六丁の娘 第二章【総集版】
「久世、綴喜、相楽。そこいらの山城惣国一揆が掟法を定め、管領畠山氏の軍勢を追っ払ったのが二年前のことじゃ」
為次郎は目の下に絵図を広げ、背中を丸めながら覗き込んでいる。きづ川、うぢ川、かつら川と書き添えられた三本の墨が、紙の下半分でややこしく絡み合っていた。
「鳥羽のわしらも一味同心して、洛中への斬り込みを任されとる。できるだけ多く奪い、壊し、燃やす。それがわしらに課せられた役割じゃ」
「ああ」
進はおざなりにうなずいた。その様子が気にかかったのか、相手は腕を組んで片眉を