【小説】つれづれ草(3)

 無駄足・・・。
 先ほど歩いたばかりの道を呆然としながら戻る。
 寝よう。疲れているせい。きっとう、そう。うさぎ。
 朝の通りは、列車、バス、自転車、歩行者のせわしない往来でひしめき合っている。
 せっかくの休日。間違えて出勤してしまうくらいには疲れているんだ。ダチョウ。うなぎ。
 大勢がつくりだす流れと正面衝突しないように隙間をすり抜ける。
 魚介か。最近、魚食べてないな。栄養偏る、ストレス社会。イタチ。蝶。牛。
 流れに逆らって歩くという、慣れないステップに足がついていかない。
 牛肉、スーパー…、いやコンビニでいいか。朝ごはん食べてなかったし。鹿。鴨。モモンガ。ガチョウ。
 人。よけきれず、軽く肩があたる。
 ガチョーンってか。ああ、たぬき。きつね。ねこ。こねこ。琴。
「琴…。」
 着物姿のご婦人の後ろには肩で風を切るように体を捻り歩く琴がついていた。どうやら、後ろのものは生物とは限らないらしい。


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