100倍、身につく国語力(61)発音篇
❤小~高校生と,母親向けのレッスン
(1年間で国語力の悩みが解決できる!)
オノマトペ篇 ①
【日本語のオノマトペの特徴】
3.オノマトペを多用する国民性
(1) 気になる「オノマトペ」の使い方
毎日の生活で、日本語の中に「オノマ
トペ」が頻繁に使用されますが、多くの
人はほとんど無意識に使っているのでは
ないでしょうか。これは、一般的に擬声
(音)語と擬態語をまとめて、このように
称されています。
この「オノマトペ」というのは、バタ
ン(ドアのしまる音)、キー(ブレーキ
の音)、キーン(飛行機の音)のような
擬声語と、クルクル(回る様子)、ピカ
ピカ(光る様子)、ズキズキ(痛む様子)
などのような擬態語を一括して称してい
るのです。
いくつかの辞書を見ると、それはフラ
ンス語に由来し、onomatopee と綴られ、
その語源はギリシア語まで、遡ることが
できます。その意味は「名前を作る」と
か、「造詣する」ということで、英語で
は、onomatopoeia (オノマトペ ) と称
されているようです。
それでは、日本語は老若男女や世代を
超え、だれもが「オノマトペ」を頻繁に
使うのは、一体なぜなのかを考えてみま
しょう。それは、何よりも外国語には
ない日本語の大きな特徴から来ていると
いえます。
日本語は、心理的・情緒的な言葉が多
いのが特徴で、「イライラする」、例え
ば、「ムシャクシャする」、「ドキドキ
する」、「ハラハラする」などは、外国
人には理解しにくいのではないでしょう
か。ですから、これを翻訳するのは、
きっと難しい作業になると思います。
もう一つは、動詞の種類が少ないこと
から、それを補うために副詞や形容詞的
な働きとして、「オノマトペ」が活躍す
るようになったのです。例えば、「泣く」
という動詞ではどういう風に「泣く」の
か、「見る」という語はどのように「見
る」のか、よく区別ができないため状況
が理解できません。
そこで、次のように修飾語として、別の
言葉を前につけて様々な「泣き方を表現
します。英語と比較すると、違いがハッ
キリしていて面白いですね。
<泣く>
① (ワアワア)+泣く cry
② (メソメソ)+泣く weep
③ (クスンクスン)+泣く
sob
④ (オイオイ)+泣く
blubber
⑤ (シクシク)+泣く
whimper
⑥ (ヒイヒイ)+泣く pule
⑦ (弱々しく)+泣く mewl
<見る>
①(意識して)+見る look at
② (ジッと<目で追って>)+見る
watch
③ (自ずから)+見える see
④ (マジマジと)+見る
stare at
⑤ (注意して)+見る view
⑥(チラッと)+見る
glance at
ちなみに、「見る」は、漢語の「視る
・観る・診る・覽る・鑑る」などがあり、
「目」という部首では、「看る・眺める」
などとも対比できるので、実に多様性に
富んでいることが分かります。
それにしても、オノマトペのような言
い方は、日本人なら何の抵抗もないので
しょうが、外国人はきっと困るでしょう
ね。
❤オノマトペについては、日本語の
中に多くの擬声語や擬声語の単語
があるので、その実態を知って
もらうため、さらに例を挙げなが
ら具体的に考えていきたいと思い
ます。
<参考>金田一春彦著『日本語上・下』
(1988、岩波新書)
アナミズ (2024.04.12)
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