100倍、身につく国語力(223) 作品篇
❤小~高校生と、母親向けのレッスン
(1年間で国語力の悩みが解決できる!)
漱石の『夢十夜』について (4)
漱石は、多くの場面で造語を巧みに
扱う天才だといえます。いわゆる当て
字が多いので、辞書を見ても出ていな
い場合があります。ですから、それを
覚悟して読み解くようにすると、さら
に楽しさが倍増すると思います。
「一夜」の一章を読むだけでも、以下
に示すような例がぎっしり出ていて、目
が回りそうです。ここではその例をいく
つかあげてみましょう。
① 腕組みをして
② 輪郭の柔らかな瓜実顔(うり
ざねがお)
③ 温かい血の色
④ 判然(はっきり)いった
⑤ 覗(のぞ)き込むように
⑥ 大きな潤(うるおい)のある
眼(め)
⑦ 長い睫(まつげ)
⑧ 真黒な眸(ひとみ)の奥に
⑨鮮(あざや)かに浮かんで
⑩ 透(す)き徹(とお)るほど
⑪ 黒眼(くろめ)の色沢(つや)
⑫ ねんごろに枕の傍(そば)へ
⑬ 眠そうに(目(みはっ)+爭)
たまま
⑭ 埋(う)めて下さい
⑮ 大きな真珠貝(しんじゅ)が
がいで
⑯ 星の破片(かけ)を墓標(はか
じるし)にして
⑰何時(いつ)逢(あ)いに來る
かね
⑱ 黙って首肯(うなずい)た
⑲ 調子を一段(いちだん)張
(は)り上げて
⑳ 思い切(きっ)た声で
㉑ ぼうっと崩(くず)れて
㉒ 涙が頬(ほお)へ垂(た)れた
㉓滑(なめら)かな縁(ふち)の
鋭どい貝
㉔ 土をすくう度(たび)に
㉕ 真珠貝の裏に月の光が差した
㉖ かろく土の上に乘せた
㉗ 赤いまんまでのっと落ちて
行った
㉘ 一つと自分は勘定(かん
じょう)した
㉙ 唐紅(からくれない)の天道
(てんどう)がのそりと上っ
て來た
㉚ 勘定しても、しつくせない
ほど赤い日を
㉛ 自分は女に欺(だま)された
㉜ 右の下から斜(はす)に
㉝ すらりと揺(ゆら)ぐ茎(くき)
の頂(いただき)に
㉞ 心持(こころも)ち首を傾(かた
ぶ)けて
㉟ ふっくらと辯(はなびら)を開
いた
㊱ 鼻の先で骨が徹(こた)える
ほど匂(にお)った
㊲ 花は自分の重みでふらふら
動いた
㊳ 冷たい露の滴(したた)る、白
い花辯(はなびら)に接吻(せっ
ぷん)した
㊴ 顔を離す拍子(ひょうし)に思
わず
㊵ 暁(あかつき)の星がたった一
つ瞬(またた)いていた
このように語使い方などに慣れること
が必要となります。
<漢字練習>
・腕組 ・輪郭③長い髪 ・頬
・到底 ・判然(はんぜん)
・確かに ・覗(のぞ)く
・潤(うるお)い ・鮮(あざ)やか
・透き通る ・黙って ・埋めて
・掘って ・ 破片(はへん)
・墓標(ぼひょう) ・ 逢(あ)う
・垂れる ・ 滑(なめ)らか
・縁(ふち) ・ 匂(にお)い
・ 真珠貝 ・ 抱き上げる
・ 置く ・ 胸と手 ・暖かく
なる ・苔の上 ・ 座った
・ 眺めて ・ 落ちた ・天道
・ 沈んで ・ 勘定 ・ 通り越す
・ 斜めに ・青い茎
・ 傾(かたむ)けて ・伸びて
・ 丁度(ちょうど) ・ 留(と)まる
・ 揺らぐ ・ 頂(いただ)き
・ 鼻の先 ・ 遥(はる)か
・ 花弁(かべん)(花辯(はなびら))
・ 暁(あかつき)の星
・ 瞬(またた)いて
❤ここにあげた例は、ほんの一例
なので、「夢十夜」を読み続け
ていくことの楽しみは、漢字に
独特のルビがついているのを、
読み解くのも一つの楽しみ方だ
と思われます。。
アナミズ (2024.09.22)