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おぢさん観察記録(1)

行きつけのマックスバリュに今日は不穏な空気が漂っていた。缶詰コーナーから気配がする。この匂いはおぢさんだ。おぢさん。年は50は超えていることだろう。作業着を着て来店、仕事帰りだろうか。いや、それにしては荷物が少なすぎる。持ち物は割引券とポイントカードだけだ。

品出し中のマックスバリュ戦士と会話に打ち興じている。ただ割引券を振りかざして使い方を聞いているだけ、のように最初の一瞬は見えたが、実際のところは頑張って世間話をしようとする健気なおぢさんだった。
「おれの割引券は、この商品になら使えるんだな!」
「この果実酒とかも、前より10円くらい高くなってるぞ!」

「はは、そうですね」

業務妨害にも見えるが、客の満足度を高めるためには仕方ないのだろうか。少しばかり活舌が気になる。自分が店員だったら、横流しに作業する様子が浮かび上がってくる。こちらは商品を並べてるんだから、お前は歯を揃えて来い。そう言ってしまうかもしれない。クレームに発展しないか少しの間見届けることにした。目が合った時に巻き込まれるのではないかと心配する方もいるかもしれないが、安心してほしい。ここはスーパー店内。曲がり角を駆使すれば逃げ切ることなど容易い。

他に話し相手はいないのだろうか。同居人がいたとしても仲が悪くてほとんどしゃべらないという人も世の中には存在する。このおぢさんはおそらく普段の会話が足りていないのだろう。

僕も買いたいものをかごに入れてレジへ並びに行ったとき、そのおぢさんは別の店員さんと熱く語り合っていた。重度なマックスバリュユーザーの僕としては、この店は円滑な経営を続けてほしいものだ。場合によっては店員さんをかばいに行くのもかっこいいが、臭そうなのでやめた。まだまだ営業時間は長い。長期戦とならぬことを願うばかりだ。


~追記~
翌日もいた。

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