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【読書記録】 海洋プラスチック ゴミ問題の真実 

2020年7月にレジ袋が有料になりました。
このかなりウザいニュースを受けて海洋プラスチック、マイクロプラスチックという言葉が一気に世間に広まったのではないかと思います。
今回はそんなレジ袋にお金を払う原因である海洋プラスチックについての本の紹介です。

この本について

この本の著者である磯辺篤彦さんは海洋物理学者で九州大学応用力学研究所教授の方です。海洋プラスチックごみ研究の第一人者で国内外問わず活躍されています。 
本書は海洋プラスチック汚染の実態について科学的根拠に基づいてかなり丁寧且つ分かりやすく解説されています。根拠の出典元もかなり細かく明示してくれているおかげでもっと詳しく知りたい時には大変助かります。そんな本です。

海洋ゴミの現状

皆さんは海洋ゴミといわれるものを実際に見たことはあるでしょうか、私は去年の夏に一度淀江の砂浜で海岸清掃をさせていただきました。 割りと一般の方が訪れるビーチだったので目も当てられない状態ではありませんでしたが少し外れの方にいくと発泡スチロールやウキ、ペットボトルや空き缶といった食品関係のゴミが多かったのが印象的です。
実際どこに海岸かにもよりますが漂着しているゴミの約8割はプラスチック由来だそうです。
ではそんなゴミはいったい誰が捨てているのでしょうか。
海岸清掃の時はハングル文字のラベルが多かったのが印象的です。
海洋の物理データのものコンピュータでシュミレーションしたところ、海洋ゴミの分散は世界規模で考えるとなんと約9割はアジアの川から流れてきているということだそうです、ビックリですよね。 

海洋プラスチックは何が問題なのか

ではそんな海洋プラスチックのなにが問題なのでしょう
ここでは海洋生物がそれらを誤飲、漁網に絡まり死ぬというのはもちろんのこと、プラスチックが分解されないことから、その破片にのかって外来種を運んでしまうということも挙げられておりました。実際に日本のゴミがアメリカ西海岸まで漂着した事例もあるそうです
その他にも(1)プラスチックの性質としてPCBという汚染物質を吸着した状態で海洋生物の体内に入ってしまうこと、(2)添加物とうで含まれている鉛が環境中に染み出てしまうことが挙げられています。

(1)これに関連することは環境のこと少しでも勉強している人だと聞いたこともある人多いと思います、いわゆる生物濃縮というやつです。 生態系ピラミッドの上のいくにつれて毒素がより高い濃度で蓄積されていくというものです。 実際に毒素の含まれたプラスチックをメダカに与えて健康状態を観察するという実験で悪影響があると証明されたそうです。
ただこの結果を踏まえて海洋プラスチック=生物濃縮の悪影響と決めつけるには早いです。 理由は2つあり、1つ目はこの実験では実際に海にあるマイクロプラスチックよりかなり多い量を与えているということ、そして2つ目は生物濃縮が起こすにはマイクロプラスチックが体内に残っている状態のものを捕食しないといけないということです。プラスチックは分解されないので食べてもそのまま体外へ出ます。 なので微量のプラスチックによる健康被害の論文はまだ出ていないそうです。
しかしPCBをはじめとする科学汚染物質がマイクロプラスチックをとおして海洋生態系の中へ入り込んでいるのは事実だそうです。

つぎに問題として考えら得るのは粒子毒性と呼ばれる現象です
簡単に説明すると 食べることにはエネルギーを使うがプラスチックを食べてしまうと先述とおり食べられないのでエネルギーの無駄使いになってしまう ということだそうです。
ただこちらも、すぐに悪影響と決めつけるのは早いです。
実際に海にはプラスチック以外にも自然由来の多くの粒子(懸濁粒子)が常に浮いていますなので粒子毒性が取り立て問題になるとは限りません。
 マイクロプラスチックの粒子毒性の実験結果によると0.1mm以下のプラスチックで悪影響が現れていました。ですがまだ海のなかで1mm以下のマイクロプラスチックは未だに見つかっていません。研究者たちはその行方を懸命に探しているそうです。この海と実験はマイクロプラスチックのサイズのギャップのためうまく回っていないそうです。

私たちになにができるだろう

日本は廃プラスチックの排出量の99%は適切に処理されているそうです、残りの1%が環境中へと出ていきマイクロプラスチックになっているそうです。 
ではその1%はどうしてうまれるのか。 これは勿論意図的なものもあるでしょうが殆どは無意識によるものではないかと考えられます。例えばゴミ箱にいれたつもりが入っていなかった、ゴミ風で飛ばされた等です。
そしてこの1%を減らすことがマイクロプラスチック削減に繋がるということです。それは社会に出回るプラスチックの総量を減らす他ありません。
今行われているストロー削減やレジ袋有料化はそういう流れによるものです。 

また生分解性プラスチックについても触れられています
ここでは否定的に書かれています理由は3つあり
(1)限られた条件で分解されるものであり自然では分解されにくい
(2)いずれマイクロプラスチックになること
(3)屋外に捨てることへの心理的ハードルが下がりモラル低下をまねく

ここまでプラスチックの悪い点を挙げてきましたが果たしてプラスチックは悪なのでしょうか?
プラスチックはペットボトルとして清潔で安全な水安価に沢山の人へ届けることができます。 また自然災害時にはなくてはならないものです。
プラスチックは経済的弱者を助けることができます。
ただ単純にプラスチックを廃止すると確かにプラスチックゴミ問題はかいけつに近づきますが経済的じゃくしゃんいかなりの負担を強いることになります。SDGsの理念にもある「誰一人とり残さない」この部分が厳かになるとかいけつとはいえない気がします。

感想

マイクロプラスチックを減らすには、社会に出回るプラスチックを減らすしかない、そのためのレジ袋やストローの削減 理由が明確にわかるとある程度納得感も出るなと思いました、ただ紙ストローはやめてほしいですね(笑)

海洋プラスチック問題がまさか外来種問題にまで繋がっているとは驚きました。ただプラスチックにのって漂着した生物を外来種といえるのかが少し疑問です。 間接的に人のてを借りているので納得かんもありますが、、、

科学的データや論文に基づいた説明というのは根拠もはっきりしているので理解しやすいですね。 
1%のゴミをださないようにするのは私たちが人間である以上不可能なのかなとおもいました。 ただ他の人の1%をゴミ拾い等を通じて0に近づけることはできるのかなとおもいました。 正直ゴミ拾い活動にはパフォーマンス的面を少し感じてしまうのであまりやる気にはなれないのですが、自分の1%を誰かがカバーしてくれているんだなと思うと、その分自分も他人の1%をカバーしたいなと思います。



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