見出し画像

1990年7月9日(月)

【熊大迷宮:黒髪てへろく部隊】
「俺思ったんだけどさ」
「どうした?」
 大石 泰三の言葉に前田 法重が言葉を返す。熊大迷宮地下2階を探索中の黒髪てへろく部隊は、屍体の群を殲滅させ、現在富田 剛がレア物質を回収している。戦闘は特に問題なく終わったので、残りの全員特にすることなく、大石が口を開いたのである。
「殲滅が効くのって、地下1階のヒャッハーと地下2階の消毒だーじゃん。両方喋るんだよね。で、効かないやつってしゃべらないからもしかしたら不死亜獣だけ全員喋るんかなと思って」
 そう言われて部隊の全員が思考する。確かに今まで出会った亜獣で言葉を発するのは地下1階に出現する骸骨と地下2階に出現する屍体だけのようで、この2体にだけ殲滅が作用する。でも後1体しゃべるのがいた気がする。
「そういやブッチャーもしゃべるよな。テンションは違うけど」
 思いついたように菊川 竜二が口を開く。
「試しにブッチャーに殲滅やってみる?」
「いやいや、効かんかったら俺死ぬし。そんなギャンブルはできんよ」
 前田の提案を大石が否定したタイミングで富田のレア物質回収が終わったので、川崎 志郎は冒険の再開の合図をした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?