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社会不適合者黙示録 思春期編(9)

修学旅行では途中、班ごとに分かれてそれぞれの企業を見学するというイベントもあった。その企業見学をどこにするのかは各班の班長がじゃんけんをして決めるということになっている。

そのじゃんけんには負けてしまった。そのため、あまり人気のなかった某新聞社への見学となる。もちろん班員はいやそうな顔をしていた。
「それくらい勝ってこいよ」
そんなことも許せない人間なのか、君たちは。

というのはさておき、実際に修学旅行当日となった。行先は最初に東京だ。新幹線なら到着まではそんなに時間がかからないが、向こうではちょいちょい移動にバスを使うのでその際の席は既に指定されている。基本的に各班固まっているのだが、我々の班は一番前の右側。あまり好まれない位置だ。隣は顔面放棄ではないが、子分Aだった。僕は奴からも嫌われていたので終始奴の機嫌は悪かった。いや、だれが隣でもこうなっていただろう。

2泊3日の旅行で、初日は昼から班行動だ。我々は大手町をぶらつくことにした。ラーメンを食べて、クレープ屋に並ぶ。田舎者ではあるが、それらしいことはできただろう。

2日目。この日は昼からネズミ王国に行くことになっていた。正直、こういうテーマパークは好きではない。連れがいないからというのもあるが、あまり音や光の激しい空間に長くいるのが得意ではないという理由が大きい。そこでは、最初は班行動をすることになっていた。この時点でもう楽しくないということは予想ついているだろうが、一つこんなエピソードを覚えている。絶叫系の乗り物に乗った時、以外にも悪女トリオは怖がっていた。乗ってからは子分Aが、
「だれか隣にいてほしい。この際お前でもいい。」
とくっついてきた。何も萌えなかった。自分が嫌われているにしても、露骨すぎるだろう。こんなこともあったので、僕としては乗り物としての恐怖感もワクワク感もなかった。ネズミには申し訳ないと思っている。
その後班の男子三人は例のガキ大将の小隊と合流し、夢の国から解放されるまで一緒にいた。今回は元が班行動ということもあり、大部隊を率いていなかったため比較的やりやすかった。その部隊はあまりアトラクションが好きではなさそうだったので尚更ありがたい。特に他思い出せることはあまり無いが、スモークチキンはおいしかったと記憶している。この時の僕は悪女共から離れられるならだれとでも組んでやる、というスタンスだったのだろう。そしてホテルへと帰るバスに一人、体調を悪くして早めにバスに戻って休んでいたという女子がいた。なるほど、その手があったか。

夜。ホテルでは班の男子3人で泊まることになっていたが、これだけではつまらないということで、他の3人組のところへこっそりと忍び込んだ。監視の先生の目を盗んでの突撃だ。その晩は仲良く遊んでいた。この旅行で唯一楽しいと思えた時間だっただろうか。

翌朝5時半頃に先生に見つかることとなる…


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