか、
そこにもう一度立ち返ってほしいなと切に思う。

あの頃の僕らはドットでも感動できたじゃないか。
3Dが主流の現在だって、
ユーザーのほとんどは映像の美しさはFF10やドラクエ8レベルで十分に満足できると思っているよ。めちゃくちゃきれいだし。

それよりも、
マップを隅々まで探索する楽しさだったり、キャラクターをしっかりと立てて感情移入できるストーリーにすることだったり、ゲーム体験とは別のところでの引っ掛かりはなくすようにするだったり、、、

FFに求めているのは凡庸さじゃない。
あくまで良ゲー、神ゲーであること。
ほんとうにお願いします。


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