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本には交流があるP2 戯作1-3 コアの物語

コアは小さな谷間の沢に舞い降りました。しばらく水面の煌めきの点滅に猫パンチのまねをして、じゃれていましたが、水の渦の螺旋の階段にさそわれて、水中に入っていきました。川にも降りていく波と浮き上がる波とがあるのです。水面にだけ波があるのではありません。水中には生きものが、たくさんいるけれど、かれらはコアに警戒しません。なぜならコアは水の中にいるときは、水の粒に入っていたのです。コアはまだ生き物とは言えませんが心のようなものはもっているようです。だから水の粒に入ると、決めたのです。
水面を仰げば光芒が差し込んでいる。光の屈折の原っぱです。水の中な影、ゆらいでゆらいで流れて、空にいるときの雲の流れみたい。水中の岩に波は砕けて酸素の玉をつくって川の生き物にあげている。
岩の表面で何か蠢いています。川虫です。いずれカゲロウやトビゲラになります。岩から離れて水面に向かう途中に、水中の波に流されて川虫は食べられてしまうときもあります。岩や川底の石で、水中波の筋溝がつくられ、溝が集まったところに魚は待っていて餌の川虫を捕食する。川虫は水面に上がろうと、石をはなれて、そして食べられる。水面まで行けたものはカゲロウになり水面に卵を産み落とす。そのときもアマゴは跳躍して、そのカゲロウを食べる。それでもそれでも川虫は水面に向かって岩から離れていきます。
しかし、そのアマゴをじっと見ているカワセミがいる。水中のアマゴにむかって青い線となって射し入り捕らえる。同時に線の軌跡からひるがえって羽を広げ、空中にジャンプして戻ります。
同じジャンプする鳥でも、水面に顔を出している岩の上から下流に飛び込みのようにジャンプして水中に潜り川虫をとらえるカワガラスというヘンテコなユカイな鳥もいます。
さて、その日はカワセミだけでなくアマゴをねらっている者がいました。


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